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誤出荷ゼロが実現しない企業が見落としている基本

目次
はじめに:誤出荷ゼロを目指すという現実
製造業において、「誤出荷ゼロ」は永遠の課題です。
多くの工場や物流現場が「ゼロミス」「完全防止」を標榜し、改善活動やデジタル化を進めています。
しかし、現実には誤出荷が完全に無くなっている企業はごく一部。
どんなに最新鋭の自動化設備を導入しても、根本的な部分が疎かだと事故は絶えません。
私が20年以上現場で見てきた経験から、現場が見落としやすい、しかし絶対に外せない“基本”があります。
この記事では、誤出荷ゼロを妨げる本当の要因と、その突破口を深掘りします。
誤出荷の本当の原因:テクノロジーの導入だけでは解決しない
誤出荷のきっかけはさまざまですが、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化に期待を寄せ、システム投資に力を入れる現場が増えました。
確かに最新技術は有効ですが、「誤出荷ゼロ」に直結しないこともしばしばです。
なぜなら、誤出荷の“温床”は、現場の日常に潜むちょっとした油断や錯覚、既存のルールへの過信にあるからです。
現場目線で言えば、「なんとなくやっていること」「昔からのやり方」「うちの会社は大丈夫」という思い込みが一番危険です。
アナログだからこその強みとリスク
日本の多くの製造現場は、依然として紙の指示書、手書き伝票、口頭伝達などアナログな運用が色濃く残っています。
こうした“昭和的”運用は非効率と思われがちですが、実は現場力や人の気配りが発揮される場面でもあります。
ところが、人の記憶、注意力、慣れ…これらに仕事を預けると、業務の複雑化や急な仕様変更などに対応しきれず、ささいな「ヒューマンエラー」が重なって誤出荷の温床となります。
このリスクを過小評価することが、誤出荷ゼロへのブレーキになっているのです。
現場が見落としている“基本”とは何か?
誤出荷トラブルは「根拠のない思い込み」と「変化に対応しない仕組み」から生まれます。
一見地味ですが、以下の3つの基本を実践できている現場は意外と少ないです。
1. “二重チェックは万能”という思い込みを捨てる
伝票と現物、仕分けリストと出荷品など、現場ではしばしば二重・三重のチェックがお約束です。
しかし「誰かがやるだろう」「チェックしたはず」による“形式だけの確認”が横行していないでしょうか?
実際、チェックサインだけついていて内容が間違っているケースは珍しくありません。
重要なのは、形式に頼るのではなく、
– チェックの目的と具体的手順を定期的に再確認する
– 例外手続きやイレギュラー時の動きを全員で共有しておく
– 手順や帳票の属人化を徹底的に排する
といった、“やり方”より“理解”を深める仕組みです。
2. 現場の「当たり前」を疑う視点を持つ
手順書に書いてあるから正しい、昔からこうしているから間違いない。
こうした「思考停止」が、いつしか現場のミスを生みます。
例えば、部品の保管場所が増えたり、顧客仕様や納品フォーマットが変わったときこそ、従来のルールが通用するとは限りません。
「なぜこの工程が必要か?」「本当に現状の作業で目的を果たしているか?」を問い直すことが、ミスの芽を摘むのです。
現場に“なぜなぜ分析”を根付かせる、改善提案制度を活性化するなど、小さな疑問や不満を吸い上げる土壌作りが大切です。
3. コミュニケーションの質を高める
誤出荷の多くは「伝わっていなかった」「言ったつもりだった」という人的伝達ミスです。
指示や情報の共有ルートが複数あり、どのデータが正しいかわからない-よくある混乱も、昭和的な現場では起こりがちです。
具体的には
– 指示の文書化(エビデンスを残す)
– 伝達内容の復唱・フィードバックを徹底する
– 口頭指示や手書きメモと、システム指示を使い分けず一本化する
といった、「伝わるまで伝える」意識が不可欠です。
現場の“ノリ”“阿吽の呼吸”に頼りすぎない文化作りが誤出荷防止につながります。
バイヤー・サプライヤー双方が持つべき視点
誤出荷ゼロは、出荷元だけの責任と捉えられがちですが、バイヤー(購買)・サプライヤー(供給者)の双方が強い連携意識を持つことも重要です。
バイヤーは何を考えるか?
バイヤーは、単なる「納期とコスト」管理だけでなく、品質マネジメントの一端を担っています。
– 誤出荷トラブルが起きたとき、サプライヤーへの是正だけで終わらせず、自社の指示や伝達にも問題がなかったかを検証できているか
– 発注情報や仕様変更の連絡が、現場レベルで正しく通じているか
– 不適合発生時の連絡・対応ルートが明確化されているか
など、自社の調達プロセス全体の“整流化”が問われます。
サプライヤー側で意識すべきこと
製造現場は、とかく「うちは言われた通りにやっています」と受け身になりがちです。
しかし、実際は顧客ごとに異なる仕様や受入基準、納入箱の規格、伝票の書式…など多数のバリエーションと向き合っています。
サプライヤーが現場改善の主体になるためには、
– 「なぜこの手順なのか?」「この情報は本当に必要?」などを顧客と対話し、ムダや曖昧さを減らす
– 自社標準と顧客仕様の違い、作業現場とのギャップを棚卸しする
– 小さな異常や違和感をバイヤーと積極的に共有し、現場改善に巻き込む
こうした前向きな姿勢が、両社にとっての“誤出荷防止”という大きな成果に繋がります。
昭和的アナログ業界に残る「伝統の壁」とその突破法
歴史あるメーカーや家族的な町工場ほど、昔ながらの人間関係や経験値が現場を支えています。
この風土自体は決して悪ではありません。
課題は、「昔のやり方」に安住し、変化を敬遠するところにあります。
現場の「職人芸」を見える化する
ベテラン作業者に頼って属人化する業務や、「暗黙知化」されたノウハウは、技術伝承の強みとなると同時に誤出荷のリスク源にもなりえます。
これを乗り越える一歩は、
– 手順の分解・説明書きと、その改善ループを回すこと
– 作業標準書やルールの定期見直し(“年一回は必ず現場と議論する”など)
– 若手・外国人労働者など多様な作業者でも理解できる資料や、共有会の開催
こうした施策で「誰がやっても同じ品質」を支える基礎が築けます。
IT化とアナログ現場の“いいとこ取り”を実現する
IT導入は大規模設備投資だけでなく、現場課題ごとに小さく始めることもできます。
例えば
– バーコードやQRコードによる手元確認
– 手持ち端末による現場入力
– チャットやLINE WORKS等によるリアルタイム連絡網の新設
といった、今のアナログ運用を活かした「現場目線のIT化」が効果的です。
大切なのは、現場担当者の意見を起点に、使い勝手や運用性を重視して段階的に調整することです。
現場・管理層・経営層に求められる新たな地平線
誤出荷ゼロを実現するには、単なる設備投資やルールの強化だけでなく、「人」×「仕組み」×「テクノロジー」の三位一体改革が不可欠です。
現場担当者は、「なぜこれをするのか」の理解と、主体的な発言を持つこと。
管理職は、異常やヒヤリハットの見逃しを絶対に許さない現場対話の強化。
経営層は、現場に即した柔軟な改善投資と働き方改革、現場目線の声を直接拾い上げる経営姿勢。
この三者が歩み寄った先にこそ、「誤出荷ゼロ」への突破口が生まれます。
まとめ:明日から実践できる「誤出荷ゼロ」の基本
昭和的な現場文化が今も力を持つ製造業。
その現場力を誤出荷ゼロに活かすためには、
– 「思い込み」や「慣習」を疑い続ける姿勢
– 人と仕組み、ITのバランスを保った地道な改善
– サプライチェーン全体での情報共有・連携の強化
– そして現場・管理層・経営層が一体となった改革
これらの“基本”に今一度立ち返り、足元を見直すことが最短の改善策です。
一朝一夕で魔法のように誤出荷はなくなりませんが、「なぜゼロが達成できていないのか?」の答えは、必ず現場に潜んでいます。
今日から、ぜひ“基本”の見直しに一歩踏み出してみてください。
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