投稿日:2024年8月20日

フッ素ゴム(Fluoro Rubber, FKM)の特長と製造業での利用方法

フッ素ゴム(Fluoro Rubber, FKM)の特長

フッ素ゴム(Fluoro Rubber, FKM)は、石油化学製品や工業用品で広く使われる高性能な合成ゴムです。
その名の通り、フッ素基が含まれているため、優れた耐熱性や耐薬品性を持つことが特徴です。
以下にフッ素ゴムの主要な特長を挙げます。

耐熱性

フッ素ゴムの最も優れた特長の一つが、耐熱性です。
一般的なゴム材料は高温環境下で劣化が進みやすいですが、フッ素ゴムは150度以上の高温でも優れた物性を保ちます。
一部のフッ素ゴムは、250度以上の温度にも耐えることができます。

耐薬品性

フッ素ゴムは多くの化学薬品に対して高い耐性を持っています。
酸、アルカリ、油、燃料、溶剤などに対しても膨潤や劣化がほとんど見られません。
これは、フッ素基の強固な化学結合と低分子の再配列性がその原因です。

透過性の低さ

フッ素ゴムは、ガスや液体の透過性が低く、漏れ防止のシーリング材としても利用されています。
特に燃料ガスや化学薬品の輸送において、その特性が重宝されます。

耐候性と電気特性

フッ素ゴムは、オゾンや紫外線に対しても強い耐性を持っています。
屋外で使用される場合でも劣化が少なく、長期間にわたって品質を維持します。
また、絶縁性が高いことも特徴で、電気部品の絶縁材としても使用されることがあります。

製造業でのフッ素ゴムの利用方法

フッ素ゴムの優れた特性は、製造業の多くの分野で利用されています。
具体的にはどのような場所や方法で使用されているのかを以下に示します。

自動車産業

自動車産業では、エンジンや燃料システムのシール部材、ガスケット、Oリングなどにフッ素ゴムが広く使われています。
その耐熱性と耐薬品性によって、高温のエンジンルームや化学物質にさらされる燃料システムでも優れた性能を発揮します。

化学工業

化学工業では、腐食性の強い薬品が取り扱われることが多いため、フッ素ゴムの耐薬品性が大いに役立ちます。
配管のシール材やリアクターのガスケット、ポンプのダイヤフラムなどに利用されています。

航空宇宙産業

航空機や宇宙機器は極限環境での性能が求められるため、フッ素ゴムの特徴が非常に適しています。
エンジン部品や配管のシーリング材、電子機器の絶縁材として使用されることが多いです。

製造ラインの自動化

製造ラインにおける自動化装置(ロボットアームや自動搬送装置)にもフッ素ゴムが利用されています。
これらの装置は高温や化学薬品に晒されることがあり、耐熱性・耐薬品性の高い材料が求められます。
また、フッ素ゴムの低透過性も、真空環境を維持するためのシール材として利用される理由の一つです。

食品および医薬品産業

フッ素ゴムはFDA(米国食品医薬品局)の規制に適合したタイプがあり、食品や医薬品の製造プロセスでも利用されます。
例えば、食品加工機器のシール部材や医薬品製造装置のパッキンなどがその応用例です。

最新の技術動向

新しい材料技術とプロセスの進展により、フッ素ゴムの性能や応用範囲はさらに広がっています。

次世代フッ素ゴムの開発

次世代フッ素ゴムは、従来では考えられなかったような厳しい環境条件への適応を目指しています。
例えば、より高温での安定性を追求したタイプや、特定の化学物質に対するさらなる耐性を持ったタイプがあります。

ナノコンポジット技術の応用

ナノコンポジット技術をフッ素ゴムに応用することで、機械的特性の向上が期待されています。
ナノ粒子をフッ素ゴムに均一に分散させることで、引張強度や耐磨耗性が改善され、一層高性能な材料に進化しています。

環境対応型フッ素ゴム

近年、環境への影響を低減するための取り組みがさかんです。
それに伴い、製造プロセスや廃棄時において環境負荷が低減されたフッ素ゴムが開発されています。
例えば、リサイクル可能なフッ素ゴムや、低温での加硫が可能なタイプがその一例です。

香害管理とフッ素ゴムの選び方

フッ素ゴムを選ぶ際には、適切な選定が重要です。
用途や環境条件に応じて最適なフッ素ゴムを選ぶことで、製品寿命やパフォーマンスを最大化できます。

耐熱性の確認

フッ素ゴムの耐熱性は種類によって異なります。
使用環境の最高温度を確認し、それに対応するフッ素ゴムを選びましょう。
一般に、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)やシリコーンゴムに比べ、フッ素ゴムの耐熱性は格段に優れています。

耐薬品性の確認

使用する化学薬品に対してフッ素ゴムが十分に耐性を持つかどうかを事前に確認することが重要です。
特定の化学薬品に対する耐性を持つフッ素ゴムのデータシートをチェックし、最適なタイプを選定します。

機械的特性の確認

耐久性や引張強度、耐摩耗性などの機械的特性が要求される場合、その要件に見合ったフッ素ゴムを選ぶことが必要です。
ナノコンポジット技術を利用した強化フッ素ゴムなど、新しい技術も視野に入れると良いでしょう。

環境対応の確認

環境に配慮した製品選びは、長期的なビジネスの持続可能性にも寄与します。
リサイクル性や製造時の環境負荷についても考慮し、環境対応型のフッ素ゴムを検討することが推奨されます。

結論

フッ素ゴム(Fluoro Rubber, FKM)はその優れた耐熱性、耐薬品性、低透過性などにより、製造業の多岐に渡る分野で利用されています。
次世代の技術や環境対応型の製品も開発されており、その応用範囲はますます広がっています。
適切な選定と最新技術の導入を通じて、製品性能の向上と環境負荷の低減を実現することが可能です。

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