投稿日:2025年1月4日

めっき加工の基礎とトラブル対策および未然防止のための品質管理のポイント

めっき加工の基礎

めっき加工は、製品の表面を金属の薄膜で覆うことで、耐食性、外観、機能性を向上させる技術です。
この技術は、製造業において非常に重要な工程であり、様々な用途に応じて使い分けられています。
めっき加工には主に、電解めっき、無電解めっき、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)などがあります。
各手法にはそれぞれ特長があり、用途や材料に応じて適した方法を選ぶことが重要です。

電解めっき

電解めっきは、通電させることで表面に金属を析出させる方法です。
この方法の利点は、加工スピードが速いことと膜厚のコントロールがしやすいことです。
一般的には、ニッケルやクロムのめっきに用いられます。
しかし、電流が均一に流れない部位では膜質が劣化することがあります。

無電解めっき

無電解めっきは、化学的還元反応を利用して均一な厚さに金属被膜を形成する方法です。
この方法の利点は、複雑な形状でも均一なめっきが可能な点にあります。
特に、電子部品や微細加工品に広く利用されています。
ただし、反応のコントロールが難しく、液を適切に管理する必要があります。

主なめっきの種類

めっきには、金めっき、銀めっき、銅めっき、亜鉛めっきなどがあります。
それぞれに特有の性質がありますが、例としてニッケルめっきをあげれば、耐食性と密着性が高いことで知られています。
用途に応じためっきの選択が、製品の品質向上に寄与します。

めっき加工におけるトラブル

めっき加工においては、様々なトラブルが発生することがあります。
これらのトラブルは製品の品質を著しく低下させるため、未然に防止することが求められます。

膜の剥離

膜の剥離は、密着不良による代表的なトラブルです。
原因としては、下地の洗浄不足やめっき中に生じる応力、あるいは異物混入などが挙げられます。
剥離を防ぐためには、工程全体を通して徹底した品質管理が必要です。

ピンホールとブリスター

ピンホールは微細な孔が表面に生じ、そこから腐食が進行する原因となります。
また、ブリスターは内部にガスが溜まり、膨れ上がってしまう現象です。
これらの不良は、前処理の不備や膜の厚さの不均一などが原因です。

色むらと光沢不良

色むらや光沢不良は、見た目の品質を損なう問題です。
均一なめっきが施されていないことが原因で、薬液の劣化や不純物の存在が影響します。
薬液の定期的な交換と不純物の除去が必要です。

未然防止のための品質管理のポイント

めっき加工の品質管理は、製品の信頼性を確保するために極めて重要です。
以下に、品質管理のポイントを紹介します。

徹底した前処理

前処理は、めっき加工の成否を分ける重要な要素です。
下地となる素材のクリーニングや酸化膜の除去は念入りに行います。
また、素材に応じた最適な方法を選択することが重要です。

薬液の管理

薬液は使用により劣化しますので、定期的な交換と成分濃度の管理、温度の適正範囲を維持します。
また、管理は化学的分析によって裏付けされるべきです。

定期的な装置メンテナンス

めっき装置は、精密なプロセスを実行するためのツールです。
定期的な装置のメンテナンスにより、故障を防ぎ、安定した生産を可能にします。
部品の摩耗点検や潤滑が欠かせません。

トレーサビリティの確保

原材料から最終製品に至るまでのトレーサビリティを持つことで、不良発生時の迅速な原因追及と改善が可能です。
追跡可能な記録を残し、データを活用した品質管理を推進します。

最後に

めっき加工は製品の品質を左右する重要な工程です。
トラブルを未然に防止し、高品質な製品を提供するためには、徹底した品質管理が不可欠です。
昭和から続くアナログ技術が根強いこの業界においても、現代の技術と融合させ、さらに高い品質を追求していくことが必要です。
これらの知識が、現場で役立つことを願っています。

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