投稿日:2024年11月7日

自動車部品製造業の研究開発部門の新入社員が押さえるべきCFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形技術の基礎

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは?

CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)は、炭素繊維と樹脂を組み合わせて作られる複合材料です。
この材料は、軽量でありながら非常に高い強度を持っていることから、航空機や自動車の部品製造に広く利用されています。
特に自動車産業では、軽量化は燃費向上や環境負荷の軽減を実現する鍵です。
そのため、CFRPの需要が急速に増加しています。

CFRPの基本構造と特性

CFRPは、高強度の炭素繊維を基材とし、それを樹脂で包んで成形されます。
炭素繊維そのものは非常に硬く、剛性がありますが、単体では非常に脆いという欠点があります。
樹脂とのコンビネーションにより、この問題を解決し、強靭な素材にすることができるのです。

これにより、従来の金属以上の強度を持ちながら、質量を大幅に軽減できる特性が生まれます。
これが、CFRPの大きな強みとなり、自動車部品に多く利用される理由の一つです。

炭素繊維の種類

炭素繊維にはいくつかのタイプがあります。
一般的には、高強度タイプと高弾性タイプの2つに分類することができます。
高強度タイプは、引張強度に優れており、構造部材やサスペンション部品に適しています。
一方の高弾性タイプは、剛性が重要な用途、例えばシャフトやシャーシのような部品に利用されます。
用途に応じて適切なタイプを選択することが重要です。

樹脂の種類

樹脂は、CFRPの成形や機能性に大きな影響を与える要素です。
主に使用される樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の2種類があります。

熱硬化性樹脂は、耐熱性が高く、剛性があります。
高温でも形状が保持されるため、エンジン周辺のような高温環境での使用に適しています。
一方、熱可塑性樹脂は加工が容易で、生産性が高いことから量産品に向いています。
再成形が可能であるという特性から、リサイクル性にも優れています。

CFRP成形技術の基礎

CFRPの成形技術には、さまざまな方法がありますが、以下に代表的な技術を紹介します。

オートクレーブ成形法

オートクレーブ成形法は、最も一般的で信頼性の高い技術の一つです。
プリプレグと呼ばれる炭素繊維に樹脂が含浸した材料を多層に積層し、高温高圧のオートクレーブ内で加熱硬化させます。
これにより、複雑な形状でも高品質の成形物を作ることができます。
特に航空機産業で採用されることが多い手法です。

樹脂注入成形法 (RTM)

RTM(Resin Transfer Molding)は、金型内に繊維プリフォームを配置し、そこに樹脂を注入・硬化させる技術です。
高精度な製品の大量生産に優れています。
自動車産業では、量産車のボディパネルやシャーシ部品に採用されています。

ホットプレス成形法

ホットプレス成形法は、加熱した金型で繊維と樹脂を押圧成形する技術です。
比較的簡便な設備で成形が可能であり、低コスト化が図れます。
大量生産が必要なパーツに向いていますが、形状の自由度が制限される場合があります。

成形技術選択のポイント

CFRPの成形技術を選択する際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。

使用する部品の特性

部品が求める特性により、最適な成形技術は異なります。
例えば、高剛性が重要な部品にはオートクレーブ成形法が適していますが、コストを重視する場合にはRTMやホットプレス成形法を検討する必要があります。

生産コスト

CFRP部品は、成形コストが高くなることがあります。
特に金型の準備が必要なRTMやホットプレス成形法は、初期投資が重要です。
量産効果を見込んで、長期的なコスト削減を考慮することが重要です。

生産量と品質管理

大量生産を目指す場合、効率的な生産方法であるか、品質を一定に保つ管理体制が整備されているかも考慮が必要です。
自動化技術を導入し、人手を減らすことで生産効率を高めることも可能です。

最新の革新技術とCFRP

CFRP成形技術は絶えず進化しています。
研究開発においては、最新技術を取り入れ、新しい価値を生み出すことが求められます。

自動化への対応

近年、工場の自動化が進んでおり、CFRP成形工程でも自動化技術が取り入れられています。
ロボットによる積層や射出成形、検査工程の自動化などが進展しており、これにより生産性と品質の向上が期待できます。

より環境に優しい材料の開発

環境問題がグローバルな課題となる中で、CFRP製造におけるリサイクルの重要性が高まっています。
例えば、バイオ由来の樹脂を用いる試みや、再加工可能なCFRPの開発が進行しています。
これによって、環境負荷を軽減し、持続可能な生産システムを築くことができます。

まとめ

自動車部品製造業におけるCFRP成形技術は、これからもさらなる進化を遂げていくことでしょう。
新入社員の皆さんは、まずCFRPの基本を理解し、実践に役立てることができれば、革新の担い手として活躍することができます。
技術と環境への意識を高め、目指すべき技術者としての成長を、楽しみながら取り組んでください。

資料ダウンロード

QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。

ユーザー登録

調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

オンライン講座

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)

You cannot copy content of this page