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部品点数削減による原価低減と調達効率化の実践方法

目次
序論:なぜ今「部品点数削減」が求められるのか
製造業の現場では、日々“もっと安く”、“もっと早く”というプレッシャーが高まっています。
部品数が多ければその分、管理の手間、製造コスト、調達コストが膨らみます。
一方で、顧客要求は多様化し、部品点数の増大を招きがちです。
こうした時代のなかで“部品点数削減”は、単なるコストダウン手法を超え、競争力向上の鍵となっています。
昭和から続く「とりあえず現行通り」「異論は困る」――そんな現場慣習に風穴を開け、今こそ根本的発想転換が必要なタイミングです。
本記事では、部品点数削減による原価低減と調達効率化の実践ロードマップを、現場目線と業界知見の両輪で解説します。
部品点数削減のメリットとは
1. 原価低減
対象部品が減ると、購買ロットや管理工数が減少します。
多品種少量生産時代でも、ある程度の部品共通化やユニット化により部品原単価を下げることができます。
さらに、設計工数、在庫管理コスト、棚卸作業など部門を超えた業務改善へも波及します。
2. 品質向上・安定生産
部品数が多いと不良やトラブルの発生源が増えます。
重要保安部品やA品位部品の点数が減れば、検査資源を重点投下でき、不良の流出も抑えられます。
また、自動化設備の設計もシンプルになりやすく、多熟練工依存の現場からの脱却も促進します。
3. サプライチェーンの強靭化
サプライヤー数、部材管理ポイントが減少することで、調達リスクが軽減されます。
災害や需給ひっ迫時でも、補完手段や生産切回しがしやすくなり、BCP(事業継続計画)強化にもつながります。
具体的な部品点数削減の実践ステップ
ステップ1:部品構成の“見える化”
現役購買マンの多くがぶつかる壁が、“現物・生産情報バラバラ問題”です。
まずはBOM(部品表)を最新化し、設計・生産・調達・現場管理…すべての目線で現状把握を徹底しましょう。
情報システムが古い、紙運用しかない――そんな場合でも、「品目マッピング表」「色分け台帳」「部品使用相関図」など、アナログ手法で現場ミーティングを重ねることで“部品のムダ・重複・リニューアル履歴”が炙り出せます。
ステップ2:ムダ部品洗い出し・機能統合の検討
1つ1つの部品に“なぜ必要か?”を問いかけてみましょう。
古い図面・仕様書、増補対応のみで増えた歴史的経緯を掘り起こし、不必要な部品や共通化できる部品をピックアップします。
このとき重要なのは、技術部門/購買部門/生産部門の三位一体アプローチです。
現場の「使い勝手」、設計上の「余裕度」、調達目線の「購入ストラテジー」を擦り合わせましょう。
ステップ3:ユニット化・共通化・規格化
規格外の特殊品は、調達工数も製造コストも跳ね上がります。
「同業他社のベストプラクティス」「JISやISOといった規格への置換え」「サブアセンブリの共用」など、部品毎に“最大公約数化”を進めます。
現場目線のポイントは、“やり過ぎ共通化”は現場混乱や品質低下につながるリスクがあるため、現行設備や運用方法をしっかり見据えて見極めることです。
ステップ4:デジタル・アナログの融合でPDCAサイクル確立
完全デジタルの部品管理台帳が難しい現場でも、仕様変更履歴や切替進捗をホワイトボードや共有ノートで“見える化”しましょう。
部品削減作業は1度実施して終わり…ではなく、細かい改善を繰り返すことで大きな成果へとつながります。
ちょっとした変更案も現場定例で持ち寄り、「部品点数の見直し文化」を根付かせましょう。
調達購買の立場から見た“部品削減”のインパクト
バイヤーとしての現場経験から断言できますが、部品数の削減は調達業務に劇的な効率化をもたらします。
発注工数・交渉負担の減少
部品点数が1,000点から500点になれば、それだけで発注書や見積依頼、納期確認等の工数が半減します。
調達マンの本来業務である“価格交渉力向上”や“サプライヤー開拓”に時間を振り向けることができます。
取引先との関係強化
同じ部品の調達量をまとめることで、サプライヤーとの取引規模が大型化します。
発注側としても影響力が高まり、お互いに信頼関係を深めやすくなります。
単独部品の安易な値上げ要請なども牽制しやすくなり、安定した調達基盤を築けます。
サプライヤーの立場から“バイヤーの意図”を先読みする
サプライヤーの皆さんがバイヤーの発する「まとめろ」「共通化しろ」という声の裏にどんな意図があるのか理解すると、自社のビジネスチャンスが見えてきます。
狙いはトータルコストダウンと簡便投資
バイヤーが部品点数削減を進めるのは、「単価」だけでなく「管理コスト」「納期トラブルリスク」等を落とせるからです。
提案の際も、「この部品とこの部品を一体化できませんか?」「モジュール化すれば御社の納品工数も減りますよ」という形で、双方の利益となる点を強調しましょう。
部品標準化への積極提案が信頼構築のカギ
顧客仕様にただ従うだけでなく、「この仕様なら他社流用可能です」「サプライヤー群に展開しやすい共通規格にしましょう」と“Win-Win”の提案を続けることが、指名業者やパートナー認定、主要開発メンバーへの近道です。
昭和から抜け出せない現場をどう動かす?失敗しない進め方
現場には“変化を嫌う空気”、“とりあえず現状維持”があります。
部品点数削減は技術部門vs製造部門、購買部門vs生産部門…と“部門対立”になりがちですが、成功のポイントは「現場を主語にする」ことです。
現場巻き込み型プロジェクト
設計・購買・現場作業者の垣根を超えて、「いつ」「なぜ」「どうすれば手間が減るか」を一緒に考え、現場主導のアイデア実装を重視しましょう。
ちょっとした“部品外し選手権”など軽いコンテスト形式で課題意識を盛り上げることも有効です。
リスクと成果を“定量化”して全社コンセンサスへ
部品点数削減によるコスト低減効果、工数削減効果を数値で可視化しましょう。
「古い部品の供給不安」などリスク要素もテーブルに載せ、「メリット>デメリット」が明確なアクションプランを全社でシェアして進めることが重要です。
部品点数削減×デジタル化:現代製造業の新たな地平線
部品点数削減とデジタル化は切っても切れない関係です。
部品データベースの統合管理、BOMシステムと調達管理システムの連携、設計チェンジ管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)がこれからの製造業の姿です。
完全デジタルには程遠い現場でも、まずはアナログから始める情報“見える化”→段階的なクラウド化へと進め、知識の世代間継承も併せて進めましょう。
まとめ:変化の時代にこそ“部品点数削減”がものづくりを支える
部品点数削減は一見地味に聞こえるかもしれませんが、現場・調達・サプライヤー・経営層すべてに恩恵をもたらす製造業の本質改革です。
業界の慣習や昭和的体質から脱皮し、真に現場のため、会社のためになる仕組みを作りあげていくことが、競争力の源泉となります。
目の前のムダ削減から始めて、全体最適のものづくり価値へ。
それが、これからの製造業に求められる「部品点数削減」による原価低減と調達効率化の真髄です。
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