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購買視点での共同開発と原価低減の可能性

目次
はじめに:製造業の未来を切り開く「購買視点の共同開発」とは
製造業は日本経済を支える根幹ですが、その現場はいまだに「昭和のやり方」を多く引きずっています。
特に調達購買やサプライチェーン領域では、相見積もりによる単純な値引きや、強い立場からの押し付けによるコストダウンが常態化していました。
しかし、グローバル競争や原材料価格の高騰、環境規制など、事業環境は急速に変化しています。
ここで今、製造業現場が本気で考えるべきなのが「購買視点での共同開発」と「原価低減の新しいアプローチ」です。
単なる手順や表面の流行ではなく、現場の知恵と経験を活かした新しい時代の戦略こそが、企業の競争力を高め、サプライヤーと共に成長するカギになります。
本記事では、私が製造業の工場・購買・品質管理で20年働く中で感じた実践的な経験と、現代の業界動向を基に、購買目線の共同開発・原価低減の現実的なアプローチ、そしてこれからの可能性を掘り下げていきます。
共同開発がなぜ原価低減に繋がるのか
従来型コストダウンの限界
従来、購買部門が取り組んでいたコストダウンは「安い部品への切り替え」「単価交渉」「仕様変更によるコスト締め付け」などが中心でした。
こうしたアプローチは短期的には効果がありますが、サプライヤー側も利益確保のために他の部分で調整するようになり、中長期的には品質や納期リスクの高まりにつながります。
価格交渉だけでは、もはや十分な原価低減は見込めず、「現場力」に頼った改善も限界に来ているのが現状です。
共同開発という選択肢の台頭
一方で、設計開発の初期段階から購買担当が入り、サプライヤーとも連携して部品設計や調達方法を見直す「共同開発」が注目されています。
なぜなら、製品コストの8割は設計段階で決まるため、構想段階から購買・現場が関与することで、以下のような効果が期待できるからです。
– 部品点数の大幅削減
– 標準化・モジュール化の推進
– 不要な機能や過剰品質の排除
– 最適な加工方法・材料の選定
これにより、表面的な値下げ要求では届かない根本的なコスト構造の改革が可能になります。
購買視点で見る共同開発の実践ステップ
1. 開発初期段階への早期参画
特に日本の製造業では、「設計は設計者」「購買は購買担当」という縦割りのカルチャーが強く根付いています。
しかし、理想的な共同開発は製品の企画や設計初期から購買担当、サプライヤー、製造現場が一体となってプロジェクトに参画することです。
この早期参画によって、以下の情報共有がスムーズになります。
– 市場価格やサプライヤーの最新技術動向
– 調達ルートや安価な材料の実現性
– 工場での量産性・自動化の現実解
設計者や商品企画担当だけでは見逃しやすい「調達側の現実」を反映した最適解のストーリー作りが可能になるのです。
2. サプライヤーの提案力活用
共同開発では、サプライヤーが単なる「指定通りに作る外注先」から、「コスト・品質・技術提案をしてくれるパートナー」へと変わります。
たとえば、「この形状をこう変えると、金型コストが30%減る」「材料を他社品に変更するとリードタイム半減」など、実際の生産現場の工夫を生かした具体的な改善提案が出てきます。
信頼を築き、サプライヤーの持つ現場ノウハウや経験則を企業の競争力に組み込む姿勢が「真の共同開発」には欠かせません。
3. 原価構造の「見える化」
購買部門が自社やサプライヤーと協業するには、製品や部品ごと、「なぜこの価格なのか」を分解して把握することが大前提です。
– 材料費
– 加工費
– 組立工数
– 間接費や物流費
こうした原価構造の「見える化」なくしては、どこをどう変えればコストダウンにつながるか明確になりません。
これまではサプライヤー側の「企業秘密」に隠されていた部分も、情報の透明化・信頼関係構築により段階的にオープンにしていくことが必要です。
アナログ業界の壁と共同開発の実際
昭和型慣習の残る現場でどう進めるか
アナログ体質の強い製造業ほど、プロジェクトの進め方や評判を気にして「現場発・購買発の提案」は敬遠されがちです。
「仕様は設計に従うべし」「サプライヤーには口出しさせるな」といった風潮は、未だに根強く残っています。
こうした硬直した組織風土を打破するには、経営層の後押しと現場の成功事例を積み重ね、実践を通じてカルチャーを変えていくしか方法はありません。
現場の声が反映された生産設計や、購買サイド発の成果が「見える化」されていくことで、徐々に組織全体が新しい進め方へ進化していきます。
共同開発で起きた現場の変化
たとえばある自動車部品メーカーでは、調達担当者が設計会議に常時参加し、「サプライヤーの加工限界」「海外部品への容易な切替」など具体案を出すようになりました。
結果、1アイテムごとのコストは小さなものでも、量産効果や労務費削減を含め数億円規模の原価低減が実現できたのです。
こうした成功モデルは、社内の意識改革やサプライヤーとの関係強化として良い循環を生み出します。
原価低減を加速させるラテラルシンキング
多角的な問題解決が求められる時代
今や原価低減は単なる「単価交渉」だけでは成り立ちません。
製品ライフサイクルの短命化、多品種少量生産、グローバル調達、脱炭素・カーボンニュートラル対応など、多様な要件が一気に押し寄せています。
この中で必要なのは「ラテラルシンキング」——つまり、既存の思考方法にとらわれず、横断的・革新的なアイデアで突破口を見出す発想力です。
たとえば、部品標準化×品質保証で攻める
ある製造工場では、複数の工程を一元化し部材を共通化することで、品番を大幅に絞り込みました。
この時、サプライヤーの品質管理基準を現場レベルで引き上げつつ、結果として全体の歩留まりまで向上するという副次的効果も生まれたのです。
このように、「製造工程×調達品番×品質管理×物流」など、複数の切り口を組み合わせ総合的に最適化する手法こそ、今の製造業には不可欠となっています。
サプライヤーもバイヤーもWin-Winに
サプライヤーの「当事者意識」が利益拡大のカギ
共同開発・原価低減で最も重要なのは、サプライヤーにも「当事者意識」を持ってもらうことです。
価格だけを叩いてサプライヤーを疲弊させては、結局は自社の品質リスクや納期遅延、技術追随の遅れに直結します。
一方、サプライヤーが「自分事」としてコスト提案・技術提案する仕組みを作れば、思いもよらぬ改善アイデアや工程短縮案が現場から湧き出てきます。
バイヤーが目指すべき「共創」
調達購買担当は、「価格の見直し担当」から「社内外の知恵と現場情報をつなぐハブ」へと役割が進化しています。
設計・企画・生産とサプライヤー、時にはお客様までを巻き込んで、一歩先の価値を生み出す「共創の仕掛人」になることが、真のバイヤー像だと私は考えます。
これからの原価低減・共同開発の可能性
これから製造業が目指すべきは、「単なるコスト競争」から「バリュー(価値)競争」への転換です。
原価低減も、売価アップも、サスティナビリティも、現場と現場・知恵と知恵が交差し合うところからしか生まれません。
デジタル技術やAI、IoTなど新しい武器も駆使しながら、最終的には「誰と、どうチームを組むか」が競争力の決め手となるでしょう。
購買担当者が社内外のネットワークを生かし、サプライヤーと共にサイトバリューを高めていく。
——製造業現場で働くすべての人にとって、今こそ新しい地平線が開けるタイミングなのです。
まとめ:現場目線で挑む「購買発」イノベーション
購買視点の共同開発と原価低減は、古い業界風土や縦割り組織の「壁」を壊し、サプライチェーン全体の競争力向上を実現する強力な武器です。
そのカギは、一歩先を見据えた横断的発想と、地道な現場実践の積み重ねにあります。
今からでも遅くはありません。
購買・サプライヤー双方が知恵を出し合い、「共創」の現場を増やしていく先に、きっと新しい未来が拓けるはずです。
製造業で働く皆さんの挑戦が、新しい日本のモノづくりの礎となることを願っています。
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