投稿日:2025年12月24日

水回り配管部材の腐食がトラブルを招く理由

はじめに:目に見えない脅威、「水回り配管部材の腐食」

製造業の現場で設備保全や工場管理を担当されている方であれば、「腐食」という言葉が持つ重さを実感されていることでしょう。

とくに水回り配管の部材は、腐食の影響を受けやすく、ちょっとした見落としや対策の後回しが、思わぬ大規模トラブルを引き起こします。

本記事では、水回り配管部材の腐食が現場でいかに大きなリスクとなり得るのか、具体的な理由とともに解説します。

また、調達購買やバイヤー、サプライヤー視点から、「なぜ腐食対策を最優先課題として捉えるべきなのか」も現場目線で考えていきます。

昭和から続くアナログ的な管理体制に根付く業界の慣習も織り交ぜ、ラテラルシンキングで深く掘り下げてみましょう。

水回り配管部材とは何か?なぜ腐食リスクが高いのか

水と金属――腐食の“宿命的出会い”

工場や施設の水回り配管には、主に金属が使用されています。

配管材には鉄、ステンレス、銅、亜鉛メッキ鋼管、時に樹脂など様々な素材がありますが、多くの現場では経済性・強度・加工性の観点から金属製が選ばれがちです。

水分、そして空気中の酸素。

これらの化学反応環境下に金属が長くさらされることで、「腐食」という現象が避けられません。

現場では塩素イオンや水質、温度変化、保護皮膜の劣化など、複合的な要因が腐食を加速させます。

このような「見えない敵」は、昭和時代から現代に至るまで、現場にじわじわと危険をもたらしてきました。

よくある腐食の種類とその初期兆候

・全面腐食(均一腐食):配管の表面全体が均一に減っていく
・局部腐食(穴あき腐食):ピンホールや孔食と呼ばれる、小さな穴からの漏水
・隙間腐食:フランジや継手の隙間で進行
・電食(異種金属腐食):異種金属間の電位差による腐食

このような腐食兆候は、初期の段階で表面がわずかに変色したり、触るとザラつきを感じるようになったりします。

しかし、外見からは分かりにくく、内部で静かに進行しているケースも珍しくありません。

水回り配管部材の腐食が招くトラブル

トラブル1:予期せぬ漏水によるライン停止・生産遅延

工場の合間、稼働中のラインで配管から漏水が発生した場合、その影響は甚大です。

予兆が分からずラインを一時停止することになり、生産計画自体が大きく狂ってしまいます。

一時しのぎの修理で済む場合もあれば、配管ごと交換せざるを得ない“大修繕”に発展するケースもあります。

ラインの再立ち上げには相当な時間とコストが必要となり、顧客への納期遅延、ひいては信用問題へ発展しかねません。

トラブル2:品質事故や二次汚染リスク

水回り配管部材は、しばしば製品の直接冷却や洗浄、プロセス用水供給といった重要な工程を支えています。

もし配管の腐食による微細な鉄サビや銅イオンが工程水に混入した場合、製品の外観や物性に重大な悪影響が及ぶ恐れがあります。

とくに食品、薬品、電子部品業界においては、配管由来の不純物混入による品質事故やクレームがしばしば発生しています。

また、腐食部位は細菌やバイオフィルムの温床にもなりやすく、衛生管理の観点からもリスクが高まります。

トラブル3:事故・安全災害

大きな腐食が進行し、耐圧性能が失われた配管が、稼働中に突然破断した場合。

高圧水や蒸気、薬液などが飛び散り、作業者のケガや火傷、それに伴う重大な災害につながることがあります。

定期点検やメンテナンスを怠ると、こうした突発的な事故リスクは一気に高まるのです。

腐食トラブルはなぜ「繰り返される」のか:業界の本質的課題

1.「見えない」問題への過小評価

腐食は、配管内部や壁面の裏側、地中埋設部など、目視で確認しづらい場所で進行します。

そのため、日常点検の範囲では変化を捉えにくく、「とりあえず動いているから大丈夫」と現場でも軽視されがちです。

特に、昭和の頃から続く現場力重視の運営体制では、「壊れてから直す」という事後対応型の思想が、気づかぬうちに根付いてしまっています。

2.万年人手不足と保全コストの圧縮圧力

慢性的な人手不足や熟練作業者の高齢化に伴い、現場スタッフは日々のオペレーションに追われています。

「腐食対策は分かっている、でも手が回らない」が、現場の本音ではないでしょうか。

また経営側も、「老朽化設備の更新や点検には予算が付けにくい」との理由で後回しにしてしまう慣習が根強くあります。

3.アナログ体質ゆえの見落としループ

検査記録や履歴管理が紙台帳、Excelベースでバラバラ管理されている現場も少なくありません。

腐食状況の変化や過去の補修履歴、新たな異常検知を即座にデータ連携できていないため、危険な「見えない蓄積」が続いてしまいます。

調達・バイヤー・サプライヤー視点で考える腐食対策の要諦

調達購買:スペックとコストだけで選ばない“真の目利き力”

配管部材の調達でありがちなのは、「カタログスペックと価格」を基準に、最安値で調達してしまうパターンです。

しかし現場では、配管経路や流体条件、水質(井水、工水、純水など)、周囲環境(屋外・地中・薬品暴露)によって適材適所が大幅に異なります。

「短期的コスト削減」が「後の大損」につながることを実感しているかどうか。

調達担当者には、現場オペレーターや保全担当と密に連携し、「このラインにはどんな腐食リスクがあるか?」を理解する姿勢が求められています。

また、サプライヤー選定にあたっては、腐食対策ノウハウや防食技術力、アフターサポート体制がしっかりした企業をパートナーに選定する嗅覚――いわば“目利き力”が重要です。

バイヤー:現場の声を吸い上げる「腐食警戒のアンテナ」

バイヤーとして重要なのは、現場での不具合履歴やメンテナンス工数の増大といった「腐食由来のシグナル」を見逃さないことです。

稟議や見積もりの数字だけを追いかけていては、本質的改善にはつながりません。

現場の保全担当、オペレーターとの定期的なすり合わせや実際の配管現物確認を通じて、「本当に必要な仕様」「今後のリスク」を先回りして把握しましょう。

新規導入時に防食対策(コーティング管、合成樹脂管、ライニング管採用など)を検討する際、その追加コストの意義や、長期的なトータルコストシミュレーションを行う姿勢が、バイヤーに求められる真の付加価値です。

サプライヤー:バイヤー・現場の信頼を得る「問題提示力」

単なる価格競争だけではなく、サプライヤーとしては“腐食対策の専門家”として、工場現場が気づいていないリスクを積極的に提案できることが差別化ポイントです。

腐食診断や健全度評価、最適な部材選定(素材・防食処理・ライニング提案など)、場合によってはIoTセンサーを活用した腐食進行の遠隔モニタリング提案まで。

「御社のこのライン、実はこのままだと数年後にピンホールが出るリスクがあります」と警鐘を鳴らせる提案営業力は、現場・バイヤーからの信頼獲得につながります。

最新事例から考える「腐食問題」への革新的アプローチ

DX(デジタルトランスフォーメーション)活用例

老舗大手製造業の現場では、近年「腐食モニタリング」へのデジタル技術活用が進んでいます。

例えば、配管内外の電気抵抗測定や腐食センサー、流量異常の検知といったIoT活用、クラウド連携による全設備のヘルスモニター化など。

リアルタイムデータの見える化によって、突発トラブルを未然防止できる事例が増えています。

この動きは今後、地方中小の現場にも確実に波及していくでしょう。

エンジニアリング企業との「協創」

近年は、配管改修・防食施工の専門エンジニアリング企業と長期パートナーシップを結ぶ現場が増えています。

自社だけでは把握しきれない腐食挙動や配管全周調査など、専門家と連携することで、新たな発見や改善方法を得ることができます。

バイヤーにとっては、単発の価格交渉よりも、こうした「信頼できるサプライヤーとの共創」が、長期的な安定生産・リスク回避につながるのです。

まとめ:「見えないリスク」こそ、現場×調達×サプライヤーで可視化しよう

水回り配管部材の腐食は、一見地味なテーマに思えるかもしれません。

しかしその影響範囲は、生産ラインの信頼性、製品品質、安全衛生、そして企業ブランドそのものにまで及びます。

本質的な腐食対策には、現場保全・オペレーター・調達バイヤー・サプライヤーが一体となって、「見えないリスク」を早期に可視化し、先手を打つ“現場起点の改善力”が必要不可欠です。

この地道な現場視点こそが、「昭和型のアナログ管理」から「データ駆動によるスマートファクトリー」への新たな地平線につながります。

一歩先の腐食対策に向けて、ぜひこの記事を現場や調達の議論のきっかけとしてご活用ください。

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