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コネクティッド・カーのIoT連携が他部門を巻き込む構造

目次
はじめに:コネクティッド・カーと製造業の新潮流
コネクティッド・カーは、単なる自動車の進化形ではありません。
それはモノづくりの現場、ひいては企業の業務フロー全体を再編する大きな波です。
かつて工場内で完結していたものづくりは、IoT(モノのインターネット)との連携によって多部門を巻き込み、サプライチェーンやアフターサービスにまで変化を生み出しています。
デジタル化が進むいま、製造業、調達、品質管理はどう変わるのでしょうか。
現場視点を重視しつつ、業界トレンドと未来の可能性について深掘りしていきます。
コネクティッド・カーとは何か
車単体で完結しない製品へ
かつての自動車は、製造された時点でひとまず役割が完了していました。
しかし、コネクティッド・カーは、走行データや車両の状態情報をリアルタイムでクラウドに送信します。
これにより、メーカー、サプライヤー、ディーラー、サービス部門など、複数の部署が関わる「循環型の連携構造」が生じているのです。
IoT連携が生み出す新たな部門連携
IoTによる接続が進むと、従来独立していた部門がシームレスにつながります。
例えば、製品開発設計・生産管理・調達・品質保証・アフターサービスが、データをリアルタイムで共有しながら意思決定を加速させています。
この連携は新たな業務フロー、評価軸、さらには人材要件の変化をもたらしています。
コネクティッド・カーが巻き込む主な部門と変化
1.調達購買部門の変化
コネクティッド・カーが普及すると、電子部品・通信モジュールなどの電子部品比率が飛躍的に増加します。
調達部門では、これまで扱ってこなかった分野の部材調達が求められ、従来の枠を越えたサプライヤー連携が不可欠となっています。
また、ソフトウェアやコネクティビティの評価、サイバーセキュリティ規格など「新たな視点での仕入れ」が必要です。
価格や納期だけでなく、技術的な適合性や将来性も重視した調達体制への移行が急速に進んでいます。
2.生産管理・現場運営の進化
従来は現場を中心とした「見える化」と「効率化」が主流でしたが、IoT連携によって、車両が納品された後の使用状況データまでフィードバックできるようになりました。
このデータ活用により、不具合予兆の事前発見、アフターサービス部門との連携強化、リモート診断 ~ 部品手配まで現場運営の質が大きく変わっています。
さらに、部品のロット管理やトレーサビリティもシビアになり、生産計画やITシステムの高度化、今まで以上に部門横断的なプロジェクトが増加しています。
3.品質管理ならびにサービス部門の拡大
コネクティッド・カーでは、納品後の製品品質もリアルタイムで把握できます。
従来は「何かあれば持ち込まれて初めて分かる」状態だったものが、センサーや通信によって「異常予兆」を見つけられる時代となりました。
これにより品質保証部門とアフターサービス部門の境界が融け、不具合予防やリコール対応にも素早く対処できる環境が整っています。
現場視点で見る「多部門連携」時代の課題
アナログ文化が根付く現場のギャップ
日本の製造業では、昭和の時代から続く「現場第一主義」と「紙文化」が根強く残っています。
現場カイゼンは強いものの、データを跨いだ分析や他部門との情報共有にはまだ「壁」があります。
コネクティッド・カー時代に求められるデータ活用・リアルタイム連携は、こういった旧来文化と自然衝突します。
部門ごとに基準やルールの解釈が違い、ITリテラシー格差も顕著です。
人材と業務フローの再構築
こうした背景から、「IoTやビッグデータを使いこなせる人材」「縦割り組織の壁を越えられるリーダー」が不可欠となってきました。
現場で主流となっているアナログな段取り作業を否定から入るのではなく、「デジタルで補完し強くする」という視点へのパラダイムシフトが重要です。
このためには、トップダウンによる仕組みと実作業現場のボトムアップ両輪での意識改革、先行導入現場でのスモールスタートによる成功事例創出と水平展開が現実的です。
コネクティッド・カーが購買・サプライヤーに与える影響
購買(バイヤー)の立場から見た「変化」
コネクティッド・カー分野では、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやクラウドサービス、セキュリティサービスも調達対象となります。
バイヤーには「従来部品」とは異なる発想や知識が求められます。
たとえば「この部品のファームウェア更新頻度は?」「提供されるAPIは開発現場のニーズに合うか?」「トラブル時の対応スピードは?」など、従来以上に広範な知見と交渉力が不可欠です。
パートナーシップ型のサプライヤー選定や、契約スキームも変化しています。
サプライヤーから見た「バイヤーの内心」
サプライヤーの方は「バイヤーが何を評価しているか」を読むことが重要です。
コスト、納期重視はもちろん、今後は「データ連携の対応力」「国・業界ごとのセキュリティ規格準拠」「万が一の障害時にどこまでサポートできるか」が求められます。
単なるモノの供給ではなく「使い方」や「サービス」も補完できる提案が、バイヤー評価のカギとなります。
「運用視点」を持って営業・技術者が顧客側の他部門とも密接に意見交換し、提案型サプライヤーを目指すことが今後の成長に直結します。
昭和的アナログ業界がデジタルに適応するために
現場重視×デジタル志向=両立する推進策
多くの製造業現場では、「経験や勘」と「データ活用」のバランスが課題となっています。
IoTデバイスやセンサーの導入は、まず現場の負担軽減・効率化から始めれば納得感も得られやすいです。
例えば、不具合発生時の一次情報をセンサーで自動取得→分析→原因追究・対策まで現場メンバーと一緒に行う。
小さな「使い勝手がいい」「助かる」という成功体験を積み、徐々に現場リーダーの理解を広げることが効果的です。
製造業特有の組織風土とマインドシフト
デジタル導入は単なる「新しい道具」ではありません。
現場のカイゼン文化や「三現主義」(現場・現物・現実)を尊重しながら、それをデータとシステムで支えることが本来あるべき姿です。
経営陣やIT部門は、システム設計やKPIだけではなく、現場の声をいかに吸い上げて活かしていくか、地道な現場ヒアリングとサポートを意識する必要があります。
未来展望:コネクティッド・カー連携がもたらす可能性
横断型人材の重要性が加速
今後、需要が高まるのは「製造業×IT」「ものづくり×サイバーセキュリティ」「現場×データサイエンス」のような”掛け合わせ人材”です。
調達購買、生産管理、品質保証など各部門の枠を超えて、IoT連携による価値創造が求められます。
バイヤーも単なる買い付け担当から、技術・サービス両面で提案力を磨いていく必要があります。
新しいバリューチェーンの再構築
コネクティッド・カーがもたらすのは、単なる社内効率化にとどまりません。
サプライヤー、バイヤー、現場、生産といった全ての関係者がデータを起点にWin-Winの関係を構築し、変化を恐れずに挑戦する企業がリーダーとなる時代が到来しています。
まとめ
コネクティッド・カーのIoT連携による多部門巻き込み構造は、製造業界にとって大きな変革点です。
調達や生産管理だけでなく、品質・アフターサービス・経営まで巻き込む強力な推進力を秘めています。
昭和的なアナログ文化・現場重視を強みにしつつ、デジタルとの融合によって、現場発のイノベーションを生み出す意識改革がカギとなります。
バイヤー・現場・サプライヤー、それぞれの立場から一歩先を見据え、これからのものづくりの新地平をともに切り拓いていきましょう。