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プレスとのハイブリッド工程が成立する条件

目次
プレスとのハイブリッド工程が成立する条件とは?
プレス加工は長年、製造現場における大量生産の中核を担ってきました。
昭和時代から引き継がれる“安定した品質”“コスト競争力”といった強みに加え、近年ではIoTや自動化、他工法とのハイブリッド化も急速に進行しています。
では、プレス加工と他工程(例:レーザー、曲げ溶接、樹脂成形など)を組み合わせた「ハイブリッド工程」は、どのような場合に真価を発揮するのでしょうか。
ここでは、製造業の現場目線で、バイヤー・サプライヤー双方の立場から、真に意味あるハイブリッド工程とは何かを掘り下げます。
プレス加工の本質と限界
量産における圧倒的メリット
プレス加工は高精度・高速度・低コストを実現する代表的な工法です。
特に、自動車・電機部品製造においては、一回の打ち抜きで複雑な形状にも対応できるため、数千万個単位の要求にも応えることができます。
変種変量生産の壁
しかし、金型設計・製作コストの高さや、モデルチェンジ・多品種少量対応の柔軟性の低さは、プレスの弱点です。
ひとたび設計変更や生産数量の変動が生じると、金型製作リードタイムや費用負担が課題となります。
働く人材と老朽設備問題
また、昭和から続く現場の知恵や職人技術は貴重ですが、次世代への継承やデジタル化問題も顕在化しています。
「この道30年」のベテランが退職すると、ノウハウ抽出や工程安定性の観点で企業リスクとなる場面も増えています。
ハイブリッド工程の必要性と成立条件
なぜハイブリッドなのか?
AI/DX時代の到来により、バイヤーが発注する調達品種も常に変化しています。
「この部品は昔はプレスだけで作っていたが、今はサイズ・設計・機能を短サイクルで変えたい」
「ノイズ対策で一部に樹脂を使いたい」
「曲げや穴あけの後で局所的な補強が必要」
こうした要望に応えるため、プレス加工+レーザー加工、プレス+溶接や、プレス+樹脂成形といったハイブリッド工程の検討が進んでいます。
成立条件1:工程間の明確な役割分担
ハイブリッド工程が価値を生むには、「プレスでしか出せない精度」「レーザーでしかできない自由度」「樹脂成形による機能追加」など、工程ごとの強みを最大限活かして役割分担する必要があります。
例えば、プレスで基礎形状をつくり、その後、レーザーで追加穴加工や形状修正を行えば、金型コストを抑えつつ、高付加価値なカスタマイズを可能にします。
成立条件2:デジタルデータでつなぐ工程設計
昭和のモノづくりは“バトンリレー”型でしたが、ハイブリッド工程では「デジタルデータの一元管理」が必須です。
CAD/CAMデータを中心に、各工程で使用する設備や機械の条件、寸法公差情報まで連動させることで、手戻りや品質劣化を防ぎます。
さらに、現場作業者のノウハウを可視化し、DXの仕組みの中で工程間連携を強化することが重要です。
成立条件3:リードタイムと原価の最適化
「複数工程に分ける」と工順が増え、かえってコスト増や納期遅延になるケースもあります。
そのため、工程統合による材料歩留まりの向上や、中間仕掛品削減など、損益計算を細かく行い、「本当にハイブリッドが有利」となる条件を見極めます。
バイヤーもサプライヤーも、“目先の単価”だけでなく全体最適を見通した提案・判断が必要です。
成立条件4:加工精度と品質保証体制
異なる工法を組み合わせる場合、精度のバラつきや不具合発生リスクが高まります。
全工程の“品質管理ポイント”を明確化し、AI画像検査や自動測定、トレーサビリティシステムを活用した“工程内品質保証”体制をつくることで、安心して量産できる仕組みが完成します。
ハイブリッド工程実現の最新動向
自動車部品業界の事例
たとえば自動車のEV化にともない、「小ロット多品種の各種ブラケット・フレーム部品」に対し、プレス+レーザー+スポット溶接を効率的に組み合わせる事例が増えています。
量産初期は柔軟なハイブリッド工程で立ち上げ、将来的な量産化と同時に専用金型プレスのみへ集約する“段階的最適化”も見られます。
エレクトロニクス部品のマルチマテリアル対応
放熱や絶縁など機能性が求められる部品では、プレスによる金属+一部に射出成形樹脂や接着材を導入しつつ、複雑形状部にはレーザーやウォータージェット加工を取り入れるといった工程設計が主流になってきました。
「プレス+α」の開発提案力がサプライヤーに強く求められています。
AI・ロボットによる工程連携
近年では、複数工法の組み合わせ・自動化を目指し、ロボット・AGV(無人搬送車)・AI画像認識といった自動化技術を導入することで、設備と人を“つなぐ”工場も増えています。
これにより“人手依存”から脱却し、複雑な工程のシームレス化・自動生産ライン構築が加速しています。
ハイブリッド工程に求められる現場力
現場目線で何が変わるか?
ハイブリッド工程への転換は、単なる機械や設備の導入にとどまらず、現場オペレーター・エンジニア・検査員の“工程間連携力”や“品質マインド”にも大きな変化をもたらします。
従来の「与えられた作業だけ」から、「各自が工程設計や品質リスクを理解し能動的に改善する」現場づくりが求められています。
昭和的発想からの脱却ポイント
昭和の現場では、“先輩に言われたとおりに動く”“前例主義”“金型頼み”という風土がありました。
これに対し、現代では「工程をなぜ分けるのか?」「どこで不具合が出るリスクがあるか?」「どこの工程の精度を上げれば全体最適か?」といった現場起点の“ゼロベース思考”が不可欠です。
ラテラルシンキングとハイブリッド工程
ハイブリッド工程の成功には、ラテラル(水平)シンキングつまり「常識の枠にとらわれず、異業種や全く異なる材料・工法も柔軟に掛け合わせて考える力」が極めて重要です。
プレス屋だからプレスしかやらない、ではなく「樹脂成形でも、3Dプリンタでも補強できるのでは?」「手作業溶接でもカバーできるでは?」と新たな発想をもつことが、現場発イノベーションにつながります。
バイヤー・サプライヤー両者が目指すべき未来像
ハイブリッド工程を現場レベルまで浸透させるには、バイヤーとサプライヤーの“信頼関係”と“共創”がより大切になります。
バイヤーは「安い・早い」だけでなく、「どう工程変更すれば短納期・高品質・少量多品種に強くなるか」まで提案型で考える時代です。
サプライヤー側も「プレスはうちの領域なので…」という自己限定をやめ、「総合部品メーカー」として委託設計やハイブリッド工程提案まで踏み込むことが競争優位性となっていきます。
まとめ:進化する“ものづくり”の現場をあなたの手で
プレス加工とのハイブリッド工程が成立する条件は、単なる“掛け合わせ”ではありません。
現場の知見とデジタル連携、工程間品質保証、コストと納期の最適化、そしてシームレスな働き方改革まで、“現場のすべて”を見直す絶好の機会です。
昭和から令和へ、ものづくり現場の進化は止まりません。
バイヤー・サプライヤー・現場で働くすべての人が、ラテラルシンキングと現場力を最大限に発揮し、“新たな地平線”を共に切り拓いていきましょう。
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