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電着塗装後の電流ムラによる外観不良を防ぐための対策

目次
はじめに
製造業の現場では、効率化と品質向上が永遠のテーマです。
特に、電着塗装工程においては「電流ムラ」による外観不良が発生しやすく、生産効率を著しく損なう要因となりがちです。
本記事では、「電着塗装後の電流ムラによる外観不良を防ぐための対策」を、長年の現場経験とラテラルシンキングから導き出し、実践的かつ深堀りして解説します。
電着塗装と電流ムラ:基礎知識の整理
電着塗装とは何か
電着塗装は、対象のワーク(部品)を陰極、塗料を陽極とする電解反応によって、塗膜を均一に形成させる塗装方法です。
主に自動車部品、家電、建材、OA機器筐体などの防錆・美観性向上を目的に幅広く用いられます。
そのメリットは「凹凸部もムラなく均一に塗装できる」「生産の自動化が図りやすい」「高耐久・高品質な塗膜が得られる」といった点にあります。
電流ムラとは何か
電流ムラとは、電着塗装時にワーク全体に均一な電流が流れず、部分的に電流値が高くなったり低くなったりする現象です。
この電流ムラの発生により、膜厚ムラ、色ムラ、ピンホール、ツヤ不良といった外観不良が現れます。
これが生産歩留まりの低下や顧客クレーム、リワーク・廃棄ロスへと直結します。
現場で頻発する「電流ムラ」の原因とは?
アース(接地)不良
最も見落とされがちなのがアース不良です。
吊り治具とワークの接点部に塗膜やさびが付着していれば、それだけで電気抵抗が増し、規定の電流が流れません。
治具の不良が積み重なれば、ライン全体の電流不安定化を招き、部分的な電流ムラに繋がります。
ワーク形状と配置バランス
複雑形状や閉空間の多い部品(例:袋構造、パイプ内面)は電流が届きにくく、塗膜が薄くなりがちです。
また、ロットごとのワーク配置が偏ると、ライン全体の電流分布が乱れ、ムラ発生の温床となります。
塗料の物性管理不足
塗料の比抵抗値や固形分濃度が経時で変化します。
計画的な補給や撹拌管理を怠ると、同一条件でも電流量や塗膜品質ばらつきが生じやすくなります。
ライン電源の電圧・電流制御不備
古い設備や負荷分散の悪いラインでは、所定の電圧値・電流値の安定供給が難しいケースもあります。
この場合、局所的な電流ムラが日常茶飯事となり、いつまでたっても歩留まり改善されません。
現場でできる!電流ムラによる外観不良の対策
アース・吊り治具メンテナンスの徹底
接点部は日々の管理が第一です。
治具の定期的なサンドブラスト処理や、ワーク着脱部の清掃ルール徹底、接点表面の摩耗管理(摩耗度チェック・定期交換)を必ず取り入れましょう。
また、作業者教育により「アース接触不良=NG品」の意識を根付かせることが重要です。
実ワークでの電流値モニタリング
治具単位・ワーク単位での電流値を定常監視し、閾値から外れた場合には即座にアラーム表示、設備自動停止といった「仕組み」で対策しましょう。
ここ10年で現場IoTやPLC連携が進み、信号取り込みも容易になりました。
昭和のアナログ管理からの脱却はまさにここです。
ワーク配置の最適化設計
治具開発時に、各ワークへの電流分布シミュレーション(CAE活用)を事前に実施すると、潜在リスクを可視化できます。
多品種混流ラインでは配置ガイドラインを整備、作業標準書へ明記し、誰でも同様品質・同条件になるようにしておきましょう。
塗料管理のデジタル化を推進
塗料状態(比抵抗、pH、固形分、温度など)をオンラインモニタリングし、管理値逸脱時には自動警報・自動補給制御させましょう。
「現場勘」「目分量」からデータドリブン型のプロセス管理へ変化させることが、これからの生産現場には不可欠です。
生産設備の定期メンテナンスとリニューアル
電源装置、バスバー、電極などは経時劣化しやすい部分です。
定期点検での電気抵抗測定、不良傾向の早期特定、時には古い電源やラインコントロール盤ごと刷新する「攻めの保全計画」が、不良の根本撲滅に繋がります。
バイヤー・サプライヤーの視点から考える電流ムラ対策
バイヤーの関心事:安定品質と現場再現性
購買担当やバイヤーは、サプライヤーの生産品質を重視します。
とくに、外観不良発生時の履歴管理(トレーサビリティ)、原因の解明能力、再発防止策の仕組み化など「データで語れる現場力」を求めています。
サプライヤー側の取り組み例
サプライヤーとしては以下が訴求ポイントとなります。
– 全数分の工程パラメータ自動取得・保存
– 電流ムラ発生時のアラーム履歴や即対応体制
– 塗料ベンダーや治具メーカーと連携した改善事例紹介
これらを、監査対応時にデータ提示できるよう仕組み化し、信頼性を高めることが差別化要素となります。
失敗事例に学ぶ、昭和な現場からの脱却ポイント
よくある落とし穴と対策
– 「昔からこの管理で大丈夫だった」という慢心
– 作業者頼りの「勘・コツ」伝承から抜け出せない
– 塗料や治具の在庫管理すら紙帳票オンリー
これらを放置している工場ほど、外観不良→手直し→納期遅延→コスト増大の悪循環に陥りやすい傾向があります。
「現場の声」を掬い上げてルールや設備を進化させる、いわゆる「カイゼン・現場改革マインド」がこれからのサプライヤー選定でも重視される時代です。
電流ムラ対策の最新動向と今後の展望
DX(デジタルトランスフォーメーション)の波
近年、ロボットやAIカメラ判別といった先端技術応用が進みつつあります。
具体的には、画像解析AIが外観からムラを即座に検知して現場へフィードバック、塗装ロボットが自動で位置補正を行う自律制御型生産ラインへのアップグレード事例も出てきました。
サステナビリティと品質保証の両立
無駄な塗料・リワーク品の発生を抑えることが環境負荷低減=企業価値向上にも繋がります。
次世代型の塗装現場では、コスト競争力だけでなく「持続可能性(SDGs文脈)」が選ばれる条件となりつつあります。
まとめ:現場目線で継続的な改善活動を
電着塗装の電流ムラ対策は、一朝一夕で解決できる問題ではありません。
アース管理、治具設計、ライン監視から最新DX活用まで、現場ごとの「最適解」を根気よく積み重ねていくことが求められます。
バイヤーの期待、サプライヤー現場の課題、そして働く現場スタッフそれぞれの立場から、「常に学び、改善する」姿勢こそが、不良ゼロ・安定品質への最短ルートです。
現場で培った知見をシェアしながら、より良いものづくりの未来を切り開いていきましょう。
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