投稿日:2024年9月24日

生産用機械器具で使われる多軸ロボットの基礎知識

はじめに

多軸ロボットは、製造業において生産効率を大幅に向上させるための重要な革新技術です。
これらのロボットは、複数の軸を持ち、それにより多様な動作を実現することができます。
本記事では、多軸ロボットの基本的な仕組みから、実際の導入例、最新の業界動向までを詳しく解説します。

多軸ロボットとは

定義と特徴

多軸ロボットは、2つ以上の回転軸または直線軸を持つロボットのことを指します。
これにより、複雑な動作や多方向への移動が可能となり、人間の手のように自由に動くことができます。
多軸ロボットの最大の特徴は、その汎用性にあります。
例えば、自動溶接、組立、搬送など、様々な用途に応じてプログラムを変更することが可能です。

主要な種類

多軸ロボットは、その構造や用途に応じていくつかの種類に分類されます。
以下に代表的な種類を挙げます。

直交ロボット

直交ロボットは、直線運動をする3つの軸を持つロボットです。
運動範囲が広く、主に加工や組立の現場で使用されます。

円筒ロボット

円筒ロボットは、円筒状の運動をすることが特徴です。
このロボットは、直交ロボットに比べて柔軟性が高く、複雑な作業にも対応可能です。

水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、水平に設置された多軸を持ち、特に高速かつ高精度な作業に適しています。
電子部品の組立や検査などでよく利用されます。

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕のような構造を持ち、最大6軸までの動作が可能です。
産業用として最も一般的で、多様な用途に対応しています。

多軸ロボットの基本構造

駆動系

多軸ロボットの駆動系は、主にサーボモーターやステッピングモーターなどのアクチュエーターで構成されています。
これらのモーターは、精密な位置制御と速度制御が可能であり、ロボットの高精度な動作を支えます。

制御系

制御系はロボットを動作させるための頭脳部分です。
主にターゲット位置や速度、加速度などの指令を発行し、駆動系をコントロールします。
ここではPLC(Programmable Logic Controller)や専用のコントローラーが使用されます。

センサー系

センサー系はロボットの外部環境を監視し、リアルタイムで情報を収集します。
光学センサー、音波センサー、フォースセンサーなどが搭載され、精密な作業を補助します。

エンドエフェクター

エンドエフェクターは、ロボットの先端に取り付ける作業用ツールです。
グリッパー、溶接ガン、吸盤など作業内容に応じて様々なものが使用されます。

多軸ロボットの導入事例

自動車産業

自動車産業では、多軸ロボットが溶接や組立工程で活躍しています。
例えば、車体の溶接作業では、高精度な溶接ポイントの計測と実行が求められます。
多軸ロボットは、この要求に応え、人間の手作業よりも迅速かつ正確に作業を行うことができます。

電子部品製造

電子部品製造においては、多軸ロボットが精密な組立作業や検査業務を担っています。
例えば、スマートフォンの製造ラインでは、数ミリ単位の部品を正確に取り付ける必要があります。
ここでも、多軸ロボットの高精度な制御が活かされます。

物流業務

近年では、物流業務への多軸ロボットの導入も進んでいます。
自動倉庫では、ロボットが商品を正確に棚から取り出し、出荷準備を行います。
これにより、従来の人力作業に比べて効率が大幅に向上しています。

導入のメリットとデメリット

メリット

多軸ロボットの導入には多くのメリットがあります。

効率の向上

多軸ロボットは、24時間365日稼働可能であるため、効率が劇的に向上します。
また、作業の正確さも人間の手作業よりも優れています。

品質の安定

人間による作業はどうしても品質にばらつきが出やすいですが、多軸ロボットはプログラム通りに動作するため、品質が一貫して安定します。

コスト削減

初期投資は高額ですが、長期的には労働コストや失敗による損失などが削減され、トータルでのコスト削減が期待できます。

デメリット

一方で、デメリットも存在します。

初期投資の高さ

多軸ロボットの導入には、ハードウェアやソフトウェアの費用、設置工事費など、初期コストが高額です。

技術的なハードル

導入後のメンテナンスやプログラムの設定、オペレーションなどには専門的な知識が必要です。
そのため、技術者の育成が不可欠です。

柔軟性の限界

多軸ロボットは特定の作業に特化しているため、急な作業変更や新たなタスクには対応しにくい場合があります。

最新の業界動向

AIと多軸ロボットの融合

最近の業界動向として、AI(人工知能)と多軸ロボットの融合が挙げられます。
AIが組み込まれることで、ロボットが自己学習し、より効率的かつ柔軟に動作することが可能となります。

5G技術の活用

5G技術の普及に伴い、リアルタイムでのデータ収集と解析が可能となり、多軸ロボットの制御や監視がより精密になります。
これにより、より高速で安全な生産プロセスが実現されます。

エコシステムの構築

多軸ロボットの利用拡大に伴い、関連するエコシステムの構築が進んでいます。
ハードウェアメーカー、ソフトウェア開発企業、システムインテグレーターなどが協力し、最適なソリューションを提供しています。

まとめ

多軸ロボットは、製造業の現場において効率化と品質向上を実現するための重要なツールです。
その柔軟性と高精度な動作は、自動車産業や電子部品製造、物流業務など多くの分野で活躍しています。
導入には高額な初期投資や専門的なスキルが求められますが、そのメリットは非常に大きいです。
最新の業界動向としては、AIや5G技術との融合が進んでおり、今後もさらなる発展が期待されます。
これから多軸ロボットの導入を検討する際には、本記事の情報が役立つことを願っています。

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