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投稿日:2025年12月21日

鍛造プレス用潤滑装置部材の詰まりトラブル

鍛造プレス用潤滑装置部材の詰まりトラブル

はじめに ― 製造現場で見落とされがちな「詰まり」問題

鍛造プレス現場は、日本のものづくりを支える基幹プロセスのひとつです。

その安定稼働と品質向上の鍵となるのが、潤滑装置の適切な運用です。

しかし現場では「潤滑剤が出ない」「ノズルが詰まった」「ラインを止めて清掃」といった詰まりトラブルが繰り返されています。

特に、デジタル化が進みにくいアナログな現場では、昭和時代から引き継いだ装置やルールに頼りがちで、詰まりの真因を深堀りせず、毎度同じ対症療法を繰り返しています。

なぜ詰まりは繰り返されるのか、どこに本質的な課題があるのか、現場目線で整理します。

なぜ詰まりが発生するのか ― 潤滑装置のメカニズムと弱点

潤滑装置の基本構造と流れ

鍛造プレス用の潤滑装置は、潤滑剤のタンクからポンプを経由し、配管・流量制御装置・ノズルへと送り出す構造が一般的です。

ノズル、スプレー式吐出器、シャワーバーなどで、金型や素材表面に潤滑剤を塗布します。

ここで詰まりが起こる主な原因は、配管の内壁、フィルター、ノズル部分です。

定期的にオーバーホールしていても、短期間で同じ個所に詰まりが生じる場合、根本原因を掘り下げる必要があります。

潤滑剤自体の問題点

現場では「コストダウンのために廉価な潤滑剤に切り替えた途端、目詰まりが増えた」という声がよく聞かれます。

潤滑剤の粒子径が大きい、固形分が沈殿しやすい等の品質バラツキが詰まりリスクを高めます。

また、開封から時間が経過した潤滑剤の劣化や温度変化、結露、混入異物なども要注意です。

装置・部材側の弱点

配管の継ぎ手部や、潤滑剤供給ラインの曲がり部分も詰まりの温床です。

新品の装置でも切削時のバリや内部残留異物が問題になるケースもあります。

フィルターやノズルの目が細かすぎる場合、ゴミ以外にも本来必要な潤滑成分までブロックし、逆効果になることも…。

昭和の現場の「あるある」と今後の課題

点検・交換が人の勘と習慣に依存している

現場では「何となく調子の悪い時にだけ清掃」「経験豊富な人が手作業でノズルを掃除」など、暗黙知と作業者の“勘”に頼りがちです。

チェックリストや定期点検のルールが形骸化している工場も見受けられます。

昭和スタイルの“モグラ叩き的”対症療法が繰り返され、本質的な改善に至らない大きな要因です。

問題の見える化が不十分

自動化システムが導入されていないラインや、日々の記録も手書き帳票のみというケースでは、詰まりの発生時期や頻度、因果関係のデータも残らず、現象の分析・再発防止が難しいのが実態です。

こうした背景には、現場作業と管理部門の縦割り構造や、設備投資判断を左右する“現状維持バイアス”も根強く残っています。

詰まりトラブルの現場的対策 ― 本当に効くアプローチとは?

ラテラルシンキングによる抜本策の提案

単なる掃除や部品交換では根本解決になりません。

現場の担当者・管理者・バイヤー、さらには潤滑剤メーカーや装置サプライヤーも巻き込んだ水平思考(ラテラルシンキング)が重要です。

1. 潤滑剤の選定と調達を再考する

・潤滑剤の「粒度分布」「沈殿性」「粘度変化」など複数メーカーの技術データを比較し、サンプル評価を必ず実施する
・試験運転時だけでなく、長期保存・使用劣化も想定したトレーサビリティ運用ルールを作る

安易な単価だけのコストダウンは結果的に歩留まりロスやライン停止コストを増やすことに注意しましょう。

2. 装置の構成部材・配管の見直し

・現役設備でも、ノズルやパイプ径・フィルター目の粗さをプロセスごとにカスタマイズできないか、メーカーと相談する
・配管ラインを点検し、デッドスペース(流れが淀む、溜まる場所)を減らすルート最適化

特に新設工場やレイアウト刷新時には、配管経路の短縮や曲がり箇所の削減に投資しましょう。

3. 清掃・点検スケジュールのDX化

・清掃記録を手書きからデジタル化し、詰まり発生傾向や時期との相関をデータで可視化
・IoT化された流量センサーや圧力センサーを後付けし、リアルタイムで詰まり発生を監視して警告できる仕組みに

これにより、無駄な清掃・オーバーメンテナンスも防げます。

バイヤー・サプライヤー目線で見た詰まりトラブル ― 交渉と提案のヒント

バイヤーが持つべき視点

バイヤー(購買担当)は、潤滑剤コストや装置イニシャルだけでなく、「詰まりトラブルによる生産ロス」「対応工数」などトータルコストで評価する姿勢が求められます。

また、サプライヤーとの対等なパートナーシップを築き、「詰まりが減るソリューション提案」を積極的に引き出しましょう。

サプライヤーが取るべきアプローチ

サプライヤー側も「性能は規格内です」だけではなく、実際の現場用途・工程ヒアリングを徹底し、

・詰まりのリスクを下げる新潤滑剤の提案
・ノズルなど部材アップグレード
・詰まり実績値や改善事例の共有

こうした現場密着型の提案こそ、信頼構築やバイヤー満足度向上へ直結します。

未来につなぐ提言 ― 人も設備も進化する現場へ

技能伝承と技術革新は両輪

昭和の現場の勘や経験は貴重な財産ですが、それに頼りきることは時代の変化に乗り遅れるリスクも孕みます。

「データ×経験値」を融合させ、若手でもベテランでも“詰まりゼロ”の安全・高効率な現場を作ること。

そのためには、積極的なデジタル活用と、サプライヤー・メーカー一体となった現場改善のPDCAサイクルが不可欠です。

最後に ― 製造業現場の底力を信じて

鍛造プレス用潤滑装置の詰まりトラブルは、その一つ一つの現象が現場の知恵・改善意識・組織文化の縮図ともいえます。

「不便を便利に」「止まる現象を知恵で止めない」――これが、昭和から続く日本の現場力の本質です。

現場・バイヤー・サプライヤー、それぞれの立場の知見を束ねて、「詰まり知らず」の新たな地平線を切り拓いていきましょう。

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