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ノベルティのコストダウンとブランディングを両立させる難しさ

目次
はじめに
日々激化する市場競争の中で、企業の顔とも言えるノベルティは単なる「おまけ」ではなく、顧客の心を掴み、ブランド価値を訴求する重要なツールになっています。
しかし、低コスト化が求められる一方で、ブランドイメージの毀損は絶対に避けなければなりません。
この記事では、20年以上の製造現場での実体験をもとに、ノベルティにおけるコストダウンとブランド力維持の両立のポイント、そして真の現場目線から「昭和から抜け出せない」アナログ業界でも実践できる革新のヒントをお伝えします。
ノベルティの位置づけと求められる役割
宣伝アイテムの枠を超えるノベルティ
ノベルティは販促活動の一環としてスタートしましたが、現代では顧客との関係構築、体験価値の創出、そして社会的責任(SDGsや環境配慮)を示す媒体へと役割を拡大しています。
従来型の「使い捨て」や「大量配布」から脱却し、「記憶に残る」+「長く使われる」ことがノベルティの戦略的付加価値となりました。
コストダウン圧力とブランド価値のせめぎ合い
一方で、企業は経費の削減をどの部門にも要求します。
調達・購買担当者は更なるコストダウンを求められ、つい安価なノベルティ選定に走りがちです。
しかし、安価イコール粗悪や、デザイン・機能性の劣化は、ブランドを裏切る行為にもなりかねません。
ここに、部門間の板挟みという現場ならではのジレンマが生まれます。
調達購買担当者からみる課題と対策
価格重視では失敗する理由
私自身、現場時代に「とにかく安いものを」「同等品で十分」という声に流され、結果として
・実際にはコスト増(クレーム対応・再発注)
・ブランド毀損(顧客からの悪評拡散)
といった痛い経験をしました。
調達の本質は単なる値切りではありません。
トータルコスト=調達価格+付随するリスク+ブランドへの影響、を常に意識しなければなりません。
バイヤー視点での差別化戦略
1点あたりの原価に縛られず、「なぜノベルティを使うか」という根本に立ち返りましょう。
・企業理念やキャンペーンテーマに適した素材・仕様の吟味
・顧客の年代や利用シーンを反映したセミカスタマイズ
・サプライヤーから新素材や工法の提案を引き出す力
など、付加価値の提案型調達が現代バイヤーとして求められています。
サプライヤーが知るべき「バイヤーのホンネ」
価格以外で取引が決まる時代
実際の商談現場では「一番安い価格」よりも、
・契約後のトラブル最小化(納期・クレーム対応力)
・SDGsやカーボンニュートラルへの取り組み姿勢
・他社事例やトレンド情報の提供
こうした部分が評価されています。
サプライヤーが「これを提案したら嫌がられるのでは?」とためらうような小さな改善案ほど現場には響きます。
バイヤーと一体となって、上司や財務部門を納得させる“メーカー目線”での提案が今後ますます重要です。
関係性構築の重要性
年々「付き合いが大事」「長く使っているから」という昭和的な慣習は減ってきていますが、現場ではまだまだ残っています。
ただし、それは“なあなあ”の関係ではなく、困ったときに真摯に協力してもらえる信頼関係のことです。
「次も一緒にやりたい」と思ってもらえるよう、情報共有や提案、現場へのヒヤリング力を高めましょう。
コストダウンと品質・ブランディングのバランス術
昭和型コストダウンの限界
従来からの「大量ロット発注で単価を下げる」「同仕様の他社品へ切り替える」といった手法は、市場の多様化・ニーズの細分化により限界が見えてきました。
一見安い大量品も在庫滞留や陳腐化リスクが高く、結局コスト高になりがちです。
令和時代の新・コスト最適化の視点
1. 必要なタイミング・数量だけ発注する”ジャストインタイム”
2. 顧客データ分析を活かした受け取る側の満足度最適化
3. 品質安定・コスト削減を両立できる共通部品化や多用途アレンジ
4. 製造現場が持つ最新生産技術・自動化プロセスの活用
5. 原料調達段階からサステナブルな流れを意識したサプライチェーン最適化
実際に私も現場で、海外調達のコストメリットと、国内生産ならではの短納期・小ロット対応のダブルトラック運用に助けられた経験があります。
本当に喜ばれるノベルティとは何か
現場で何度も繰り返された失敗談
「子ども向けイベントで大人向けの日用品を用意してしまった」
「環境重視と謳いながらプラスチック製品を配布」
「高価なノベルティを用意しても結局“使われない”」
など、ノベルティ事例には多くの“あるある失敗”が見られます。
ターゲットの本当のニーズを把握し、現場担当者から随時フィードバックをもらうことの重要性を痛感してきました。
記憶に残るノベルティの条件
・もらって「嬉しい」「役立つ」「面白い」と感じる独自性
・社会課題(エコ、DX、ウェルビーイング等)を自社のメッセージに紐付けられる
・持続的な利用(一度限りの使い捨てではない)
・「誰に配るか」と「なぜ配るか」の明確な設計
この4点を押さえれば、単にコストを下げるのではなく、“投資対効果が高い”ノベルティ戦略が実現します。
アナログ業界に根付く固定観念の打破
変革を牽引するのは現場の声
「前例がない」「他社も同じことをしているから」
昭和型のこうした“空気”がコストダウンとブランディング両立のブレーキになります。
重要なのは、現場で失敗や成功を経験している担当者自身の声を、企画・開発や経営層に正しく届けることです。
小さな改善や新技術導入も「現場でこうだったから」と具体的事例を添えれば、上層部の理解も得やすくなります。
現場起点の競争優位を築く
調達・生産管理・品質管理・納品管理、工場全体の知見を掛け合わせる
→ 独自の工夫や技術提案、万が一のトラブル時の迅速対応に繋がる
→ 結果としてブランド信頼性や顧客ロイヤルティを高める
このサイクルを回せる現場が、今後の“勝ち残るものづくり現場”になっていきます。
まとめ:ノベルティ戦略に不可欠な「現場ラテラル思考」
ノベルティのコストダウンとブランディング両立は一見矛盾に満ちた命題ですが、現場の知恵と柔軟な思考、そして社内外の連携によって必ず突破口が見つかります。
「前例主義」「単価重視」「安易な大量調達」だけにとらわれず、今あるリソースや技術をラテラルに再定義することで新たな価値が生まれます。
「本当にお客様の心を掴み、自社らしさが伝わるノベルティは何か?」
この問いを現場・サプライヤー・バイヤーが一体となり、繰り返し考え、実践することこそが、激変する市場でも強いブランドを築く道です。
製造業の皆様、現場でのリアルな声や工夫こそ、次世代のノベルティ戦略に不可欠な財産です。
今こそ、古い常識を打ち破り、現場から新たなブランディング価値を生み出していきましょう。