- お役立ち記事
- 売上が減るリスクと挑戦するリスクの板挟み
売上が減るリスクと挑戦するリスクの板挟み

目次
はじめに:変革の波に晒される製造業
グローバル社会が急速に進化する中、日本の製造業は今、大きな転換点に立っています。
業界では「売上が減るリスク」を恐れて従来通りのやり方に固執する声が根強く残っています。
一方で、デジタル技術や新しいビジネスモデルへの「挑戦するリスク」も無視できません。
昭和の時代から綿々と続くアナログな商習慣と、これからの時代に必須となるイノベーション。
この二つの狭間で、現場の担当者やバイヤー、さらにはサプライヤーまで多くの人々が悩み、日々の業務や将来像に不安を抱えています。
本記事では、私自身が現場で感じてきたリアルな課題と、これからの製造業界に不可欠な思考とアクション、そして両リスクの現実的なバランスの取り方について深掘りしていきます。
売上が減るリスク:現場が恐れる変化への抵抗
“今まで通り”の安心感が生む停滞
日本の製造業では「安定していること」が美徳とされてきました。
顧客ベースの変化が少なく、長年の商慣習でつながった取引先も多い。
そのため、新規案件開拓や自動化、サプライチェーン改革といった新しい取り組みには慎重になりがちです。
現場からよく聞こえてくるのは、「今のやり方を変えると、既存の顧客が離れるのでは」という不安です。
たしかに新しいチャレンジは一時的に売上減少を招くことがあります。
これは、受け手側のオペレーションに混乱が生じたり、コストアップ要因が表面化したりするためです。
継続は力なり? それとも…
現場目線では、同じやり方を続けることで見通しが立てやすく、不測の事態への対応も標準化されています。
しかし、「現状維持=リスク回避」ではなくなりつつあるのが、ここ5〜10年の環境変化です。
グローバル競争の激化、原材料コストの高騰、人件費上昇、少子高齢化を背景にした人手不足…。
これらは「変わらなければ売上が必ず下がる」リスクに直結しています。
むしろ、リスク回避のつもりで動かなければ、ジワジワと“ゆでガエル”状態に陥り、気づけば競合や世界標準との格差が大きくなるのです。
挑戦するリスク:変化に伴う不安と現実
デジタル化・自動化への挑戦は怖くないか?
IoT、AI、RPA、MES(製造実行システム)……。
“次世代製造業”を象徴するこれらのキーワードは、現場に大きな期待と同時に不安をもたらしています。
新しい技術を導入する際に現場が心配するのは、システムトラブルや人的ミスの増加、初期投資の費用対効果です。
加えて、「せっかく導入しても、取引先からは評価されないのでは?」というジレンマもよく耳にします。
“変革アレルギー”がもたらす機会損失
日本の製造業は「現場力」に強みがあります。
ですが同時に、現場に根付いたノウハウや暗黙知が、変革を足踏みさせる原因になっているケースも少なくありません。
新しいことに挑戦することで、今まで評価されてきた自分や組織のやり方が否定される、人事評価に悪影響が出る…そんな心理が強く働く業界なのです。
ですが実際には、大胆な一歩を踏み出せないまま大手顧客を失ったり、コスト競争で不利な立場に追い込まれたりと、「動かないこと自体が最大のリスク」になっている現場も多く存在します。
両リスクの板挟みが生む現場のジレンマ
板挟みは「悩み」ではなく「武器」に変えられる
製造業の現場が抱える「売上減少リスク」と「挑戦リスク」の間で、何も選択しないという選択肢はありません。
両者をどう乗り越えるかが、これからの現場力に問われる新たなスキルです。
一見矛盾しているこの二つのリスクですが、両者をバランスよくマネジメントすることで、強い組織体制と競争優位を築くことができます。
「これまで守られてきたもの」と「これからの成長が必要なもの」をいかに共存させるか。
ここでカギとなるのが、現場発のラテラルシンキング(水平思考)です。
実例でみる:進化する現場
私が工場長をしていた頃、業界標準より10年遅れていた工程の自動化に着手しました。
当初、現場では大きな反発がありましたが、外部コンサルやITベンダーではなく、現場の担当者自身がプロジェクトのリード役になる仕組みに変更。
すると、自分たちの強みやこだわり、顧客視点を取り込みながら技術を落とし込むことができ、徐々に現場の納得感と成功体験が生まれていきました。
「いきなり大きく変えない」「部分最適を繰り返さない」「現場の声を経営が正面から吸い上げる」。
この積み重ねが両リスクのバランスを保ちながら、結果的に売上を守り、新しい価値創出に繋がるのです。
昭和的商慣習の強さとアップデートの要請
なぜ業界は“昭和”から抜け出せないのか
紙伝票やFAXによるやり取り、「根回し」や「顔をつなぐ」文化、厳しい上下関係、昔ながらの持ち回り役職。
多くの日本の製造現場で、これら昭和的商習慣は今も根強く残っています。
一見時代遅れにも見えますが、これが“現場の安定”や“信頼構築”に寄与してきたことも事実です。
しかし、DXを推進する大企業や、柔軟な体制で急成長している新興企業との競争では、この“昭和的やり方”が足かせとなる場面が増えています。
今こそ“両利き経営”で進化を
ここで必要なのは、伝統を守る「深化」と、イノベーションによる「探索」を両立させる「両利き経営」です。
伝統的な強み(例えば現場のカイゼン文化や細やかな気配り)を活かしつつ、DX・グローバル化に即した新しいルール・技術導入を成功させる。
その中間点を見出すことこそ、日本の製造業が次の50年を生き残るための唯一の道です。
バイヤー・サプライヤーが知っておきたい本音と戦略
バイヤーから見た現場リスクの本質
大手メーカーのバイヤーは、コスト・品質・納期の三大要素を常に天秤にかけています。
サプライヤー側の変革が「安定供給」に悪影響を及ぼすのでは…という疑念を持つ一方、競合との価格競争に対応しなければ自身の立場も守れません。
このためバイヤーは「変化を求めつつ、今の取引水準を犠牲にしない」ことを強く望みます。
つまり、サプライヤーが変革を行うならば、「ムダを省いて品質を上げ、しかも納期短縮も同時に達成する」…ということを求めている現実があるのです。
サプライヤーが取り組むべき“見える化”と“対話”
サプライヤーの立場では、「挑戦リスク」を単なる言い訳にせず、バイヤーの期待値や要望を具体的に理解する「対話力」が欠かせません。
そのために必須となるのが、工程改善による成果指標や、DX・自動化に取り組んだ際のQCD(品質・コスト・納期)向上効果の“見える化”です。
加えて、定期的な情報共有の場を設け、計画と現状、課題と成果をオープンに報告することで、バイヤーとの信頼関係も強固になります。
最終的には「売上減少リスク」と「挑戦リスク」を見極めつつ、“攻め”と“守り”の両輪を回すことが、両者にとってのWin-Winに繋がるのです。
まとめ:これからの現場力に必要な思考法とアクション
売上が減るリスクと挑戦するリスクの板挟みは、製造業の宿命とも言えます。
ですが、どちらか一方に極端に振れるのではなく、両者の絶妙なバランスを現場レベルで実践することが、次世代のものづくりの大前提になっています。
ラテラルシンキングを用い、伝統×イノベーションの“両利き”を意識する。
現場主導の変革、バイヤー・サプライヤー間の本音の対話、成果の見える化とオープンな情報共有。
これらを地道に積み重ねることで、昭和的な強みを維持しつつ、新しい風も受け入れる――そんな現場を育てていくことが、製造業の未来を切り開く最速かつ最良の道となるのです。
挑戦を恐れず、現状維持に安住せず、この“葛藤”を成長の糧に変えていきましょう。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。