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ブレードジグOEMがウィード抜け性能を向上させるエラストマーガード一体成形

目次
はじめに:日本の製造業現場と釣り具産業のリアル
釣具産業は日本のものづくり文化の中でも、独自の技術と市場に支えられ続けてきました。
その中でも、ルアーパーツのひとつである「ブレードジグ」にOEM(受託製造)という形で携わる現場は、今も昭和的な手作業工程と、最新の自動化技術の狭間で悩みながら進化を続けているのが現状です。
近年、釣り具ユーザーから求められるルアーへの機能要求は年々高まっています。
特にバスフィッシング界隈では「ウィード抜け性能」を重視する声が増えており、これに応えるための“現場発の革新”として注目されているのが、エラストマーガード一体成形という技術です。
本記事では、20年以上にわたり日本の製造現場に身を置いてきた筆者の視点から、ブレードジグOEMの可能性や課題、そしてこれからの釣り具産業にとっての「イノベーションとは何か」を掘り下げていきます。
ブレードジグとウィード抜け性能の関係
ブレードジグの基礎知識
ブレードジグとは、フック部分に金属製のブレード(羽根)を取り付けて、水中で振動や反射を生み出すルアーです。
その集魚力は絶大で、特にバス釣りでは定番のアイテムとなっています。
一方で、自然のフィールドでは水草(ウィード)が生い茂った場所でも使われるため、「草に絡みにくい=ウィード抜け性能」の高さが必須です。
ウィード抜け性能とは
ウィード抜け性能とは、ルアーが水草や障害物と接触した際に、フックやボディが絡まったり引っかかったりせず、すり抜けて動き続けられる性能を指します。
引っかかりが少なくなることで、アングラーはストレスなく釣りを続けられ、バイトチャンスを逃しません。
つまり、ブレードジグのヒット率や生産性、ブランド価値を左右する極めて重要な性能です。
エラストマーガード一体成形という“現場革命”
従来の製造方式とその課題
以前は“ワイヤーガード”や“単体エラストマーガード”が主流でしたが、これらはアセンブリ(組立)工程が発生します。
・細かな部品管理で作業負荷が高い
・工程が煩雑で品質バラつきが生じやすい
・海外生産では輸送コストや品質リスクが増大
など、現場負担が増す課題がありました。
さらには、手作業によるガード取り付けの場合、熟練工の勘と経験に依存している場面も多く、昨今の人手不足や高齢化問題とも無関係ではありません。
こうした課題を抱える中、業界の現場でじわじわと広がっている技術が、エラストマー(高弾性樹脂)によるガードの“一体成形”です。
一体成形のメリット
一体成形では、ガード部分をブレードジグ本体の成形工程で同時に成形します。
これにより、
・部品点数が減るため組立作業そのものが不要
・工程短縮&自動化対応が進めやすい
・パーツ破損や抜け落ちのリスク低減
・品質安定(寸法精度やバラつき減少)
といった明確なメリットが生まれます。
さらに、ガードの弾性や太さ、形状なども金型レベルで最適化できるため、従来にはなかったユニークな仕様の開発も可能になるのです。
エラストマーガードによる性能向上とOEM現場の変化
抜け性能アップの理由
エラストマーは形状記憶性や耐久性、柔軟性に優れているため、水草と当たった瞬間「しなやかに受け流す」動きが可能です。
フックを完全に覆いすぎず、バイト時には“適度に倒れる柔らかさ”を保つことができるのもポイントで、釣果ダウンを極力防げます。
一体成形により、例えば
「中央太め・先端細めのテーパードガード」
「複数本のガードを放射状に成形」
といった設計が自在となり、バイヤー・ブランド担当者の新しい発想にもすぐ対応できるフレキシビリティもOEM現場の武器です。
現場の働き方・工程の見直し
昭和時代から続く“手組み文化”が根深い製造現場では、エラストマー一体成形の導入に抵抗感があるのも事実です。
しかし、
・人依存を減らし生産計画の安定化
・品質管理が一元化され、不良率が劇的に減る
・若手や外国人スタッフでも習熟が早い
そうした「現場力の底上げ」を実感したラインでは、職人も管理職も意識が変わってきています。
現場側では、金型や樹脂材料選びの難度やトライ&エラーの手間はありますが、導入インパクトは確実に大。
経営層・バイヤー・現場が「三位一体」となるDX推進の絶好の入口といえます。
OEM発注側(バイヤー)の真の狙いと、サプライヤーが読み解くべき本音
バイヤーがエラストマー一体成形品に期待すること
OEMバイヤーの現場では、製品スペックだけでなく「リードタイム短縮」や「小ロット多品種対応」も重視される傾向にあります。
・流行に合わせて仕様変更したい
・発売直前に急な仕様追加や数量変更が発生する
・海外向け特殊仕様へ柔軟に対応したい
これらを無理なく実現できるのが、エラストマー一体成形の強みと言えるでしょう。
また、昨今バイヤーの購買判断の基準には「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の観点も大きくなってきています。
一体成形なら無駄な部品や工程、包装材の削減によるエコ・コストダウンが可能であり、社会的評価もアップにつながります。
サプライヤーが持つべき「バイヤーの思考」
サプライヤーとしては
「安く・大量に・とにかく生産」
という旧来的な発想から、
「いかにバイヤーが高付加価値で売りやすい製品づくりを手伝えるか」
といった共創の発想がカギとなります。
たとえば、
・プロトタイプ提案力(設計~試験含めたスピードと提案型営業)
・データやサンプルを用いた性能証明(QC書類の充実化)
・柔軟なカスタマイズ対応力(樹脂配合や形状提案)
など、相手のビジネスを推進する“パートナー意識”を持つことが、長期的成功につながります。
今後の製造業現場とイノベーション:脱・昭和のために
デジタル化と匠の共存
日本の製造業、とくに釣具関連のOEM現場では“職人芸”と“デジタル技術”がまだ乖離しています。
エラストマー一体成形は、その両者を融合する絶妙な落としどころです。
デジタルは作業の効率化・品質安定化を担い、匠の細やかな工夫は設計や素材選び、細部の付加価値化に活きてくるのです。
かつての「人が主役」のものづくりから、「人と設備」が協力し、「現場知」がデータで活かされる未来へ。
こうした視点で技術導入や現場改革に取り組むことは、今後のグローバル競争下での生き残り策となります。
現場の“暗黙知”を顧客価値に転換する
釣具製造に限らず日本の現場には、黙っていても暗黙知(ノウハウ・コツ)が蓄積されています。
これをエラストマー一体成形という「見える化された技術」として提案・提供できれば、それ自体がユニークな付加価値になります。
バイヤーやアングラーへ「なぜウィード抜けが良いのか」「どうやって現場で実現できたのか」までを語り、そのストーリーも含めて商品化できるOEM。
それがユーザーの心を動かし、真の“現場連携型日本ブランド”を育てていく鍵です。
まとめ:現場発のイノベーションが日本のものづくりを変える
ブレードジグOEM現場におけるエラストマーガード一体成形は、「抜け性能の進化」「現場改革」「強いOEMパートナーシップ」という3つの軸で、確実に業界を変え始めています。
昭和型アナログ産業だと侮るなかれ。
現場発の実践知と技術の“横断的な活用”こそが、日本の釣具・製造業の生きる道です。
バイヤーを目指す方、サプライヤーとして伸びたい方、ものづくり現場で悩むすべての方々のヒントとなれば幸いです。
どうか“ラテラルシンキング”の志を持って、皆さんも現場から新たなイノベーションを生み出してください。
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