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投稿日:2026年1月8日

抄紙機全体で使われる軸受部材の共通課題

抄紙機全体で使われる軸受部材の共通課題

製造業、とりわけ紙の製造現場においては、抄紙機の安定稼働が生産効率向上や品質維持のカギを握っています。
その中でも抄紙機全体に使われる軸受部材は、設備の要所を支え、現場の信頼性を左右する極めて重要なパーツです。
本記事では、20年以上の工場経験と現場目線から、軸受部材が直面する共通課題を浮き彫りにし、アナログな業界動向も踏まえて分かりやすく解説します。

なぜ抄紙機の軸受部材が最重要なのか?

抄紙機は多くの回転機械やローラー部が連なり、24時間稼働が当たり前の設備です。
その回転を支えるのが軸受部材、いわゆるベアリング類です。
軸受部材が劣化すると振動や加熱、最悪の場合は突発的なライン停止につながります。

さらに、紙という繊細な製品が相手のため、軸受部の微細な不具合でも紙製品の厚みムラや傷の発生など品質トラブルに直結します。
そのため、軸受部材は”消耗品でありながら主役”とも言える位置付けです。

部材コストとダウンタイム、どちらを優先すべきか?

現場では「コストを抑えたい」という調達目線と、「安定稼働を死守したい」という生産目線がせめぎ合います。
軸受部材は単価こそ高くない場合が多いですが、ダウンタイムによる損失は膨大です。
ここがバイヤーと生産現場、サプライヤー間の永遠のジレンマとなっています。

抄紙機軸受部材の共通課題と現場のリアル

1. 潤滑管理と清浄度の確保

昭和の時代から続く現場では、軸受の潤滑管理がいまだグリスアップ作業や点検に一任されています。
オートグリースシステムこそ導入が進みましたが、現場では「人の勘」や「音と温度」で状態判断する文化が根強く残っています。

しかも抄紙機は、水分やパルプ繊維、薬品飛沫が常時飛び交う過酷な環境です。
そのため、軸受部へ異物が混入しやすく、密封構造や潤滑剤の質、定期的な清掃・交換が肝要です。

サプライヤー視点では、「汎用ベアリング」と「専用タイプ」の選択肢、シール形状等の提案余地が大きいポイントです。

2. 過剰信頼と予知保全のギャップ

アナログな工場文化では、ベアリングが想定寿命より「持ってしまう」ことから、交換時期がずるずる先延ばしになる傾向があります。
緊急停止や焼付きが発生してから「なぜ?」と問われますが、原因追求や傾向分析、解析まで手を付けられない現場も多いです。

予知保全ツール(振動センサ、温度監視、稼働ログ)は導入が進んだものの、多くはアラーム発生後の事後対応型になっています。
「顕在化してから対応」では遅いのに、現場の文化・体制が刷新できない点が業界共通の課題です。

3. 部材標準化への抵抗と属人運用の壁

現場には「昔からこれを使っている」「あの人が管理しているから大丈夫」という属人的なオペレーションが根強くあります。
多品種・多ラインを跨ぐと、メーカーや規格、在庫管理情報が煩雑化し、実際の保守・調達担当者泣かせです。

一方サプライヤー側も「仕様変更は現場の同意がないとNG」「標準化よりも現行踏襲」が暗黙ルールになりがちで、革新的な提案が埋もれやすい状況です。

4. チップや異物による早期劣化

抄紙工程では繊維チップやケミカルによる異物混入が付きまといます。
軸受部材の側面からは、自己清浄性や封止性の高さ、汚染環境下での耐久性向上といった性能進化が求められます。

しかしコストアップや形状変更、予備部品の追加管理など、バリューチェーン全体への影響も無視できず、全体最適視点での意思決定が困難です。

業界動向:DX時代でも根強いアナログ管理の現実

昭和の手法から脱却できない現場文化

設備老朽化率が高い日本の抄紙工場では、最新のIoTやビッグデータ分析ツールの普及が遅れています。
紙・鉱工業分野は稟議や投資判断も慎重のため、小規模改修や部分導入止まりが大多数。
現場オペレーターの高齢化と技術継承の課題も深刻です。

加えて、「紙は現物がすべて」という品質感覚から、プロセスデータの活用意識が薄く、ベアリングひとつ取っても「手で触れて振動を見る」アナログチェック文化が色濃いです。

部材メーカー/サプライヤーの取り組み事例

大手軸受メーカーでは、IoTベースの寿命監視システムや、高耐久シール形状、自己修復グリースなどの新技術を相次いで上市しています。
サプライヤーが現場へ出向き、トラブル例や省力化提案をアウトリーチ型で強化する取り組みも増えています。
しかし、導入コストや「前例主義」の壁も根強く、浸透には現場と調達・経営が一体となった意識変革が不可欠です。

現場目線で考える課題解決アプローチ

調達・バイヤーと現場の連携強化の重要性

軸受部材の課題解決には、現場と調達の密接な連携が要です。
「コストダウン」だけがバイヤーの価値ではありません。
現場と一緒に課題抽出から標準化、仕様決定、サプライヤー比較まで並走し、防波堤となるコミュニケーション能力が求められます。

サプライヤー側も調達担当者の目線だけでなく、その先の製造現場の苦労やKPI(稼働率・保全工数削減・品質事故低減)を汲み取り、現場納得型の提案が競争力となります。

部分最適から全体最適へ

個別ベアリングや部品単位での最安策ではなく、「ライン停止リスク」「保守工数」「在庫運営コスト」「品質トラブル抑制」といった全体最適で評価し、経営層まで巻き込んだ意思決定が今後一層重要となります。

また、データに基づく予知保全、「使い切る」運用から「予防的に交換する」運用へとシフトするための社内教育・啓発も不可欠です。

ベテランのノウハウ継承とサポート体制の構築

AIやIoTが普及しても、最終的な異常判定や緊急時対応はベテランの勘・経験がものを言います。
サプライヤーはベテラン現場担当者の声を積極的に聞き、Q&Aサイトやコミュニティ、現地での実地指導も含めてサポート力を競う時代となります。

属人化しないマニュアルやトラブル事例集、現場教育プログラムの標準化、そして人とデータのハイブリッドな知見蓄積が、これからのアナログ業界の進むべき道です。

まとめ

抄紙機で使われる軸受部材の課題は、単なる設備部品の領域を超え、現場・調達・サプライヤー・経営が一体で対処すべき本質的テーマです。
昭和型のアナログ現場文化とDX時代の技術進化が折り重なり、混沌とした状況も見られますが、一歩ずつでも対話と現場実感に根ざした改善アクションが現場力を底上げします。

調達やバイヤー、サプライヤー、そして現場担当それぞれが「現場の想い」と「全体最適」の視点を持つことで、抄紙機・製造現場は新たな地平の未来へと進化していくはずです。

今後もこうした現場知見やトレンド、実践事例を積極的に共有し、製造業の持続的な発展に寄与していきたいと考えます。

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