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紙袋の持ち手が取れない接着圧と糊剤組成の制御

目次
はじめに:紙袋品質の本質を追求する
紙袋は私たちの日常に欠かせないアイテムとなっています。
スーパーや百貨店、そして通販事業など、あらゆる小売現場で活用されていますが、意外にも、そのクオリティ管理や現場の生産ノウハウは知られていません。
特に、紙袋の持ち手部分――つまり「ハンドル」が取れやすい、あるいは使っているうちに剥がれる、といったクレームは今もなお業界に根強く存在しています。
本記事では、20年以上の現場経験を元に、「紙袋の持ち手が取れない接着圧と糊剤組成の制御」という観点から、理論と実践に基づき、先進的な工場のプロセス改善やバイヤーの着眼点、サプライヤーの技術課題に迫ります。
製造業で働く方や、調達購買に携わるバイヤー、さらにはサプライヤーとして品質提案を強化したい方にも必ず有益な内容となっています。
紙袋のハンドルの剥がれが示す業界課題
「持ち手が外れる」は定番のクレーム
現場で寄せられる意見として、圧倒的に多いのが「紙袋の持ち手が取れる」という苦情です。
なぜこれが頻発するのでしょうか。
要因は大きく二つあります。
一つは接着圧のバラつき、もう一つは使用する糊剤の組成最適化が不十分という点です。
加えて、季節や湿度、ハンドルの材質、袋本体の用紙の表面加工など複数要素が絡み合うため、単純な解決が難しいという背景もあります。
出荷検査では十分に見極められない本質的問題
紙袋メーカーではJIS規格や社内基準による落下テストや等荷重試験が実施されています。
しかし実際の使用環境では、持つ瞬間の急激な負荷、湿気、毛羽立ちによる接触面積減少など、実地テストと乖離する使用シーンが多発します。
バイヤーや品質管理担当者は、「規格を満たしていれば大丈夫」という常識から一歩踏み出し、現場での“使われ方”に寄り添うラテラルシンキングが求められます。
接着圧の本質:物理でも人間でも「均一性」が肝
接着圧の変動要因とは
紙袋のハンドルを袋本体に接着する工程では、主に機械式のプレス装置が使われます。
この圧着工程の管理ポイントは、次の三つに集約されます。
1.一定の圧力で均一にプレスできているかどうか
2.接着面の形状にムラがないか
3.投入位置のズレや、資材側の反り・歪み対策
現場でありがちな「一部だけ圧着が弱い」「端部が浮いている」という現象の大半は、圧着機の圧力バランス不良か、資材サイドの紙ロールの歪みが原因です。
これを防ぐためには、機械の定期メンテナンスやフィードバック制御、さらにはカメラによる自動監視(AI画像検査+IoT対応)など、多角的な管理手法が有効です。
人手作業が多い現場とその限界
昭和的な現場では、いまだに職人の勘や経験則に頼った手貼り作業も残っています。
もちろん職人技の凄みはありますが、属人的な工程管理システムのままでは品質が安定しません。
教育されたオペレーターによる標準作業手順書の運用や、誰でも同じ品質で貼れる治具の導入、温湿度ロギングを活用した“現場の見える化”が必要です。
糊剤組成の最適化――科学の知恵を現場に落とし込む
糊剤は単なる「接着剤」ではない
製紙業界や紙袋業界で利用される糊剤は、でんぷん系、水性樹脂系、ホットメルト系などさまざまです。
最も普及しているのは、でんぷんを主成分とした糊剤ですが、粘着力・耐水性・柔軟性の最適バランスが要求されます。
また、袋本体や持ち手の表面特性(平滑性や吸湿性)によって、求められる糊剤の物性は大きく異なります。
バイヤーや生産管理者は、「現場の工程にマッチしているか」だけでなく、「流通経路や保管環境の変化にも耐えられるか」を逆算して糊剤選定や組成の調整を依頼することが重要です。
持ち手に最適な糊剤組成のポイント
高粘度過ぎる糊剤では、塗布時ののり残り・圧着面の真空阻害が発生しやすくなります。
逆に低粘度すぎると、紙の表面に染み込んでしまい、貼り付け力が弱くなります。
現場でよく重視するのは以下のパラメータです。
1.粘度(中粘度~やや高粘度が好ましい)
2.固形分(30~45%が標準。これが低いと乾燥後の強度低下の原因に)
3.pH値(紙や糊の劣化リスク回避、pH7前後が推奨)
4.樹脂残渣の有無や粒子径(細かすぎるとうまく密着しない場合あり)
加えて、最新の動向として「再生紙使用」や「バイオマス糊剤」の普及も進んでいます。
SDGsの流れでは、環境対応製品への切り替えも今後の大きなポイントとなります。
データで管理する次世代の紙袋製造現場
IoTとAI活用で「検証」「再発防止」を徹底
課題のルーツは現場で「何が起きていたか」を見える化しないことにあります。
そこで、IoTセンサーやAIカメラを圧着工程や検査工程に導入し、リアルタイムでデータを収集して分析、異常の早期発見を行う工場が増えています。
糊剤塗工量、圧着圧データ、温湿度情報、原紙やハンドル在庫ロット情報を一元管理することで、「なぜ剥がれが発生したのか」を根拠立てて追跡できる体制が整います。
バイヤー側でも、こうしたトレーサビリティ体制を事前に要求し、品質リスクの低減を製品選定基準に加えることが、今後は標準になるでしょう。
工程改善へのラテラルシンキング
紙袋という「消費財」と侮ることなく、様々な業界(自動車や電子部品の品質保証、医薬品の工程管理など)のノウハウを積極的に取り入れることが大切です。
例えば、自動車工場のFMEA(故障モード影響分析)手法を紙袋のハンドル剥がれリスク管理に応用したり、国内外の規格動向(ISO22000やFSC認証など)から“見える化”の視点を強化するケースです。
また、バイヤーがサプライヤーへ「なぜその組成・圧着圧設定なのか」「もし変更する場合はどの工程を見直す必要があるのか」など、一歩踏み込んだヒアリングや監査を実施することで、供給チェーン全体の底上げが期待できます。
現場から見た、持ち手剥がれ防止策の具体例
1.糊剤開発メーカーと直接連携し、自社現場で「実荷重テスト」「リアル耐候試験」を繰り返す。
2.圧着機のレンジ制御を“可変バッファ”付きにアップグレード、材質やロット変動にも対応できる工夫を施す。
3.完成品の全量検査は現実的ではないため、ロット毎に抜き取り+画像検査自動化+モニタリングログ化を推進。
4.社内の生産技術部門や購買・品質管理部門を横断した「品質横断プロジェクト」で小さな失敗もナレッジ化。
昭和的な「やり直し(リワーク)」や属人的な「目視検査」から脱却し、失敗事例の共有や“工程を見える化するDX”にステージを進めることが求められています。
まとめ:紙袋から業界の進化を考える
紙袋の持ち手が取れないようにするための接着圧と糊剤組成の制御は、決して単なる現場の「小手先の技術」ではありません。
バイヤー・サプライヤー双方が、物理・化学・設備・人材・デジタルデータという多様な視点を持ち寄り、現場での実用性と顧客体験の向上へ知恵を絞ることで、長年業界に残っていた「昭和の常識」から一歩抜け出せます。
製造業の発展は、ささいな改善、現場の知の共有、ラテラルシンキングから生まれます。
ぜひみなさんの現場でも、本記事をきっかけに「なぜ取れないのか」を科学し、業界の未来をともに開拓していきましょう。
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