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投稿日:2025年12月29日

売上の安定と経営の自由は両立しないのか

はじめに:製造業における「売上の安定」と「経営の自由」

製造業に勤めている方や、これからバイヤーを目指す方、またサプライヤーとしてバイヤーの思考を理解したい方にとって、「売上の安定」と「経営の自由」の両立は、非常に切実なテーマです。

多くの経営者や現場リーダーが、毎年変動する市場環境や顧客要求、さらには原材料・部品の調達問題に頭を悩ませてきました。

昭和から続くアナログな業界慣習の中で、「安定性」を追求するあまり、「自由度」や「機動力」を犠牲にしていないでしょうか。

現場目線で「売上の安定」と「経営の自由」がなぜ対立しやすいのか、どうすれば両立できるのか、製造業の暗黙知を交えてラテラルに深く掘り下げていきます。

売上の安定を追求する背景

製造業で求められる「大口ユーザー」の存在

日本の製造業は、長期間にわたり特定の大口ユーザーを中心に受注し、カスタマイズ対応や安定供給を実現してきました。

このため、売上の大部分が数社の顧客に集中する傾向が強いです。

経営陣からは、「売上の見込みが立てやすい」「生産計画を組みやすい」というメリットが重視されています。

昭和型“安定志向”の残り香

部品や材料の過剰在庫、納品タイミングの融通、手書きの日報や定例会議など、昭和時代からの価値観が色濃く残ります。

「慣れたやり方」が安定に直結するとの思い込みが、変化への恐怖、不確実性の回避へと繋がっています。

現場が「型」にはまりやすい土壌ができ、「売上さえ安定すれば、多少の無理・非効率は受け入れる」という“我慢文化”が根付いているのです。

経営の自由がもたらすメリットとリスク

自由度が高い経営=自己決定権の拡大

経営の自由とは、顧客選択、製品開発、新規投資、価格戦略など、経営側の意思決定がより柔軟にできる状態を指します。

売上の一部をあえて「失う」覚悟を持ち、多角化や新規事業にも挑戦しやすくなります。

部品調達や納期、品質条件についても、既存顧客に縛られない決断が可能です。

自由追求のリスクは「先行投資」への不安

自由度を確保するには、既存の安定した受注に依存せず、時には新規顧客開拓や自動化投資、現場改善を進める必要があります。

一方で、失敗リスクも高まります。

安定基盤が揺らぐと、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の無駄や、短期的な売上減少を呼び込みやすいのです。

なぜ両立が難しいと考えられてきたのか

「安定優先」が生んだ自由の抑制

例えば、自動車部品メーカーが長らく系列会社からの仕事に依存していたケースでは、「どれだけ高い品質基準でも対応する」「値下げ要請も受け入れる」ことが、安定の条件とされてきました。

その結果、本来やりたい新技術へのチャレンジ、市場を広げる事業展開の自由が制限されてきました。

サプライヤーとバイヤーの“力学”

調達購買の現場でも、バイヤーの考えていることを深く理解すればするほど、「安定=継続取引の証」「柔軟なコスト対応が必須」という認識が根強いです。

しかしバイヤー側も、実は「自由度の高いサプライヤーだからこそ新しい提案やリスク対応ができる」と望んでいる場合が多いのです。

ラテラルシンキングで突破口を探る

「安定」と「自由」を両立させるヒントは“分散”にあり

売上の安定を各顧客(=リスク)ごとに分けて捉えることが大切です。

1社依存にならず、複数の得意先を持つ、あるいは海外販路や異業種コラボを進めることで、「相対的な安定」を達成しながら自由な経営判断が可能になります。

顧客ポートフォリオの分散は、資金調達の多様化、調達先のグローバル化、さらには人材採用の多様化にもつながります。

デジタル化とデータ活用が経営自由度を支える

昭和型アナログの強みは“現場の肌感覚”にあります。

ただし、現代はIoTやAIを活用し、製造現場のデータをリアルタイムで分析することで、「ここまでなら自由にチャレンジできる」という経営判断の“根拠”がより精密に作れます。

予知保全やスマートファクトリー導入によって、安定した製造稼働率と、リソースの適切な再配分が進みます。

サプライチェーンリスクへの先回り

世界情勢や原材料高騰など、予測できない外部ショックが増えています。

単純な安定志向から一歩進み、「どこがボトルネックになりやすいか」「調達網のサブ経路はあるか」など、自由な発想でリスクシナリオを描き、BCP(事業継続計画)をアップデートしましょう。

これはバイヤーとの信頼構築にも直結し、「あのサプライヤーは、攻めも守りもできる」存在として評価されやすくなります。

現場から見えた「両立」成功事例

攻めの分散で安定+自由=成長へ

ある中堅部品メーカーでは、主要顧客への依存率が80%以上でした。

そこで経営判断として、残りの20%を徹底的に多様化し、自社の得意技術を生かせる医療・FA(ファクトリーオートメーション)分野に進出。

新分野のノウハウ蓄積と並行し、既存顧客も人員や生産ラインの融通を理由に価格交渉で主導権を握れるようになりました。

結果、安定基盤が揺らぐ不安もなくなり、自社判断で事業投資や現場改善にも取り組める「自由な経営体制」が実現したのです。

現場改善と自動化推進で両立

現場の多能工化・作業標準の見える化、品質異常の早期検知にAIシステムを導入したことで、受注変動にも柔軟に対応できる組織体制を構築した例もあります。

大量生産の安定感を維持しつつ、自由度の高い少量多品種生産へのチャレンジが同時並行で進められるようになりました。

これから求められるマインドセット

「安定」と「自由」の選択肢を行ったり来たりする勇気

市場環境や自社リソース状況によって今後も両者のバランスは揺れ動きます。

大切なのは、「どちらかを完全に諦める」のではなく、「安定の中にも自由を、一時の自由の中にも安定軸を意識的に組み込む」ことです。

そのためには、現場の声を吸い上げ、データや対話を通じて継続的に軌道修正する習慣が何より重要です。

まとめ:両立への道は「現場発」の挑戦から生まれる

売上の安定と経営の自由は、伝統的な製造現場では「二律背反」と捉えられがちでした。

ですが、多様な売上分散策や現場デジタル化、サプライチェーン改革、そして自社技術の付加価値化と提案型営業などを組み合わせれば、両立は十分に可能です。

“昭和のやり方”にこだわるのではなく、ラテラルシンキングの視点で「何が本当の安定か」「経営の自由とは責任と挑戦の裏返しである」ことを忘れず、現場から主体的に変革に取り組んでみてください。

きっと明日からの工場運営やバイヤー活動、サプライヤー事業に、新たな視点と活力がもたらされることでしょう。

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