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購買部門が進める輸送モード変更による物流費削減事例

目次
はじめに 〜昭和時代の常識が通用しない物流コスト削減の新潮流〜
製造業の現場では、「物流コストは仕方がない」という半ば諦めの空気が長らく蔓延してきました。
特に、資材の調達や製品の出荷を担当する購買部門やバイヤーは、「運送会社との長年の付き合い」や「これまでやってきた手配方法」に固執しがちです。
しかし、コロナ禍を契機とした2020年代の大きなパラダイムシフト、加えて2024年問題による物流業界の人手不足や運賃高騰など、昭和〜平成のアナログなやり方だけでは全く歯が立たない状況に直面しています。
本記事では、物流費削減のカギを握る「輸送モード変更」に焦点を当て、現場目線でその実践ノウハウと、『なぜ今それが必要なのか?』『どんな成果が得られるのか?』を詳しく解説します。
購買部門が物流費削減を主導すべき理由
購買部門は「全体最適」を見渡せる立ち位置
購買部門は各工場や事業部、物流・生産部門と横串でつながる唯一の部署です。
商流と物流双方の流れを深く理解し、発注や輸送にまつわる現実的な課題、取引条件を最もよく把握しています。
「材料の調達」「部品・製品の納入」「サプライヤー管理」などあらゆる局面でモノの出入りに直面するため、現場の痛みを肌感覚で知っています。
加えて、原価低減の目標が設定される場合、購買部門がリーダーシップを発揮しなければ、物流の合理化は掛け声倒れになることが珍しくありません。
つまり、「物流費」というコストの大きな一部を、購買部門がコントロールし、説得力をもって社内外に提案できるポジションにあるのです。
バイヤー発信の変革が進まなかった背景
「物流は製造現場か物流部門の仕事」「発注単位や納期変更はサプライヤーとの調整が面倒」こうした思い込みや効率化に対する消極的なマインドが、「輸送モード変更によるイノベーション」を阻んできました。
また、昭和型の「付き合いの深さ」を重視した運送会社選定も障害となりがちです。
しかし、VUCA時代(変動性・不確実性・複雑性・曖昧さの時代)における製造業の競争力は、旧態依然とした選択のままでは維持できません。
今こそ購買主導で、物流費削減に切り込むべきタイミングです。
輸送モード変更の具体的アプローチ
モード変更とは何か?〜トラック、鉄道、海上輸送などの選択〜
「輸送モード」とは、貨物を運ぶ方法の種類そのものです。
日本の製造業では9割以上の貨物がトラックを利用していますが、この比率を「鉄道貨物に一部切り替える」「内航船を活用する」「LCC(ローコストキャリア)的な共同輸送便・混載便に切り替える」などに変更することが可能です。
これにより、ただ運賃単価を下げるだけでは実現しなかった抜本的な物流費削減が可能になります。
トラックから鉄道、海上輸送へ — 典型的な成功事例
例えば、ある自動車部品メーカーの事例です。
– 従来:東北工場から九州の組立拠点へトラック長距離便(片道1,400km強)で部品供給
– 課題:トラック運賃上昇、ドライバー不足、深夜運行による納期遅延リスク
– 施策:メイン輸送モードを鉄道コンテナに転換 → トラックは最寄り駅までのラストワンマイル
– 成果:輸送費20%削減、CO2排出量40%削減、ドライバー手配難も解消
また、長尺品や重量品では内航船(RORO船=車両積載型貨物船)利用で、ドライバー拘束時間問題・フェリー運賃の高騰にも対応できます。
混載便・シェアリングで物流効率化を実現
最近は、ITプラットフォームを活用した貨物混載・輸送マッチングのサービスが充実しています。
自社貨物の積載率が低い場合、他社の貨物とスペースを共有する「混載便」を使えば、トラック一台当たりの運賃を分担できます。
また、異業種共同配送や幹線部の大型トレーラー共同利用など“シェアリング”の工夫もできる時代です。
購買部門は社内外の荷主ネットワークを活用して、積極的に混載や共同輸送を企画・主導しましょう。
輸送モード変更の進め方と現場での注意点
Step1:現状の物流コストと物量を「見える化」する
物流費削減の出発点は、“現状分析”です。
どの拠点からどの拠点へ、年間何トン/何便の荷物を、どの運送業者が、どの輸送モードで、どんな単価で運んでいるのか。
この情報をExcelやBIツールで集約し「地図上にプロット」したり、「波動のある出荷量」をグラフ化したりして、まず“全体像”を把握しましょう。
Step2:各輸送モードのメリット・デメリットを検証
輸送モードごとに、次のようなポイントで比較します。
– 運賃単価・コスト構造
– リードタイム(日数、納品時間帯)
– 積載効率(パレット・バルク・ケースの積み方)
– 輸送中の品質管理(温度・振動、荷崩れリスク)
– 最低ロット・最小輸送単位
– 輸送インフラ・便数・運休リスク
トラックは機動力が高く柔軟ですがコストも高い。
鉄道やRORO船は一度に大量の荷物を“定時性高く”低コストで運べますが、出荷ロットや曜日の柔軟性に難があることも。
購買部門は「納期+コスト+需給波動」の最適化バランスを目利きし、各モードのベストミックスを検討します。
Step3:サプライヤー・運送会社と腹を割って交渉する
調達購買の現場では、サプライヤーや運送会社に「今まで通りのやり方」を求め続けがちです。
しかし、物流費削減の成否は、パートナーと率直な対話ができるかがカギです。
– 物量の“山谷”を共有し混載便活用を提案する
– 輸送日や出荷タイミングを少しシフトすることで安価なモードに切り替え可能か検証
– サプライヤーでのバンドル化(まとめ出荷)や共同調達を促進してコストダウンにつなげる
現場の意見をヒアリングし、“現場に根付いた改革”を進めることが、最終的に合意形成と定着の近道です。
Step4:実行・効果検証・継続的な改善へ
輸送モード変更は“導入して終わり”ではありません。
実際の運用に乗せたあとは、定期的に「コストダウン額」「納期遵守率」「品質事故件数」「CO2削減量」などで効果をモニタリングします。
トラブルや現場負荷が顕在化した際は、すぐに関係者と協議し改善サイクルを回すことで、長期間にわたる安定したコスト削減を実現できます。
製造業の現場目線から見た“壁”とその突破法
「他山の石」を活用せよ — 他社事例・異業種事例の積極的流用
「ウチの規模・業種では無理」「うちのサプライヤーは保守的で…」という声が現場には付き物です。
しかし、最近は同業他社や異業種が大胆に輸送モード切り替えに取り組み、数々の成功事例・ノウハウが蓄積されています。
– 食品メーカー大手が鉄道コンテナの定期便化を推進
– 化学メーカーが中間バルクコンテナを新規導入し内航船へ
– 家電・半導体メーカーが複数メーカー共同のトレーラー幹線便を開設
など、従来考えられなかった業界間の連携や物流シェアが加速中です。
最新事例の研究や外部コンサルタントの知恵を取り入れることも、現場の突破力につながります。
レガシーシステムにしばられず“Zeroベース思考“を
「運送業者の慣れ」「固定荷主制度」「イレギュラー対応の温床」など、昭和型のしがらみは着実に存在します。
これらに流されて“新しい仕組み”を導入できなければ、コストダウン競争で後れを取ります。
購買部門自らが主導で、“この荷物は本当にトラックでないとダメか?”“出荷頻度や方法を再設計できないか?”というゼロベースの問いかけを忘れないことが不可欠です。
バイヤー志望者・サプライヤー担当者へのメッセージ
調達購買のプロを目指す皆さんは、単なる「発注担当者」ではありません。
「物資と情報をつなぐハブ」として、サプライヤー・運送会社・工場現場との橋渡しにイニシアティブを発揮しましょう。
業界全体が次代の標準へシフトする今こそ、物流コスト構造の見直し・輸送モード変革はバイヤーの真価を発揮する格好のチャンスです。
また、サプライヤーの業務担当者の皆さんも、購買が提示する“新しい物流モデル”を受け身で受け止めるのではなく、“自分たちもコスト・品質・納期のトリレンマ解決に参加している”という主体意識を持つことが、持続的な取引・ビジネス発展につながります。
まとめ 〜「物流=アナログ業務」の常識を覆そう〜
人口減少・2024年問題・サステナビリティの要請など、日本のものづくりと物流を取り巻く環境は激変しています。
購買部門やバイヤーの主導で“輸送モード変更”による物流革新・コスト削減に果敢に挑戦すること。
それこそが、時代の波に取り残されない企業体質の確立につながります。
ぜひ現場レベルの一歩から、「物流部門まかせ」の思考を超えて、“自分たちならではの物流最適解”の創出にチャレンジしてみてください。
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