投稿日:2024年6月28日

初めての方向け!溶接線 (Welding Wire)の種類と選び方ガイド

はじめに

溶接は金属加工の中でも非常に重要な工程であり、部品や構造物の強度や耐久性に直接影響します。
そのため、使用される溶接線 (Welding Wire) の選択は極めて重要です。
この記事では、初めての方向けに溶接線の種類と選び方について詳しく解説します。

溶接線の基本知識

溶接線とは?

溶接線は、溶接作業において金属部品同士を接合するために使用される金属線です。
通常は巻き線状に供給され、自動溶接機や半自動溶接機で使用されます。
溶接線は、母材に溶け込みながら接合部を形成し、強固な接合を実現します。

溶接方法による種類

アーク溶接用溶接線

アーク溶接は、電気アークの熱を利用して金属を溶かし接合する方法です。
この方法には、シールドガスを使用するガスシールドアーク溶接(GMAW)とシールドガスを使用しない被覆アーク溶接(SMAW)などがあります。
使用する溶接線も、これらの溶接方法に合わせて選定する必要があります。

TIG溶接用溶接線

Tungsten Inert Gas (TIG) 溶接は、タングステン電極と不活性ガス(通常はアルゴンガス)を使用する溶接方法です。
TIG溶接に使用される溶接線は、母材と同じ材料であることが一般的です。
これにより、高品質な接合が可能となります。

MIG/MAG溶接用溶接線

MIG (Metal Inert Gas) および MAG (Metal Active Gas) 溶接は、自動で送り込まれる溶接線とガスを使用する溶接方法です。
MIGは不活性ガスを使用し、MAGは活性ガスを使用します。
使用する溶接線は、材料の種類や溶接位置によって変わります。

溶接線の材質による種類

鉄系溶接線

鉄系溶接線は、鋼材の溶接に広く使用されます。
炭素鋼からステンレス鋼まで、さまざまな種類があります。
耐腐食性や強度が求められる場合には、ステンレス鋼の溶接線を使用します。

アルミニウム系溶接線

アルミニウムの特性から、アルミニウム系溶接線は軽量で耐腐食性に優れています。
航空機や自動車など、軽量化が重要な分野で広く使用されています。
ただし、アルミニウムの溶接は比較的難易度が高いため、適切な技術と装置が必要です。

銅系溶接線

銅系溶接線は、電気伝導性が求められる場合や、特定の耐腐食性能が必要な場合に使用されます。
電線の接合や特殊な配管工事でよく使われます。

溶接線選びのポイント

母材の材質

まず最も重要なのは、母材の材質です。
母材と溶接線の材料が一致することが、強力で長持ちする接合を実現するための基本です。
例えば、炭素鋼を溶接する場合、同じ材質の炭素鋼溶接線を使用します。

溶接方法

次に考慮すべきは、使用する溶接方法です。
各溶接方法に適した溶接線が存在し、相性が悪いものを使用すると溶接品質が低下する可能性があります。
MIG溶接やTIG溶接など、使用する装置に最適な溶接線を選定しましょう。

溶接条件

溶接環境や条件も重要です。
例えば、屋外での溶接では風の影響があるため、風に強い溶接線を選ぶ必要があります。
また、高温や低温で使用する場合には、適切な温度耐性を持つ溶接線を選びます。

加工後の処理

溶接後に部品がどのように使われるかも考慮に入れます。
特に重要なのは、耐食性や強度です。
高温環境下で使用される部品には、耐熱性のある溶接線を、腐食環境では耐腐食性の高い溶接線を選びます。

溶接線の取り扱いと保管方法

取り扱いのポイント

溶接線は慎重に取り扱う必要があります。
特に酸化や汚染を避けるために、開封後はできるだけ早く使用することが望ましいです。
使用する前には必ず表面の清掃を行い、汚れや酸化層を取り除きます。

保管方法

溶接線は湿気や埃、異物から保護するために、乾燥した場所に保管します。
また、温度変化や直射日光も避けることが重要です。
適切な保管を行うことで、溶接線の品質を長期間保つことができます。

最新の技術動向

高精度レーザー溶接

近年、溶接技術において高精度レーザー溶接が注目されています。
レーザー溶接は非常に狭い範囲で高温を発生させるため、熱影響による変形が少なく、非常に高い強度の接合が可能です。
自動車産業や電子機器製造での利用が増えています。

自動化とロボット溶接

工場の自動化が進む中で、ロボット溶接も一般的になっています。
ロボットを使用することで、精度が高く、一貫した溶接が可能となり、労働力不足の解消や品質向上に貢献しています。
また、AI技術を活用した溶接ロボットも登場しており、自動化の波は今後ますます広がるでしょう。

まとめ

溶接線の選び方は、母材の材質、溶接方法、溶接条件など多くの要因に依存します。
適切な溶接線を選定することで、強力で長持ちする接合が可能となります。
また、溶接技術は日々進化しており、最新の技術動向にも注目することで、より高品質な製品を作り上げることができます。

製造業における溶接は、その重要性から一層の知識と経験が求められます。
この記事が初めての方にとって、溶接線の選び方や最新技術の理解の一助となれば幸いです。

資料ダウンロード

QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。

ユーザー登録

調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

オンライン講座

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)

You cannot copy content of this page