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投稿日:2025年11月15日

ガラス瓶の製版で密着ムラを防ぐための脱脂工程とスクリーン張力バランス

はじめに:製版工程における「密着ムラ」のリスク

ガラス瓶の製造において、スクリーン印刷工程は意匠性や識別性を大きく左右する重要な作業です。
とりわけ製版段階で発生しやすい密着ムラは、最終製品の品質やブランド信頼を大きく損ねる要因となります。

40年以上も続くガラス瓶業界は他の業界と比較してアナログ要素が色濃く残る分野です。
一方で、時代の変化を受けて多品種小ロット化、短納期への対応、安全・衛生意識の高まり、サステナビリティ対応など、急ピッチの変革が求められています。

本記事では、ベテラン現場経験者として、ガラス瓶の製版で発生しがちな密着ムラのメカニズムを解説し、その根本対策となる「脱脂工程」と「スクリーン張力バランス」について、現場目線で掘り下げていきます。

ガラス瓶印刷における密着ムラとは何か?

ガラス瓶への印刷では、特にシルクスクリーン印刷(スクリーン印刷)が主流です。
この工程で最大の課題の一つが「密着ムラ」です。

密着ムラが起きる現象

密着ムラとは、印刷面にインキの乗りムラやカスレ、部分的な未着色が生じる不具合です。
デザインの一部が薄くなったり、印刷が剥がれやすくなったりする原因となります。
これにより製品の見た目が大きく損なわれ、再印刷や廃棄によるコスト増、納期遅延、信頼失墜につながります。

ムラにつながる主な要因

密着ムラは、以下のような要因で発生します。

– ガラス瓶表面の汚れや油分残存
– スクリーンの張力バランス不良
– 製版工程での埃・異物混入
– 印刷用インキの粘度や調整不良

この中でも、表面脱脂とスクリーンの張力バランスは、工程管理上で「起点」となる重要要素です。

ガラス瓶表面の脱脂工程の基礎と実務ポイント

なぜ脱脂が必須工程なのか?

ガラス瓶は成形、冷却、搬送、保管の工程で微量の油分・指紋・埃などが付着しやすい特徴があります。
これらが残在したままだと、インキや製版の密着性が著しく低下し、密着ムラやピンホール、印刷剥離が発生します。

現場でよく目にするのは、洗浄を省略した結果、微細な油分や埃にインキがはじかれてしまい、工程後の検品で不良が多発するケースです。
こうした「小さな工程の手抜き」が大きな損失を生むため、脱脂工程には特に注意が必要です。

実践的な脱脂方法とポイント

ガラス瓶の脱脂は、現場では以下のような方法が取られています。

– アルコール(エタノール)拭き
– 中性洗剤による超音波洗浄
– 酸/アルカリ洗浄
– IPA(イソプロピルアルコール)吹き付け

重要なのは「洗浄後の乾燥」と「拭き残しチェック」です。
とくにIPA吹きの場合、溶剤が瓶底に溜まりやすく、拭き上げが不十分なまま印刷工程に進むとムラ発生のリスクが高まります。

また、現場の悪い慣習として、脱脂作業を新人や外注任せにしてしまい、管理責任が曖昧になりがちです。
作業手順書の明文化や定期教育、脱脂後サンプリングによる密着度テストを徹底しましょう。

スクリーン製版の張力バランスが密着ムラに与える影響

張力管理の本当の意味

スクリーン印刷で用いられる版(メッシュ)は、適度な張力を保つことでインキの強制転写性、版の寿命、そして密着ムラ防止に決定的な役割を持っています。

スクリーンの張力が均等でないと、たわみ部分ではインキ押し込み不足となり、線幅や色が不均一になります。
逆に張力が強すぎるとスクリーン自体が破損しやすくなったり、版枠からの剥がれによる異常が発生します。

現場での張力管理“あるある”と課題

多くの現場では、「経験値頼み」の張力設定になりがちです。
昭和型の職人技を継承し、勘や感覚で張ってしまうと、設備ごと・季節ごと・作業者ごとでばらつきが出やすいのが実態です。

最先端現場では、テンションメーター(張力計)を使用し、一定範囲(一般的に15~25N/cm)に標準化しています。
また、スクリーン素材(ナイロン・ポリエステル等)やメッシュ目の細かさによっても最適張力が異なります。
ロット追跡やトレーサビリティ確保のためにも、張力の記録管理をいっそう厳格に行うべきです。

脱脂と張力バランスを徹底する具体的な現場フロー

ここでは実践的な現場フローとして、以下の流れを推奨します。

  1. 成形後ガラス瓶の目視チェック(異物付着・キズ・欠損等)
  2. 選抜サンプル瓶を用い、標準脱脂プロセス(アルコール拭き+超音波洗浄)をテスト
  3. 脱脂後サンプリングで水滴残留有無・親水性テストを実施
  4. スクリーン版のテンションメーターによる張力測定および記録
  5. 印刷前には必ず「テスト印刷」で密着ムラの有無を確認
  6. 良否の基準を工程全メンバーで共有、手順書に明文化

特に瓶脱脂は外注化した場合も定期的な現場立ち入りや工程監査で“感覚”任せを徹底排除する工夫が必要です。
トレーサビリティを保つため、どのロットにどの張力・脱脂方法を用いたか記録管理を徹底しましょう。

バイヤー・サプライヤー視点の「隠れ不良」リスクとその回避法

ガラス瓶メーカーのバイヤーとしては、サプライヤーがきちんと脱脂とスクリーニング管理を行っているかが極めて重要な監査ポイントです。
書類上は「OK」でも現場は未熟練作業者による省略・手抜きが発生しやすく、結果として“隠れた不良品リスク”が残ります。

逆に、サプライヤーは密着ムラの未然防止に注力し、工程ごとの見える化、管理強化、再教育、といった“プラスα”の現場工夫を提案できると、競合優位性につながります。

– プロセスごとの動画提出や工程監査の受け入れ
– 脱脂作業員の資格や教育履歴の開示
– 張力記録情報のロット納入時添付

こうした細やかな情報開示が、リスクを回避し信頼に繋がるのです。

まとめ:アナログ業界における「地道な管理」の価値

ガラス瓶の製版における密着ムラは、AIや自動化で一発解決できる単純な問題ではありません。
むしろ、従来から続く手作業や現場管理の“地道な継続”こそが価値となる、日本的ものづくりの神髄と言えるでしょう。

脱脂と張力バランスの管理強化は、一見アナログで地味な工程ですが、これを軽視すればどんなに最新設備を導入しても品質事故は防げません。
時代がデジタルに移ろうとも、昭和から磨かれた現場の目利き・段取り力・地道な改善の積み重ねを、今こそ全社で見直しましょう。

製造業に従事される方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場でバイヤーの関心や不安を汲み取りたい方へ―
密着ムラ対策は、手抜きを許さない「現場力」こそが最大の武器です。
ぜひ、目の前のひと工程を大切にすることで、確かな品質と現場の進化を実現していきましょう。

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