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製造業の会社に転職する40代へ送る業界の本音としての意思疎通の難しさ

目次
はじめに:製造業は「意思疎通が難しい」場所なのか?
製造業の会社、特に大手メーカーやその一次サプライヤーに転職を考えている40代の方へ。
私は20年以上この業界で生きてきた現場人間です。
購買、生産管理、品質管理、工場管理などを手がけてきた立場から、今回は「なぜ製造業は意思疎通が難しいと感じられるのか」という本音を、リアルな現場感覚でお伝えします。
新しい職場で苦しむ必要はありません。
しかし、昭和の時代から変わりきれない「製造業ならではの人と人の壁」を認識し、どう乗り越えていくかを知っておくことで、円滑なコミュニケーションやキャリアアップへの道筋が見えてきます。
特にバイヤーを目指す方、取引先のサプライヤーとしてバイヤーの考えを読みたい方は、本記事で「現場の空気」をぜひ掴んでください。
昭和的体質が残る現場の「言葉」
空気を読む、肝で感じる「阿吽の呼吸」が優先されがち
製造業の歴史を振り返ると、現場と管理部門の間には「その場の空気を読め」「わざわざ説明するまでもないだろう」という文化が根付いています。
昭和からのベテラン職人や現場リーダーの多くは、経験や肌感で全て判断してしまいます。
「いちいち言葉にせずとも分かるだろう」。
この発想が意思疎通の最大の障壁となっています。
40代で転職すると、既存社員と年齢的にはほぼ対等。
しかし「その会社、その現場でしか通じない用語(業界暗号)」が当たり前のように飛び交い、よそ者は「分からないなら聞け」のプレッシャーを感じます。
実際に、私も購買部門で取引先に仕様変更を説明していると、ベテランの作業長が「まぁ、うちのやり方でやってよ」とぽつり。
会社ごとの独自ルールや文化、暗黙知が、技術資料よりも現場では重視されてしまう現実があります。
メールより口頭伝達が優先。なのに証拠は残らない
また、デジタル化が進んでも「ちょっと、いいかな?」と呼び止めての口頭伝達が多いのも特徴です。
稟議書や仕様図、購買契約書一式はメールできちんと残しますが、日々の細かな調整やトラブル対応こそ「現場の雑談」レベルで決まることが多いのです。
結果として、後から「言った・言わない」のトラブルが絶えません。
40代で転職する人は「報連相の責任範囲」が以前の職場と異なることに驚くでしょう。
なぜ意思疎通が難しいのか?根本的な理由を探る
世代ギャップと職階ごとの言語文化の違い
20代、30代の新卒・中堅社員と、40代・50代以上のベテラン、さらに現場(作業員)と管理部門(バイヤーや生産管理担当)とでは、使う言葉や重視することがまるで違います。
– 若手:「なぜこの手順なのか根拠を説明してほしい」
– ベテラン:「昔からこうやっている、変える理由がない」
– バイヤー:「コストダウン優先。納期遵守を最重視」
– サプライヤー:「現場が間に合わないなら納期は厳しい、変更依頼は急すぎる」
意識がすれ違ったまま「言葉」が宙に浮き、トラブルが起きてから初めて「何が伝わっていなかったのか」を答え合わせすることが、未だに少なくありません。
部署間で「同じ言葉」の意味が違う
例えば「品質」と言っても、現場では「不良品を出さないこと」、バイヤーでは「顧客のクレームが出ないレベルを保つこと」、設計では「スペック通りに仕上げること」。
どれも正しいのですが、お互いの解釈のギャップに気づきにくいのです。
私は品質管理部門で、協力メーカーに「歩留まり改善」を要求する立場でしたが、相手からすれば「歩留まり90%は十分では?」という認識。
こちらの「100%を目指そう」というニュアンスが伝わらず、気づけば「口ではYES、実際は現状維持」な事態に何度も遭遇しました。
40代転職者が直面する意思疎通の壁と、その超え方
「聞く勇気」と「説明責任」で自分の立場を築く
異業種転職者や、同業でも会社文化が違えば「何をどこまで言葉にするか」「根回しは必要か」など戸惑う場面が多いです。
ですが、それを言い訳にせず「わからないことは素直に聞く」「作業や指示の背景を説明してもらう」姿勢は決して恥ではありません。
むしろ、現場リーダーや同僚に「聞き役」として信頼されやすくなります。
また、自分の理解したことや、依頼事項をきちんと「念のため、こういう意味ですか?」「こう理解しました」と口に出したり、メールで簡潔にまとめて残しておく習慣をつけましょう。
これは「コミュニケーションコストが高くても構わない」という柔軟な姿勢です。
昭和的な「暗黙の了解」を壊すのではなく、「見える化して少しずつ浸透させる」ことです。
管理職・バイヤーを目指すなら「味方をつくる」発想を
調達購買や品質管理、工場長などを目指すなら、ひとつの現場・部署だけに価値観を合わせるのは危険です。
工場はサプライヤー、現場作業者、管理者、設計者、そして顧客と「立場ごとの最適化」がいつもバッティングしています。
「全員に100点満点の説明」は無理だと割り切り、誰の理解が一番重要か、どこに摩擦を減らすべきかを常に意識してください。
たとえば、現場のキーマン(リーダーや古参作業者)を味方につける。
または購買の上長と密に連携を取って、トラブル時の調整力を発揮する。
味方づくりこそ意思疎通を滑らかにする第一歩です。
アナログな現場にデジタルの力を「橋渡し」する役になる
デジタル化のジレンマと、現場の「納得感」
現場は依然として紙の指示書、黒板、手書き日報。
一方で、業界はIoT、設備管理システム、RPAなどデジタル推進ブームが続いています。
しかし、強引なシステム導入は「現場無視の改革」と捉えられがちです。
40代の転職者は、デジタルとアナログの間に立つ「橋渡し役」としての働きに大きな価値があります。
– なぜこの記録が必要なのか
– データ入力の方法は現場でやりやすいか
– どの部分が省力化でき、どこに現場特有のノウハウが残るのか
こうした「現場に根付く言葉」で、デジタル化と現場ニーズのバランスをとる配慮が、今の製造業では最大の必須スキルといえます。
「変わらない現場」に諦めず、変化のきっかけになる
たとえば、現場が自発的に使いたがる帳票ひとつ取っても、単に「システムに従え」ではなく、「ここだけは手書きにしたい理由」を語ってもらう。
それをシステム開発の担当者へFEEDBACKし、「じゃあ、これは残しましょう」と歩み寄る。
こうした工夫の積み重ねが、「この人なら現場も管理も分かる」と信用されることに繋がります。
サプライヤー(協力会社)がバイヤーの本音を読むコツ
供給側は「納期と価格」だけを見ていない
サプライヤー側からバイヤー(調達担当)の本音を考えるとき、「どうせ安く早く買いたいだけなんだろう」と決めつけるのは危険です。
実際の現場では、その裏に「上司の指示」「予算枠」「工場全体のバランス」といった見えない事情があります。
また、「一時的な急ぎ対応より、長期的な信頼関係」を重視するバイヤーも増えています。
納期一つをとっても「なぜこの案件は急がされているか」「どの部分が譲れるか」を遠慮なく尋ねることで、バイヤーも「現場の声は貴重」と認めるようになります。
日々のやりとりで「小さな信頼」を積み上げる
購買や調達部門の現場は忙しく、つい意思疎通を省略しがちです。
しかし「ちょっとした変更でも逐一報告」「小さな疑問も都度確認」というこまめさが、後から「大きなミス」「工数ロス」の予防になります。
逆に、バイヤーから「一言もらえると助かる」「工程の都合上ここだけ優先してほしい」と言われたら、スピード感を持って応じましょう。
それを一度、二度と繰り返すことで「このサプライヤー/担当者なら安心」という関係になります。
おわりに:お互いを「歩み寄らせる仕掛け」こそが武器
製造業は、熟練の技術とアナログ的な意思疎通が混じり合う独特の世界です。
だからこそ新たに飛び込む40代の皆さん、そしてバイヤー・サプライヤーの両面で活躍したい皆さんは、自分の経験や新しい視点が必ず役立ちます。
意思疎通の難しさを逆手にとり、「自分なら業界にどんな変化を持ち込めるか」「現場と管理、サプライチェーンの分断を繋ぐ仕掛けをどう作るか」を、誇りと面白さに変えていってください。
私は現場の最前線で、「違いを認めあい、仕組みで補う」ことこそが、昭和から令和へ、製造業の発展に不可欠だと実感しています。
読者の皆さんが、現場での意思疎通の壁を超え、新しい風を吹き込む力になることを、心から応援しています。
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