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購買部門が直面する消耗品の多品種少量調達の課題と解決策

目次
はじめに:製造業現場の現実と「多品種少量調達」の課題
製造業の調達担当者、いわゆるバイヤーが直面している大きな悩みの一つに、消耗品の多品種少量調達があります。
昭和の時代から、日本のものづくり現場では「現場主義」「現場最優先」といった文化が色濃く残っています。
一方で、グローバル化やデジタル化が加速する令和の今、調達購買部門には「QCD(品質・コスト・納期)」を守りつつ、膨大な数の部品・消耗品を効率よく調達することが求められています。
しかし、多品種少量調達の現場では、「購買先が多すぎて管理が大変」「発注ミス・納期遅延」「伝票処理や帳票管理が手作業」など、昭和型アナログ業務から脱却できず、非効率な作業に追われるケースが後を絶ちません。
本記事では、現場で実際に起きている課題、業界を取り巻く最新動向、具体的な解決策について、製造業目線で分かりやすく解説します。
多品種少量調達とは何か?製造業の現場だからこそ生じる構造的問題
多品種少量調達とは
多品種少量調達とは、多岐にわたる種類の資材や部品、消耗品を、それぞれ小ロットで頻繁に仕入れる調達スタイルを指します。
たとえば、工場の現場ではマスクや手袋などのワークウェアから、機械の消耗部品、化学薬品、治具、段ボールやラベル、文具類まで、膨大な「消耗品」が必要です。
しかも、現場ごとに必要な品目・数量が異なります。
生産変動や新たな試作、設備トラブル時など、突発的な追加での調達も日常茶飯事です。
なぜ「効率化」が難しいのか?昭和型アナログ管理体質の限界
多品種少量の場合、発注頻度が高いうえに、仕入先も多岐にわたります。
エクセルや紙、口頭での発注依頼も根強く残り、属人的な棚卸や在庫管理が常態化しやすい傾向です。
この背景には、
– 「いつものあの業者に電話しておいて」
– 「在庫が切れる前に現場が声をかける」
– 「入り用な時は、現場の担当者が直接ホームセンターに買いにいく」
といった、フローの標準化を妨げる昭和的な現場文化が根強く残っている現実があります。
結果、バイヤーは膨大な伝票処理・申請・支払い業務、問い合わせ・調整など、人的負荷の高い作業に追われてしまいます。
現場視点での課題:現場と購買、それぞれの本音と「ズレ」
現場の担当者は「必要なときに、必要なモノが、確実に届いてほしい」と強く望みます。
一方、購買部門は「コストダウン」「在庫削減」「発注業務の効率化」をミッションに掲げざるを得ません。
この両者の持つ目標やKPIはしばしば相反し、一枚岩になることが難しいのです。
たとえば「在庫を極力持ちたくない」購買側と、「現場が止まらないよう一定量を持っていたい」生産管理側で摩擦が生じます。
この“現場‐購買‐経営”三者の板挟み状態が、問題の根深さを物語っています。
放置できない!多品種少量調達の主なデメリット
調達コスト高騰
多品種で小ロットとなると、発注・納品・支払いといった「管理工数」が膨大です。
さらに仕入単価も、まとまった数量で注文しにくく、単価交渉力も低下しがちです。
結果として、総購入コストだけでなく、調達管理コスト(人件費、間接費)が膨らみ、経営に悪影響を及ぼしかねません。
発注・在庫ミスによる生産トラブル
「必要な時に数が揃わなかった」「発注漏れで間に合わなかった」というトラブルが生産現場では命取りになります。
特に多品種で管理項目が多いと、担当者の経験や感覚だけでは対応が難しくなります。
最悪の場合ラインが止まり、機会損失や顧客クレームへと発展する恐れがあります。
属人化・ブラックボックス化のリスク
「誰が・いつ・どこから・何を買ったか」が分からなくなり、
– 管理担当の不在・異動時に業務停滞
– 不正調達や不適切発注の温床化
など、購買業務がブラックボックス化する危険があります。
業務の標準化・見える化が進まないと、今後世代交代や働き方改革を進めるうえでも大きな障害となります。
多品種少量調達の課題を解決するための3つの「視点転換」
①“現場巻き込み型”調達の推進
購買と現場の距離を埋め、両者の利害を一致させるためには、現場担当者を調達改革チームに積極的に巻き込むことが不可欠です。
– 消耗品ごとに現場で“必要十分量”と“調達頻度”をリスト化
– 現場の専門知識を借り、代替品・共同購買・一括購入可能品の選定
など、現場との壁をなくして合意形成を進めることが、業務効率化・コスト最適化の近道です。
②調達プラットフォーム活用によるデジタル化
アナログ業務から脱却するためには、購買管理システム(ERP)、購買クラウドサービス、消耗品専用EC(e-Procurement)の活用が有効です。
最近では、「間接材バイヤーズマーケット」「MRO(工場消耗品)向けオンラインモール」など、豊富な品揃え・発注~納品~請求の一元管理・仕入先選定・契約交渉支援・データ集約といったサービスが登場しています。
システム導入により、
– 発注業務の抜け漏れ・属人化防止
– コスト・発注履歴の可視化
– 納期管理の自動化、リマインダー
– 多拠点一元管理
など、多岐にわたる効率化が実現可能です。
③サプライヤーとのパートナーシップ再構築
価格や商流で“競争”させるだけでなく、サプライヤーと共同での業務改善、納品頻度・納品日調整、梱包仕様の見直しなど、「全体最適」の発想で関係性を再構築することも重要です。
「まとめて納入(トータルアウトソーシング)」「キッティング・現場納品」「納品先一元化」など、物流や調達フローそのものをサプライヤーと一緒に検討する動きも広がっています。
これにより、管理の手間軽減やコスト削減、安定供給といった双方メリットが生まれます。
現場・バイヤー・サプライヤーが目指すべき未来像
現場は本来業務に集中できる環境を目指す
消耗品の発注・管理といった間接作業を減らし、本来注力すべき「ものづくり」「改善活動」「品質維持・向上」に現場担当者が集中できる環境が、製造業の競争力に直結します。
購買部門は“もう一段上のバイヤー”へ進化する
単なる発注・伝票処理担当から、サプライチェーン全体の最適化を担う戦略的バイヤーへの進化が求められます。
「調達コストの総最適化」「全社横断的な購買戦略の推進」の視点で法規制・カーボンニュートラル対応・リスク分散といった外部環境にも柔軟に対応する役割が増しています。
サプライヤーは価値提供型パートナーへ
値引き競争や標準品の供給だけでなく、「双方共通の課題解決」を目指す提案型営業、バリューチェーン最適化のパートナーとして存在価値を高めることが重要になります。
これにより、顧客との長期的な関係性とWIN-WIN構築を実現できます。
まとめ:今こそ、業界の壁を打ち破る“新しい調達のカタチ”へ
多品種少量調達の課題は、「これまで現場でなんとかやれてきたから」という惰性の延長線上では解決できません。
現場・購買・サプライヤーという異なる立場の人たちが、互いの本音をぶつけ合い、新たな調達改革へチャレンジする気概が求められます。
デジタルの力、パートナーシップの再構築、「現場巻き込み戦略」など、多角的な視点で自社と業界全体の底上げに挑むことこそ、日本の製造業にとって不可欠です。
バイヤーを志す皆さん、サプライヤーとして付き合う皆さん、そして何より製造現場に携わる皆さん。
今こそ、アナログに留まることなく、新たな地平線へ一歩踏み出していきましょう。
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