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輸出におけるHSコードと関税トラブルを防ぐための基本知識

目次
はじめに:製造業で頻発するHSコードと関税トラブル
製造業のグローバル化が進む中、輸出入取引で頻繁に話題になるのがHSコード(調和システムコード)と関税のトラブルです。
20年以上工場現場で購買や調達、生産管理を担ってきた実体験から申し上げると、多くのトラブルの背景には「現場がHSコードや関税の知識を曖昧に捉えている」という実態があります。
特に中堅・中小製造業や、いわゆる”昭和から抜け出せない”アナログ体質が強い現場では、「昔からこれで通していたから」「通関業者に任せれば大丈夫」などの意識のまま、思わぬ落とし穴にはまるケースが絶えません。
この記事では、製造業のバイヤー、サプライヤー、現場リーダーの皆様が、今日から押えておきたいHSコードと関税トラブルの基本知識、そして、現場で即活用できる実践的な”防衛策”をご紹介します。
HSコードとは何か?〜基本の再確認〜
HSコード(Harmonized System Code)は、国際貿易で使われる商品の分類コードです。
関税や貿易統計、取引規則で商品を識別するため、世界共通で定められた6桁の番号がベースとなります。
日本では「輸出入統計品目表(HS コード)」が使われており、実際の書類では9桁やさらに細かい13桁で運用されます。
HSコードのポイントは以下の3点です。
- 1. 基礎6桁までは世界共通の分類体系
- 2. 各国がその下(7桁以降)を国内事情に合わせて細分化
- 3. 「どの分類に該当するか」は国ごと、担当者ごとに判断が揺れやすい
特に3点目は現場を悩ませる要因です。
新製品の輸出、既存品の仕様変更など、ほんの些細な仕様が変わるだけで、HSコードの「該当品目」が変わり、関税率や規制品目への該当などが大きく変動する恐れがあります。
HSコードと関税トラブルの現場事例
実際の製造現場では、どのようなHSコード・関税トラブルが起きているのでしょうか。
現場の生の声と共に、主な事例を紹介します。
事例1:HSコードの誤申告による追徴関税
ある中堅部品メーカーでは、精密部品用の金属加工品を欧州へ輸出していました。
「ずっと使ってきたから」という理由で以前のHSコードを申告し続けていましたが、欧州側の関税当局から「現物調査」が入り、「本来より関税率が高いHSコードに属する」と認定されました。
結果、過去2年分の差額関税を追徴され、現地在庫の引き上げやブランド信用低下など、多大な損失を被りました。
事例2:一部材料変更によるコード変更
アジア某国宛の精密機械の案件。
エンドユーザー都合で一部の部材を「耐食性向上のため別金属に変更」。
それに気付かず、従来品と同じHSコードで輸出書類を作成した結果、現地税関で「材質違い=別コード」と判定。
貨物が長期間留め置きとなり、最終的には高額な罰金の支払いと納入遅延のペナルティで利益が吹き飛びました。
事例3:委託先に任せきりで書類不備
長年信頼してきた通関業者やフォワーダーに、書類作成を丸投げ。
日本での提出時は問題ありませんでしたが、現地当局が同じHSコードを認めず都度手続きや追加書類を要求。
窓口を「片側だけで」見る業界体質が、情報の非対称性(言ってみれば“現場と現場の情報格差”)というトラブルを引き起こしています。
なぜHSコードでトラブルが起きやすいのか
HSコードの難点は、現場での「思い込み」や「ブラックボックス化」が起きやすい点にあります。
その主な原因を分析します。
1. 製品の進化・多様化に制度が追いついていない
デジタル家電や先端素材、IoT搭載機器など、現代的な製品仕様に必ずしもHSコード体系がピタリと合っているわけではありません。
新旧の技術が混在する日本の製造現場では、カテゴライズがしづらい製品・部材が多発します。
2. アナログ的な慣習と属人性
熟練担当者の「経験」だけでHSコードを決定してしまう。
詳細な仕様変更や、海外独自の法規制まで配慮しきれず、個人ごとの解釈の違いがありえます。
3. サプライヤーとバイヤー間の情報非対称性
製造現場では「伝票主義」「伝統的な購買管理」など、とかく情報が縦割りになります。
バイヤーが現地税関の実情を知らず、サプライヤーが現地法令を正確に把握できていないことがトラブルの引き金です。
4. 取引先国ごとの判断基準の違い
同じ製品・同じ資料で申告しても、国や地域、時期、担当官ごとでHSコードの扱いが異なるのが実情です。
国際通関の現場では「これが絶対」というものがなく、交渉や追加証明が求められることも多々あります。
現場ですぐできる!HSコード・関税トラブルの防止策
では、実際に現場レベルで今日から実践できる、HSコード・関税対策は何があるでしょうか。
バイヤー・サプライヤーそれぞれの立場で整理します。
バイヤー視点:5つのチェックポイント
- 製品設計・変更時は必ず「最終用途・材質・スペック」を書面で明確にする
- HSコードは国内外の通関業者、自社法務・税務部門にもダブルチェックを依頼
- 海外現地法人や取引先と、事前に現地税関の実績・ナレッジを共有する
- 納期に余裕を持ち、トラブル発生時に追加資料を即提出できる体制を作る
- 「新しい案件・仕様変更」は、経験や慣習に頼らず、必ず一次情報を調査
サプライヤー視点:4つの実践アクション
- サンプル品や新部材導入時は、都度「HSコードリスト」を再確認・更新を徹底
- 相手国のHSコードの実際運用例や、必要書類の傾向を調査・学習
- 通関業者任せにせず、自社でも基礎知識を習得し「情報を鵜呑みにしない」姿勢を持つ
- 見積・受注段階で、関税率や通関費の試算情報も提供してバイヤーとの信頼を高める
関税トラブルの「一歩先」を行く情報収集法
情報格差が生むトラブルを未然に防ぐには、「現地のナマ情報」にアクセスするアンテナの高さがカギです。
どんな情報源や、人脈が役立つのでしょうか。
1. 国ごとの「貿易振興機関」や「商工会」の活用
JETROや各国の商工会サイトは、その国・地域特有のHSコード事例やFAQを多く発信しています。
日々、輸出実務のアップデート情報に目を通すことを習慣化するのが大切です。
2. 通関業者・フォワーダーとの「現場レベル」の密な連携
現場担当者同士の交流会やネットワーキングイベントに積極的に参加し、ナレッジやトラブル事例を共有しましょう。
社内・業界横断的な勉強会もオススメです。
3. 社内ナレッジ管理のデジタル化+属人的ノウハウの共有
個人の頭の中だけの情報を、社内ポータルやドキュメントに一元管理して「誰でも再現可能な手順書」として残していきます。
これは”昭和型アナログ文化”を脱却する第一歩です。
まとめ:アナログ現場の「一歩先」を目指そう
HSコードや関税トラブルは、昭和型ものづくり現場の「なんとなく」「担当任せ」という体質が残っている限り、今後も絶えません。
しかし、その壁は「情報の透明化」「現場×現場の巻き込み」「デジタル活用×実体験ノウハウの融合」で打ち破ることができます。
現代のバイヤー・サプライヤーは「モノ」だけでなく、「知恵」や「透明なプロセス」をセットで提供することが新常識となりつつあります。
HSコードと関税の知識武装は、あなたの会社の信用力、さらには日本の製造業の競争力を高める最強の武器となるのです。
今日からできる一歩として、本記事の実践ポイントをぜひ現場で試してみてください。
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