- お役立ち記事
- 残留応力の基礎・測定と有効利用および除去方法
残留応力の基礎・測定と有効利用および除去方法

目次
残留応力とは何か
残留応力は、製造業において非常に重要な概念です。
これは、材料や製品が製造プロセスまたは外部からの力を受けた後に、その内部に残る応力のことを指します。
加工や成形、溶接、熱処理といった生産工程では、物質が変形したり温度変化にさらされたりする中で、内部に目に見えない応力が積み重なります。
この応力は、製品の強度や耐久性に影響を与える可能性があるため、適切な管理と理解が不可欠です。
残留応力の発生要因
残留応力は、主に以下の要因で発生します。
1. **塑性変形**:
金属の加工や鍛造によって、塑性変形が起こります。
これにより材料内部に永久変形が残り、その形を維持するための応力が残ります。
2. **熱処理**:
焼入れや焼戻しなどの熱処理作業では、急激な温度変化が材料表面と内部に異なる応力が発生させます。
冷却速度の違いにより、表面と内部で歪みが生じ、残留応力が生じます。
3. **溶接**:
異なる材質や厚みの溶接場合、局所的な熱膨張と収縮が際立ち、これが残留応力の大きな要因となります。
4. **機械加工**:
鋳造や鋳鉄製品の切削加工の過程で、表面と内部の間で応力が分布し、残ります。
残留応力の測定方法
残留応力の正確な測定は、製品の品質保証において不可欠です。
ここでは主要な測定方法をご紹介します。
X線回折法
X線回折法は、金属表面の結晶構造の歪みを検出することで、残留応力を測定します。
高精度な結果が得られるため、特に精密部品の評価には適しています。
ただし、この方法は表面層の応力しか測定できない点に注意が必要です。
ホール法
ホール法は、材料に小さな穴を開け、その際に発生する歪みを測定する手法です。
穴を開けることで、局所的に応力が開放される反応を測定するため、応力の分布状態を知ることができます。
内面の応力については測定しづらいため、全体の応力が問題となる場合には限界があります。
ひずみゲージ法
ひずみゲージ法は、材料表面にひずみゲージを取り付け、変形による電気抵抗の変化を測定します。
これにより、材料の応力状態を推定できます。
簡便でコストも抑えられるため、多くの現場で利用されています。
残留応力の有効活用
残留応力は、一見すると問題になると思われがちですが、適切に利用することで製品特性を向上させることも可能です。
加工硬化の活用
冷間加工では、加工硬化が生じやすくなります。
これらは意図的に操作することで、製品の強度を増し、性能向上に役立ちます。
表面圧縮応力の利用
例えば、ショットピーニングなどは、表面に圧縮応力を導入することで、疲労強度を上げる効果があります。
表面疲労が問題となる部品に有効です。
内部応力の設計
ガラスやセラミックスの分野では、残留応力を設計に織り込むことで、耐衝撃性や耐熱性などを調整することができます。
残留応力の除去方法
残留応力は、時として製品の滅すべき不具合の原因となることもあります。
このような場合、適切な除去方法を選択することが重要です。
熱応力除去焼なまし
焼き入れ後、緩やかに加熱し、応力を除去する方法です。
通常は実現しやすく、コントロールしやすいプロセスです。
機械的除去
機械加工によって表面の材料を削り取り、特に表面に残る応力を低減する方法です。
万が一設計上不可逆な影響を与えないためにも、適宜計測しながら進める必要があります。
振動時効処理
材料を振動させることで、内部応力を和らげる方法です。
熱をかけたくない場合や、サイズの大きい部品に対して効果的です。
結論
残留応力は、製造業における重要な側面であり、適切な理解と管理がなければ製品品質を損なう可能性があります。
しかし、逆に適切に活用すれば、製品の強度や耐久性を向上させることができます。
残留応力を測定し、場合によっては除去するための技術や方法を正しく選ぶことが、製品の信頼性と競争力を高める鍵です。
製造プロセスにおいて、この領域をしっかりとマネジメントすることが、製造業の発展にとって不可欠だと言えるでしょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)