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調達との連携不足で部材選定が後手に回り開発が遅れる現実

目次
はじめに ― 製造業における「調達」の役割と現場目線の課題感
モノづくりの現場で「調達」と聞くと、どうしても単なる購買事務——見積依頼と価格交渉、発注を繰り返す仕事——と思われがちです。
しかし、今日の製造業では調達は製品の品質・コスト・納期の三本柱を左右する極めて重要な存在になっています。
特に、製品開発段階で部材の選定やサプライヤーとの交渉に遅れが生じれば、開発スケジュールは即座に影響を受け、最悪の場合、競合他社に先を越されるリスクすらあります。
この記事では、なぜ調達部門と設計・開発部門との連携不足が「部材選定の後手」につながり、開発全体を遅らせてしまうのか。
実際の現場経験に基づき、アナログからの脱却が難しい業界構造や具体的なトラブル事例、そして解決に向けた現実的アプローチを徹底解説します。
これからバイヤーやサプライヤーを目指す方も、ぜひ本記事で「調達の現場目線と業界の現在地」を感じ取っていただければ幸いです。
なぜ起きる?調達との連携不足による「部材選定の遅延」
多くの現場でみられる「縦割り組織」の弊害
製造業では依然として「設計」「生産」「調達購買」「品質」など部門ごとに縦割りの意思決定が行われがちです。
各部門が自チームの利益や都合を優先し、部門間の調整が後回しになってしまう。
設計者は「仕様が固まってから調達に依頼すればいい」と考え、調達は「設計から依頼がくるまで待つしかない」という受け身姿勢になりがちです。
この結果、試作段階まで進んでも部材の仕様や型式が未確定。
調達部門はサプライヤー選定や価格交渉、納期回答を急ピッチで進めざるを得ず、結果的に希望納期や目標コストに間に合わないという現象が発生します。
「昭和型」購買風土の残滓
多くの大手製造業は長年にわたる成功体験から「過去の事例主義」に陥りがちです。
たとえば「前回と同じものを購入しておけば間違いない」「史上最安値の見積もりだけを重視」といった考えがはびこっています。
こうした「昭和的」な購買アプローチは、市場変化への即応力・新規技術や材料への感度を損ない、最適な部材選定の遅れを生んでいます。
結果的に、開発スケジュールも後ろ倒しになるというジレンマが発生するのです。
技術トレンドやサプライヤー状況の変化が激しい現代
原材料価格の高騰、地政学リスクの拡大、環境規制の強化など、グローバルな部材調達環境はかつてないほど変動しています。
こうした変化に「設計」「調達」「サプライヤー」全体でアンテナを張り情報を共有しなければ、最新の最適解を見失ってしまいます。
連携不足は単なる社内の問題にとどまらず、サプライチェーン全体の競争力低下にもつながるのです。
現場で実際に起こる「部材選定遅延」のリアル事例
事例1:設計担当者が最新のサプライヤー動向を把握せず手配遅延
ある精密機械メーカーでは、設計段階で予定していた特殊加工部品がリストアップされていました。
設計側は従来サプライヤーで簡単に入手可能と考えていましたが、実際は海外の原材料事情で納期が2カ月以上も遅延。
設計―調達間で早期に情報共有できていれば、十分代替案を選定できたはずですが、連携が不十分だったため手遅れになってしまいました。
事例2:コストターゲット未設定による部品選定回数の増加
電機メーカーの新商品開発では、設計図は完成していたものの、部品ごとのコストターゲットが調達部門と合意されていませんでした。
いざ調達で見積もりをとってみると、全体コストが目標の1.3倍に膨れ上がり、再度設計変更→部品変更→再度購買依頼…の無駄なサイクルに。
「なぜ最初から調達とコストのすり合わせをしなかったのか」と互いに不満を抱きながらも、悪循環を断ち切れないまま開発遅延へと発展しました。
事例3:調達が設計意図を理解せずサプライヤー選定ミス
部品標準化推進の一環として、汎用品への切り替えプロジェクトが始動。
調達が「安価で汎用性の高い」部品をサプライヤーに依頼しましたが、実は設計上、特定の性能要件を満たす必要があったことを見逃していました。
納入後に製品検査で不良判明し、納期もコストも大幅超過。
設計―調達でコミュニケーションが密であれば未然に防げたトラブルです。
連携強化で現場はこう変わる ― 実践的なソリューション
製品ライフサイクル全体での「早期巻き込み」推進
調達と設計・開発は「並行開発」が必須です。
仕様決定のタイミングで調達・バイヤーが部材トレンドや供給リスク、市場価格をインプットすれば、設計プロセス自体も最適化できます。
具体的には、開発初期段階で「部材選定会議」を設置し、設計・購買・品質・生産技術など主要メンバーが毎週チェックポイントを共有します。
また、サプライヤーの営業担当や技術者も巻き込んだ「リスク予兆共有会議」を定期化することで、最新動向を現場レベルで察知できる体制にします。
設計冗長性の排除と、早期コストターゲットの明示
設計者の経験値頼みの多重仕様や、必要以上の安全マージンによるコスト増も開発遅延の温床です。
調達とコスト目標、主要部品の仕様基準を立ち上げ時点で整理し、「設計フェーズ×コストフェーズ」を可視化するガイドラインを設定しましょう。
これにより、設計プロセスごとに調達からコストリスクをリアルタイムで指摘でき、スピーディな意思決定につながります。
サプライヤー連携とオープンイノベーションの活用
従来の「発注先=ただの納入業者」という意識を一新し、本当に信頼できるパートナー・サプライヤーとは情報も課題もオープンに共有する時代です。
調達と設計双方で、「他社ではどのような最新技術が使われているか」「部品の代替性や生産リードタイム短縮方法は何か」といった要素をサプライヤーと共創することで、業界ベンチマークからも遅れなくなります。
今や部材調達そのものが製造業の競争力の源泉になっていることを、現場の隅々に意識づけましょう。
アナログ体質からの脱却 ― デジタル時代の調達連携
DXによる「情報の見える化」とデジタル連携基盤の構築
旧来型の「メールや紙ベースでの仕様伝達」「エクセル手入力」では、情報伝達ミスや部署間タイムラグが生じやすいのが現実です。
近年は、設計から調達・サプライヤーまでを一気通貫で結ぶPLM(製品ライフサイクル管理)やSRM(サプライヤーリレーション管理)ツールの導入が進んでいます。
各社の導入事例をみても、Web上で部材仕様・価格・納期・進捗を一元管理できるシステム化により、現場の悩みは大きく改善されています。
調達現場のデジタル化こそ、アナログ体質から脱却し、より強いサプライチェーン競争力を生む鍵となるのです。
バイヤー・サプライヤーとして活躍するために求められる思考法
単なるコスト比較のバイヤーから、「いかに全体最適を目指すか」「サプライチェーン全体のパートナーシップを築くか」というマインドセットへの転換が不可欠です。
現場感覚とデータ分析力、サプライヤーとの交渉・共創力、多様な視点(経営・技術・品質など)を持つラテラルシンキングが、これからの製造業バイヤーの武器になるでしょう。
まとめ ―「調達」との連携強化から始まる現場改革
製造業現場の多くで悩みの種となる「調達連携の遅れ」。
その背景には、古い組織の壁、昭和型の購買風土、分断された社内外コミュニケーションなど、いまだ乗り越えがたい問題が残っています。
しかし今、調達・設計・サプライヤーが垣根を越えて早期から連携し、デジタルの力も活用しながら業界の常識に挑んでいく時代が到来しつつあります。
いち早くこの現場改革に踏み出した企業こそが、未来のモノづくりリーダーとなるはずです。
現場目線で一つ一つの部材を見直し、「自分たちが選び抜く責任」と「全体最適の目線」を持てるか。
今、バイヤー・サプライヤーを目指す皆さんが現場を少しでも変えていく、その一歩が日本の製造業の明日を支えると信じています。
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