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撹拌技術の基礎とスケールアップおよび撹拌機の最適選定・トラブル対策

目次
はじめに
撹拌技術は製造業において非常に重要な役割を果たしています。
化学工業、食品工業、製薬工業など、さまざまな分野で液体の混合・分散・溶解を効率的に行う必要があります。
これにより、製品の均一性や品質を向上させ、生産効率を最大化できます。
この記事では、撹拌の基本的な概念、スケールアップの考え方、撹拌機の選定方法、そしてよくあるトラブルとその対策について詳しく解説します。
撹拌技術の基礎
撹拌の目的と用途
撹拌の主な目的は、異なる成分を均一に混合することです。
これには、物理的な統一、化学反応の促進、温度の均一化、懸濁液の安定性向上などが含まれます。
例えば、化学製品の製造では、反応成分が均一に混ざることで反応速度が向上します。
製薬業界では、成分の安定した分布が製品の有効性と安全性を保証します。
撹拌機の種類
撹拌機には、プロペラ型、タービン型、パドル型、アジテーター型など、さまざまな種類があります。
プロペラ型は高粘度流体の混合に適しており、タービン型は中粘度から高粘度流体まで広く対応可能です。
パドル型は粘度が低い液体の撹拌に適しており、大型の撹拌槽によく用いられます。
アジテーター型は細かい制御が可能で、特殊な撹拌要件に適応します。
撹拌の基本原理
撹拌の基本的な動作原理は、流体を撹拌翼を用いて物理的にかき混ぜることで、混合・分散を促進することです。
撹拌翼の回転によって流体が動かされ、タンク全体に流れが生じます。
この流れが形成されることにより、局所的な濃度や温度の差が解消され、均一な混合が可能になります。
スケールアップの考え方
スケールアップの重要性
製品の試作から量産へとスケールアップする際には、プロセスの最適化が重要な課題となります。
小規模試験で得られたデータを基に、量産段階においても同じ品質を保つ必要があります。
スケールアップに失敗すると、生産効率の低下や品質不良が発生する可能性があります。
スケールアップの基本原則
スケールアップの際に重視される基本原則にはいくつかの要素があります。
まず、幾何学的類似性を保つことです。
これは、撹拌槽や撹拌機の寸法比を一定に保つことが重要です。
次に、動力数(または撹拌動力の密度)を保持することです。
これにより、エネルギーの投入量のバランスが保たれ、均一な撹拌が確保されます。
スケールアップにおける課題
スケールアップの課題としては、撹拌の力学的特性が試作スケールと量産スケールで異なることがあります。
具体的には、流体の粘性、密度、界面張力の影響が異なり、撹拌効率が変化することがあります。
さらに、温度や圧力のコントロールも難易度が増すことが多いため、これらの変動要素を考慮した計画が必要です。
撹拌機の最適選定
撹拌機選定の基準
撹拌機を選定する際の基準は、撹拌する流体の特性によります。
重要な要素として流体の粘度、比重、温度、そして撹拌速度が挙げられます。
また、必要な撹拌効果(均一化、分散、懸濁など)に応じて、撹拌機のタイプが選ばれます。
運転コストやメンテナンスのしやすさも考慮する必要があります。
撹拌槽の設計と撹拌翼の選択
撹拌槽の設計は、撹拌効率に大きな影響を及ぼします。
適切な形状やバッフル(障害物)の配置によって、効率的な流れが形成されます。
さらに、撹拌翼の形状とサイズの選択も重要です。
例えば、高粘度の流体には大きな翼を、低粘度の流体には小さな翼を選ぶことが一般的です。
撹拌機の動力要件
撹拌機の動力は、流体の抵抗に打ち勝って撹拌するために必要なエネルギー量です。
通常、動力数や撹拌動力密度として計算されます。
動力の過小設定は不十分な撹拌を引き起こし、過剰な設定はエネルギーの浪費につながります。
したがって、動力の最適化が重要です。
撹拌におけるトラブルとその対策
よくあるトラブルとその原因
撹拌における一般的なトラブルとしては、撹拌が不均一であったり、泡立ちがひどかったりすることがあります。
不均一な撹拌は、流体特性や撹拌設計が原因です。
泡立ちは撹拌速度が速すぎる場合や撹拌翼のデザインに問題がある場合に発生します。
撹拌不良の対策
撹拌が不均一である場合、撹拌槽の設計や撹拌速度を見直すことが有効です。
例えば、バッフルの位置や撹拌翼の調整が効果的です。
また、スケールアップ時の団子状物の発生を防ぐための適切なプロセスパラメータの設定も重要です。
泡立ちの抑制策
泡立ちを抑制するためには、撹拌速度を調整することが基本です。
速度を適切に設定することで、流体表面の安定化が期待できます。
さらに、撹拌剤の選択も泡立ちの抑制に寄与します。
おわりに
撹拌技術は製造工程において重要な要素であり、その効率と効果は製品の品質と生産性に大きく影響します。
スケールアップ時には試験段階のデータを活用しつつ、スケジュールや設計を慎重に進めることが肝要です。
また、撹拌機選定やトラブル対策においては、常に現場の声や実績に基づいた対応が求められます。
製造業界での経験を活かし、実践的な工夫を加えながら、より良いプロセスの確立を目指しましょう。
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