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ドライラミネート加工良品製造と接着トラブル対策を網羅する実践ガイド

目次
はじめに:現場で求められるドライラミネート加工の本質とは
製造業の現場で、ドライラミネート加工は食品包装や産業素材分野など幅広いシーンで使用されています。
この加工は「フィルム同士を接着剤で貼り合わせて多機能な複合材とする」極めて重要な工程です。
多くの方が「より良品率を上げたい」「接着トラブルをなくしたい」と考えていますが、現場ではなかなか打開策が見つからないのが実情です。
本記事では、大手メーカーの現場経験と管理職の視点から、実践型のノウハウや現実に根付いた課題と解決策を網羅的にご紹介します。
昭和から続くアナログ工程の中でも、今すぐに実行できる発想や着眼点、そして時に業界の本音を交えてお伝えします。
ドライラミネート加工の基本構造と現場の悩みどころ
ドライラミネートの原理とフロー
ドライラミネートでは、まず基材Aに溶剤タイプまたは無溶剤型の接着剤を塗布し、適切なレベリングと乾燥を経てから基材Bと貼り合わせます。
その後、圧着・加熱などの工程で接着剤を硬化・定着させます。
この流れは一見シンプルですが、それぞれの工程ごとに多くのノウハウが詰まっています。
「温度・湿度管理」「塗布量の安定化」「乾燥ムラ」「異物混入」など、様々なトラブルが発生しやすい部分でもあります。
なぜアナログ領域のままなのか?
多くの現場で「昭和式」と揶揄されるアナログカルチャーが色濃く残るのは、工程ごとに微調整(いわゆる職人技)が必要だからです。
たとえば、同じ条件で稼働しても季節・ロットによる揺らぎが大きく、仕様書だけでは再現できない経験値が求められます。
このため、オートメーション化しきれず現場担当者の勘やノウハウが重視されてきました。
良品製造のための現場視点プロセス管理
接着剤選定:失敗の8割がここで決まる
現場で多発するトラブルの多くは、接着剤選定から始まります。
「基材の表面改質が不十分」「溶剤型・無溶剤型の選択ミス」「硬化速度や初期接着力の見極め不足」など、初手の判断ミスが後工程で致命傷となります。
最新の流れとして、VOC削減の観点から無溶剤型へのシフトも進んでいますが、一方で加工設備や熟練ノウハウの問題でうまく切り替えられない現場も多いです。
表面処理への執着と改善ポイント
基材のコロナ放電処理やプラズマ処理については、設備投資が重いがため更新を渋る風土も根強いです。
しかし、表面エネルギーの不一致による接着トラブルは非常に多く、年次点検や処理量の微調整は積極的に現場から提案・改善しましょう。
また、異物や油分除去の重要性も痛感しています。
ワイピングやコンタミ防止のための静電気対策も、小さなコスト投資が大きな歩留まり改善につながります。
塗工・ラミネート条件の最適化
「誰がやっても安定した品質」を実現するためには、塗布量の再現性、乾燥温度・湿度の管理がポイントです。
特に温度変化が大きい昼夜間や梅雨~冬場は、センサーの追加設置や記録分析を徹底し、水分管理を見落とさないことが肝心です。
機械設定も重要ですが、現場メンバーの定点観測(五感を使ったチェック)もノウハウ化して共有しましょう。
新規設備導入前には、パイロットラインや2ライン並行運転で問題傾向を抽出しやすくなります。
接着トラブル事例と原因分析
はく離・ピール強度不足
最も多いトラブルが「接着層の剥がれ」です。
原因は前述の表面処理不足、初期接着剤の加熱・乾燥不良、圧着圧力のムラ、接着剤の硬化不良など多岐にわたります。
また、フィルムメーカーごとで表面エネルギー差がある場合、自社仕様だけでなくサプライヤー情報との擦り合わせが欠かせません。
ブリスター・泡混入
特に高速ラミネートや水分多い基材を使う際、乾燥工程で空気や湿気が巻き込まれブリスター(泡)が出る事例が多いです。
塗布厚や乾燥条件、貼り合わせ速度のラボテストから始め、本稼働前にパラメータレンジを設定することが安定稼働への近道です。
硬化ムラ・未硬化のトラブル
接着剤の完全硬化条件が守られない場合、外観変化(濁り・にじみ)、後工程でのラミネート強度低下につながります。
使用期限切れ接着剤や、混合・撹拌不足もリスクです。
日次管理表やロットトレースを徹底し、万一の返品要求にも備えておきましょう。
品質保証&検査体制の整備の仕方
現場×検査で作る“多重防御”
ラミネート加工では、工程内検査(塗布量測定、接着強度サンプリング、外観検査)を“毎ロット、毎シフト”で継続するのが理想です。
自動画像検査装置を使えば、ピンホールや塗りムラを確実に検出できますが、「見落としをカバーする目視検査」の併用も現場では有効です。
また現場スタッフが自主的に「過去の不良傾向」をペーパーレスで記録し、日次で定例レビューする仕組みも多くの工場で成果を上げています。
トラブル対応の即時性と再発防止
万一トラブルやクレーム発生時には、現場・品質・技術部門が即座に集まり、過去事例も踏まえた仮説立て&確認実験が求められます。
なぜそのような事態になったかを「工程」「設備」「人」「材料」別に洗い出し、対策レポートを全員で共有し、横展開します。
この地道なPDCAサイクルが、強い現場を作り上げる大切な要素です。
工場DX・自動化時代、どう変わる?今後の進化
昭和型アナログ現場の強みと弱み
ドライラミネート加工の現場は未だ完全自動化が難しい一方、「ベテランの見極め」「現場改善力」といったアナログ的強みは今なお重要です。
しかし、ベテラン依存と属人化はリスクにもなり得ます。
実際に「○○さんが定年退職したら不良率が激増した」「担当者変更でクレームが増えた」といった声は、いまだに工場の常識として存在します。
デジタル化と現場知見の融合が不可欠に
近年、接着剤塗工量の自動測定や、AI画像解析による外観検査等、デジタル技術の進化が現場改善を強力に後押ししています。
また、IoTセンサーで機械・環境データを常時モニタリングし、「経験や勘」を見える化する動きも増えています。
現場に求められるのは、「デジタル」と「アナログ」のバランスを取った改善活動です。
ベテランのノウハウをナレッジ化し、新人教育や工程改善へのフィードバックサイクルとして組み込んでいきましょう。
バイヤー・サプライヤーの目線:これからの“共創”型サプライチェーンへ
バイヤーが現場に望むこと
バイヤーが求めているのは「安定供給」「高品質」「安価」の3点に加え、提案力や改善力です。
つまり、ただ「言われたものを作る」だけでなく、「どう量産するか」「どうコストダウンするか」「新規材料のフィードバック」など、技術現場と連携した提案型の姿勢が評価されます。
デジタル可視化やナレッジ共有を軸に、共通課題を可視化して連携することが、これからの競争力につながります。
サプライヤーが知っておきたいバイヤーの本音
バイヤーの現場では「想定外トラブルが発生した時の対応力」や「安定したリードタイム」、そして「トラブル情報の透明性」こそ信頼の基準です。
“良いことだけ伝える取引先”よりも、“リスクも見える化し一緒に取り組めるサプライヤー”が長い目で重宝されます。
現場の強み・課題を率直に伝える文化が協業体制を下支えします。
まとめ:現場知見がドライラミネート加工を進化させる
ドライラミネート加工の良品製造と接着トラブル対策には、「工程の見える化」「データと勘の融合」「現場・技術・バイヤー三位一体の連携」が求められます。
昭和から続くアナログ現場も、新しいデジタル技術や多様な人材との融合によって、さらなる飛躍が期待されます。
本ガイドが皆様の課題解決と現場力アップの一助となれば幸いです。
今後も現場発の知見を皆さんと共有し、製造業全体の進化につなげていきましょう。
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