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工場のフローを分かりやすく見せられないコンサルタントの限界

目次
はじめに――「見せる力」の重要性と製造業の現場リアル
工場には人、モノ、情報が絶えず行き交い、日々膨大な数の業務フローが繰り返されています。
この現場で課題を解決したいと考えたとき、コンサルタントによる「現状分析」や「業務フロー可視化」といった提案が持ち込まれることは決して珍しいことではありません。
しかし、そこで明らかになる問題の一つが「工場の本当のフローを分かりやすく見せることの難しさ」です。
そして、その難しさを乗り越えられないコンサルタントの限界もまた、現場ではしばしば目の当たりにします。
この記事では、製造業現場の視点から「フローを分かりやすく可視化することの本質」と、「現場リアルを反映できないコンサルタントの課題」、さらにはバイヤーやサプライヤーが知っておくべき業界動向に至るまで、深く掘り下げていきます。
業務フローの可視化が工場で難航する理由
現場と図面は別物――定量データだけでは語れない動き
業務フローの可視化において、多くのコンサルタントはヒアリングやアンケートを繰り返し、「業務プロセス表」「フローチャート」「業務マニュアル」といった資料を作成します。
しかし、工場長として長年現場を見てきた立場から言えば、それだけでは「現場の本当の動き」はほとんど反映されていないのが実情です。
というのも、現場では担当者が複数の業務を掛け持ちし、状況によって柔軟にタスクの切り替えをしています。
また、正式な業務手順書には表れない「暗黙知」や、担当者ごとの工夫・ショートカットが現場の生産性そのものを支えているのです。
定量的なフロー図にまとめることで全体像は把握しやすくなりますが、「実際の動線や判断」「機械の微妙な癖」「各工程間のちょっとした声掛け」までを落とし込むことは、外部コンサルタントにとって非常に難しいといえます。
昭和から続くアナログ運用の壁
現在も中堅・中小製造業の多くでは、紙管理やExcel手作業が強く残っており、デジタルデータに変換しきれていない情報が山のように存在しています。
こうした現場に「業務システム化」や「フロー見直し」を持ち込んでも、帳票を前提とした棚卸のクセや「紙に頼る安心感」など、長年の習慣に阻まれるケースがほとんどです。
このような「現場に根付くアナログ文化」を無視したままフローを可視化し、「明日から新しいシステムを使って」と提示しても、現場にはほとんど響きません。
なぜコンサルタントは工場のフローを本当の意味で「見せられない」のか
ヒアリングの限界と現場への没入不足
外部コンサルタントは、限られた期間のヒアリング・観察を通じて現場理解を進めます。
しかし、工場の現場には「繁忙期特有の動き」「新入社員対応」「設備トラブル発生時のイレギュラー」など、一時的な観察だけでは把握しきれない変動要素が多々あります。
また、現場担当者は「自分たちの日々の工夫」や「普段当たり前にやっている応急処置の知恵」を、わざわざ外部の人間にまで細かく伝えることはありません。
こうした「見えない力」を吸い上げるためには、最低でも1カ月、現場に入り込んで動線や会話、作業の揺らぎといった「生きた実態」に没入しなければならないのです。
この点において、多くの外部コンサルタントは時間・コストの制約上、どうしても表層的な把握の域を出ません。
コンサルタントの「あるべき論」と現場の「泥臭い現実」
コンサルタントが出す提案は、往々にして「あるべき姿」に基づいています。
「5Sが徹底されていない」「標準化が遅れている」「ムダ取りが不十分」といった改善案は、理論としては正しくとも、現場に根づく昭和的な仕事観・慣習・人間関係と軋轢を起こすことが多いものです。
現場が「そのやり方では回らない」「今さら全部やり直す時間も人手もない」と反発することも珍しくありません。
この溝を乗り越えられず、机上の空論に終わってしまうケースが後を絶たないのです。
本当に使える業務フローとは何か――現場に根ざす可視化のすすめ
現場メンバーを主役にしたボトムアップ型可視化
現場目線でよく分かる「使える業務フロー」とは、現場メンバーが自分たちで描き、語り、継続的にアップデートできる仕組みです。
外部の目線で作った「きれいなチャート図」ではなく、ワークショップや現場巡回の中で「なぜこうしているのか」「今のやり方にどんな工夫や障害があるのか」をメンバー同士で持ち寄り、言葉化・図解していくことが大切です。
例えば、模造紙やホワイトボードを使って「いつ・誰が・何を・どう動かしているのか」を付箋で貼りだす。
紙やExcelによる記録が主流の職場であれば、そのまま紙ベースで「工程見える化シート」を作る。
こういった“泥臭いアナログ可視化”こそ、現場が納得し自分ごと化できる第一歩です。
経営層と現場のパイプ役――ミドルマネジメントの役割
外部コンサルタント以上に、「現場と経営層の翻訳者」となるのが、工場長や課長クラスのミドルマネジメント層の役割です。
現場の習熟や工夫、改善活動の小さな芽を的確にすくい上げ、「現場の言葉」と「経営指標」をつなぐ。
日々のPDCAミーティングや、“なぜそれが必要なのか”という説明力が求められます。
特に現場メンバーと共に「いま分からないこと」「困っていること」「明日からちょっと変えられそうなこと」をリストアップし、都度フローを微調整し続けることが、絵に描いた餅に終わらせないコツと言えるでしょう。
サプライチェーン全体で見る業務フローの「見える化」動向
急増する「サプライヤー側のフロー“見せ方”」の進化
近年、バイヤー側(調達担当者)の要求は、「納品日順守」や「品質確保」といった昔ながらの指標だけにとどまらず、サプライヤー各社が「工程進捗をリアルタイムでどこまで可視化できるか」「工程負荷やボトルネックが事前に分かるか」といった点にも及んでいます。
製造現場においては、「自社のフローを他社に丸見えにするのはリスクだ」と考える職人気質も根強く残っていますが、業界全体の競争環境は確実に「フローも含めた見える化・説明責任」重視にシフトしています。
そのためサプライヤーの現場担当者が「なぜこの工程は時間がかかるのか」「どの部分でイレギュラー発生率が高いのか」をバイヤーに分かりやすく説明できることが、以前にも増して大きな商談力となっています。
デジタル改革の波と現場“人的資本”の価値
IoT・DX(デジタルトランスフォーメーション)導入により、リアルタイムの進捗状況や工程負荷の自動収集、遠隔監視が可能になりつつあります。
一方で、システムではカバーしきれない「現場の気づき」や「突発トラブル時の判断」は依然として人的資本に頼らざるを得ません。
バイヤー・サプライヤーいずれの立場であれ、「デジタルで拾えない現場の暗黙知や潜在課題」をどのように説明し、見せられるか――これが将来に渡り競合優位性を左右するポイントとなるでしょう。
まとめ――これから必要なのは「現場に根を生やした可視化」
コンサルタントによる業務フロー可視化は、一過性の資料作り・数値分析で終わってしまうことが少なくありません。
「現場目線」「現場参加型」という本質を外さないこと、そして泥臭いアナログ的手法も活かした柔軟なアプローチこそが、真に「見せるコンサルティング」に繋がります。
業界がどれだけデジタル化・IT化しても、現場力、自分ごととしての改善力が強い会社こそが持続的に躍進していけると私は現場20年の実感として断言できます。
これからバイヤーを目指す方、サプライヤーとしてバイヤーの要求を理解したい方は、「現場のどんな動きが、どんな風にフローに現れ、その裏にどんなリアルがあるのか?」を常に問い直してください。
本質を見る眼と、泥臭さを厭わぬ“現場体感型フロー可視化”こそが製造業イノベーションへの第一歩だと私は信じています。
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