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添加薬品注入装置で使われるノズル部材の詰まり問題

目次
はじめに:添加薬品注入装置とノズル詰まりの現実
添加薬品注入装置は、現代の製造業において最も重要なユーティリティの一つです。
冷却水処理、食品製造、半導体洗浄、各種化学プロセス、生産ラインの各工程で、微量の化学薬品を正確に添加し品質の均一化や品質トラブル防止を実現するために不可欠な存在となっています。
しかし、これら装置の心臓部とも言えるノズル部材の詰まり問題は、今なお業界に根強く残る「昭和の悪癖」と言ってよいほど、現場を悩ませています。
メーカーの担当者であれば、ノズルが目詰まりして装置が停止し、生産工程全体がストップ、結果として高額な損失につながった経験を一度は持つでしょう。
本稿では、筆者が20年以上の工場現場で体得した知恵と、多様なバイヤー・サプライヤーのやりとりを経て見えてきた本質、そしてアナログの枠組みを超えたラテラルな発想で、添加薬品注入装置のノズル詰まり課題へ新たな地平を提示します。
ノズル詰まり問題の本質と現場の実態
詰まりの原因は何か:単に「異物混入」だけではない
多くの現場担当者は「詰まり=異物や固形物の混入」と考えがちです。
確かに、薬品原液中の微粒子や混入固形物の堆積が詰まりの主要因であるケースは多いです。
しかし本質的には「注入条件」「流体物性」「材料と表面処理」「流路設計」「異常検知能力不足」など複合的な要素が絡み合っています。
たとえば、薬品のpH値や粘度変化による析出、製造ライン停止時のノズル内残留液乾燥による固化、「常時注入」から「間欠注入」への切り替え時の“デッドスペース”発生など、人的ミス・設計不備・運用面の未整備まで多様です。
現場で日常的に起きている困難
現場では多くのノズルが手作業で分解洗浄され、再組立て後も微細なゴミ・異物、未洗浄部が残って再詰まりを招くことが日常茶飯事です。
しかも
・分解清掃の度に作業員の負荷が高まる
・専門業者でなければメンテが難しい特殊形状ノズルも増えている
・ライン停止=$コスト増大$ という切実なプレッシャー
こうした中で「あえて頑丈なアナログ構造のまま」のノズル採用が止まらず、デジタル制御やIoT化が遅れる温床にもなっています。
なぜノズル詰まりは「取引上の盲点」となりやすいのか
調達購買の視点からの課題
購買担当者は装置仕様書や取引条件に「ノズルの耐詰まり性能」や「メンテナンス性」を詳細に盛り込むことが少なく、コストや短納期、規格適合だけに目が向く構造があります。
本来であれば「ライフサイクルコスト(LCC)=長期運用総コスト」に注目し、ノズルトラブル由来のダウンタイムや清掃費用も計算に入れてサプライヤー選定を行うべきです。
ですが日本製造業は戦後から続く分業意識・コスト削減文化・現場起点の意思決定で、どうしても“今見えている価格”で購買判断しがちです。
サプライヤー側の落とし穴
サプライヤーはトラブル報告が無ければ「無事稼働している」と判断しがちですが、
・顧客の現場で実際なにが起きているか見えない
・ノズル単体の初期性能ばかり重視しがち
という落とし穴があります。
結果、「想定外の詰まりが起こる」「現場で応急対処され、サプライヤーは知らずに放置」「ノズル仕様の本質的な改善議論が行われない」といった負の循環に陥ります。
詰まりに悩まないノズル選定・運用の考え方
ラテラルシンキングで“詰まり問題”の枠を超える
従来の「目詰まりしにくい=流路を広げる」「材質を変える」では根本解決にならないことが多いです。
そこで、
・ノズルのプレコート加工(親水性・疎水性コート等で固着を防ぐ)
・流路にウルトラファインバブル生成機能を搭載し、微細な気泡で付着物ごと流し去る
・注入開始・停止時に強制エアパージ機能を組み込み、ライン内残液を一掃する
・ノズル自体を着脱しやすいカートリッジ構造に設計し、工具レスのワンタッチ交換を
・AI連動のセンサーで流量異常や圧力異常をリアルタイム監視
といった「一歩先を行く発想」を導入しましょう。
現場から考えるメンテナンス性の極意
「どんなに高価なノズルでも、現場で“直せない・洗えない・交換できない”では本末転倒」です。
筆者の経験から言えば、
・日常の点検で目視・ツール診断が簡単であること
・分解清掃の難易度が低く、交換用パーツが共通化されていること
・装置停止タイミングに合わせて“予防保全”ができる設計になっていること
が大切です。
たとえば定期メンテナンス時に複数ノズルを同時交換、使用済みノズルはサプライヤーが回収してリファービッシュし再納入、といった「循環型運用」への移行も効果的です。
バイヤー・サプライヤーが今後心掛けるべきアプローチ
バイヤーとして意識すべきポイント
1. 「詰まりにくさ」の定量評価指標を導入する
目詰まりまでの平均時間、緊急停止件数、清掃工数などをデータ化し、定量的に比較しましょう。
2. サプライヤーへのフィードバック・実地検証の徹底
現場で起きたトラブルは、なるべくいち早くサプライヤーへ詳細共有し「共創改善活動」として解決する姿勢が重要です。
3. ノズルの“アップグレード”を視野にいれる
従来型ノズルに固執せず、新技術や新素材ノズル、AI監視搭載モデル等の切替を積極的に検討しましょう。
サプライヤーが取るべき戦略
1. 顧客現場での装置稼働状況・ノズルメンテナンス実情に関するヒアリング
「納品して終わり」にならず、実際の使用現場でヒアリング・現地観察を行い、課題を定量把握しましょう。
2. ダウンタイム低減・清掃コスト最適化への貢献を自社の価値として提案
単なる単価競争から脱し、「トータルコスト最適化」という提案型営業へシフトすることが大事です。
3. “詰まり保証”“予防保全パッケージ”など、トラブル低減を約束するサービスモデルの導入
ライフタイムサポートやIoT状態監視サービスも視野に入れることで、顧客との長期関係を築きやすくなります。
最後に:ノズル詰まり対策は“現場力”と“発想転換”の融合から
添加薬品注入装置におけるノズルの詰まり問題は、単純なハード改良や個別努力で解決しきれない「構造的な現場課題」です。
昭和時代の経験に固執したアナログ運用の良さも維持しながら、デジタル技術の活用やメンテ性・現場の本音把握といった発想の転換で新たな価値を生み出すチャンスでもあります。
多くのバイヤーやサプライヤーの皆様が「より安全で止まらない製造現場」実現のため、ノズル詰まり問題を単なる“装置の小トラブル”と矮小化せず「コスト・品質・DX」の観点から再定義して動き出すことを期待しています。
ノズル詰まりという“地味で厄介な問題”こそ、現場の進化を推進する原動力となるのです。
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