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ロール段ごとの役割を理解しないと起きる不良

目次
はじめに:なぜ「ロール段ごとの役割」が重要なのか
現場の製造工程における“不良品問題”は、どれほど高度な設備を導入してもゼロにすることが難しい課題の一つです。
特に、複数の工程や設備を経て製品が出来上がるロール状製品の製造現場では、「どのロール段が、どの役割を持つのか」の本質的な理解が極めて重要となってきます。
その本質を軽視した場合、工程ごとに潜んでいるリスクを見逃しがちになり、不良が多発する原因になります。
この記事では、20年以上にわたり現場で培った経験を元に、「ロール段ごとの役割」を理解しないことによって発生する主な不良、そしてその本質的な背景と対策について、深く掘り下げていきます。
ロール段とは何か、工程ごとの意義、現場ベースの失敗例、デジタル化や自動化の進展にもかかわらずいまだ“昭和的”な勘と経験に頼る企業が多い理由まで、ラテラルシンキングで立体的に解説していきます。
ロール段とは?製造工程での具体的な役割
ロール段の定義と基本的な流れ
ロール段とは、フィルム・紙・金属などを連続したロール状に加工・搬送する生産プロセスで使われる、各工程単位を指します。
例えば、フィルム製造であれば「原反ロール」→「塗布ロール」→「乾燥ロール」→「巻き取りロール」のように、工程ごとに“役割の異なるロール段”が存在します。
各段で担うべき役割を理解し、適切なプロセス管理をしないと、「どこで」「どのような」不良が発生するかの追跡や予防が困難になります。
典型的なロール段ごとの役割
– 原反ロール:基材の品質維持とスタート状態の安定化
– 加工ロール(表面処理・塗布など):指定された加工精度の担保、材料の均一な塗布・処理
– 乾燥ロール:材料の乾燥・安定化、工程通過時の温度・湿度管理
– 巻き取りロール:仕上がり品の品質確保、テンション管理、外観不良(シワや巻きずれ)の防止
それぞれに“果たすべき役割”が明確であり、どこか一段でも異常や不備が生じれば、最終製品は一気に不良率が上昇します。
ロール段ごとの役割軽視で発生する“現場あるある”の不良
典型的不良の実例と発生メカニズム
長年現場で見てきた中で、ロール段ごとの役割を軽視した現場に起きやすい“典型的な不良”をいくつか紹介します。
- 巻取りロール段でのテンション不良による「シワ」「スジ」「巻きずれ」発生
- 乾燥ロール段での温度管理ミスによる「ブリスター」「乾燥むら」発生
- 塗布ロール段での均一性管理ミスによる「塗布厚さムラ」「ピンホール」「斑点」発生
これは、「自分の担当段階だけ何となくやればいい」という意識が招きやすい現象です。
各段が“なぜその工程なのか”を理解できていないと、不良発生の根本原因を正しく捉えるのが非常に難しくなります。
「担当外だから」の責任転嫁が起きる構造的問題
現場へのヒアリングやトラブル分析をすると、
「これは前工程のせいじゃないか?」
「巻き取りだけうまくやれと言われても原反段の状態次第だ」
など、“ロール段間のなすり付け”が起きているケースも多いです。
こうした状況では、仮に一時的な対策で不良の数字が改善しても、根本的な解決には至りません。
総合的な工程理解、「なぜこのロール段が必要なのか」「前後工程へのつながり」を徹底的に理解し、コントロールできる組織だけが“不良ゼロ”に近づくことができます。
昭和的現場文化とデジタル化との狭間
“勘と経験”に頼る昭和的現場の実態
日本の製造業では、いまだ昭和の職人文化が根強く残っている現場が多いです。
デジタル化・自動化の導入が進んでも、「俺の勘で巻け」は根強く、何十年も同じ機械を扱う熟練者の“暗黙知”がモノを言う世界です。
こうした現場では、「なぜそのテンションが正しいのか?」までを数値化するカルチャーが弱く、その職人がいなくなった途端、再現できなくなり不良が急増するケースが少なくありません。
なぜロール段ごとの役割理解がデジタル化のカギになるのか
近年、IoTやAIによる予兆検知、可視化ツールなどを用いる企業が増えています。
しかし、いくらデータを収集・分析しても、「ロール段ごとのプロセス理解」が両輪にならなければ、不適切な監視ポイントを選んだり、データの見誤りにつながります。
例えば本来は塗布ロールの異常なのに、巻き取り工程のカメラやセンサで異常検知が出ている。
「どこまでが塗布段階の責任で、どこからが巻き取りの責任か」を理解できない現場では、デジタル化しても不良摘発競争に手間取るばかりです。
バイヤー・サプライヤーが知るべき“プロセス主義”の重要性
バイヤーとして何を見るべきか
バイヤーが新たな取引先サプライヤーを選定する際、チェックするべき本質は「不良率ゼロの実績」だけではありません。
– ロール段ごとのプロセス管理指標が明確か
– 過去の不良発生に対する根本原因分析(段ごとの役割まで遡った調査)ができているか
– トラブル時の横断的なコミュニケーション力があるか
この観点を押さえることで、「一時的な不良低減」ではなく、「継続的に歩留まりを上げられる現場力」を見抜くことができます。
サプライヤーがバイヤーの信頼を得るために必要なこと
サプライヤー側がバイヤーから選ばれるためには、
– 自社のロール段ごとの工程説明をロジカルにできること
– 万が一の不良発生時にも、どの段で何が起きて、どう改善したかを共有できる文化
– 工場単位ではなく“工程単位”での改善PDCAが歯車のように回っている実態
これらを開示・提案できれば、バイヤーとの信頼関係は圧倒的に強化され、単価競争以外でも高い評価が得られます。
ロール段ごとの役割を徹底するための実践的なアプローチ
現場改革を進めるための3つのポイント
1. ロール段ごとにKPIを見える化し、現場全員で共有する仕組みづくり
2. 不良発生時の「なぜなぜ分析」で、原因段階まで必ず遡る徹底
3. 部門間の壁を取っ払い、全工程を横断したクロスファンクション会議の実施
これらを組み合わせれば、現場の属人的ノウハウが組織の「再現可能な強み」に変わります。
自動化、DXへの発展的応用
工程ごとの役割が整理されていれば、各ロール段に「どのデータを、どの粒度で、どう測るべきか」が明確になり、
– AIによる異常検知システムのチューニング
– IoTセンサーの監視ポイント最適化
– QCD(品質・コスト・納期)三軸の同時向上
など、最先端のテクノロジーもうまく活用できるようになります。
まとめ:ロール段ごとの理解が不良低減の王道、そして現場力の証明
不良ゼロや品質向上は「知識の共有」から始まります。
ロール段ごとの役割理解は、工程間の壁を越えて全員が正しい問題意識を持つために欠かせません。
現場の知恵と仕組みが融合すれば、古い体質から抜け出し、本質的な“現場変革”が現実となります。
今後、グローバル競争やサプライチェーンのリスク多様化が進む中、“ロール段ごとの深い理解”こそが、メーカー・バイヤー・サプライヤーいずれの立場にとっても持続的な競争優位の源泉となるでしょう。
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