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部品調達の遅れが製品開発の遅延に直結する重大リスク

目次
はじめに:部品調達の遅れが製品開発に与えるインパクト
製造業において「部品調達の遅れ」は、ただ単に原材料や部品が届かないだけの問題ではありません。
むしろ、その先にある「製品開発の遅延」というリスクこそが、企業全体に深刻なダメージをもたらします。
近年、グローバルサプライチェーンが広がる中で、この問題はより深刻化しています。
ここでは約20年以上製造現場に身を置き、調達・生産管理・品質管理など様々な現場を見てきた立場から、リアルな現状やリスク、乗り越えるための現場視点の解決策をお伝えします。
部品調達の遅れが起きる主な原因
サプライチェーンの複雑化とブラックボックス化
従来、日本の製造業は垂直統合型で部品調達が比較的スムーズでした。
しかし、コスト競争が激化し調達先が海外に分散されることで、サプライチェーンが複雑化しました。
何重もの下請け構造の中で、トラブルや納期遅延の原因がどこにあるのかブラックボックス化してしまい、対応が後手に回ることが増えています。
バイヤーとサプライヤー間の情報伝達・共有不足
バイヤー(調達部門)は製品企画や開発スケジュールに基づき部品調達を進めますが、現場とサプライヤー、設計・開発部門との連携が不足している場合、情報のタイムラグや齟齬が発生します。
「あとから仕様が変更になった」「試作に必要な部品種類が増えた」など、設計変更に素早く対応できず調達が遅れることも少なくありません。
アナログな業務習慣が残る現場の実態
昨今DXの波が押し寄せていますが、製造業は昭和からのアナログな慣習が根強く残っています。
発注書や納期のやりとりをFAXや電話で行う、サプライヤー側は手書き書類で現品票を管理、など。
複雑な業務フローの中、この“紙文化”がヒューマンエラーや情報伝達の遅延を引き起こし、納期リスクを見逃す温床になっています。
地政学的リスクや自然災害による外的要因
最近では新型コロナウイルスや半導体不足、ウクライナ情勢など、地政学的リスクがサプライチェーンを直撃し、調達遅延を引き起こしています。
加えて、日本国内でも地震や大雨などの自然災害により、一気に部品供給に打撃が及ぶケースもあり、こうした「想定外」への備えが追いついていない現状もあります。
製品開発の遅延・納期遅延がもたらす重大なリスク
企業ブランド・信用低下
重要な新製品のリリースが遅れれば、マーケットインのタイミングを逃し、競合に後れを取るだけでなく、ユーザー・顧客からの信頼も損なわれます。
一度失われた信用は、取り戻すのに膨大なコストと時間がかかります。
開発コストの増大・利益圧迫
調達遅延によりスケジュール再調整や設計のやり直しが生じれば、人件費や外注費、余計な在庫費用が発生します。
また、計画通りに生産が進まず受注分の売上が立たないことで、キャッシュフローも悪化し利益率が低下します。
現場の士気低下・モラールダウン
部品が入ってこないために工場現場で「待ち」が発生し、作業者や管理者がやむなく無駄な工数や時間調整に追われます。
結果的に、現場のやる気やモチベーションが下がり人材流出にもつながりかねません。
バイヤー・サプライヤー間の関係悪化
納期遅れや情報伝達ミスが続くと、バイヤーはサプライヤーへの不信感を強めます。
一方、サプライヤー側も過度な納期短縮や突発仕様変更の要請に疲弊し、最終的にはパートナーシップが破綻してしまうケースも後を絶ちません。
これでは、安定したサプライチェーン構築どころではなくなります。
業界動向:昭和型アナログ業界に根付く“遅延リスクの背景”
部品調達の属人化と「経験則重視文化」
多くの現場では、長年の取引関係や「○○さんに頼めば大丈夫」「うちのルートなら融通が利く」といった属人的な調達に依存しがちです。
人に頼る調達業務は、一見柔軟に見えますが、急な退職や引き継ぎ漏れに弱くブラックボックス化しやすいという弱点があります。
“見える化”の遅れと業務改善抵抗
部品在庫の現物や納期を「勘と経験」で判断してしまいがちな企業も少なくありません。
デジタル化やERPシステム導入の重要性は理解しつつも、「どうせ現場はうまく回っている」「昔からこのやり方が一番」という声が根強く、変革が進まない現状です。
現場で実践できる遅延リスク低減の具体策
1. サプライヤーとのパートナーシップ強化
最も重要なのはサプライヤーの事情や生産計画を深く理解し、単なるバイヤー・サプライヤーという“買い叩く側・叩かれる側”の関係を脱却することです。
定期的な情報交換・現場訪問・リードタイム短縮やBCP対策共有など、本当の意味での「協働関係」を築くことが遅延リスク減に直結します。
2. 調達業務・情報のデジタル化(DX)の推進
紙や電話、手書き管理から脱却し、ERPやSRM(サプライヤーリレーションシップマネジメント)システムなどで納期・在庫・発注情報を一元管理することは、今や必須です。
どこでどんな遅延要因が生じているか、スピーディに可視化・共有する仕組みづくりが必要です。
3. モノから情報へ:早期設計段階でのサプライヤー巻き込み
開発初期段階からサプライヤーや調達部門を積極的に設計会議に巻き込み、「どの部品なら調達リスクが低いか」「代替品や応急対応策は用意できるか」など、従来の“設計⇒調達”という縦割りから、“横断型”で情報共有しあう体制構築が求められます。
4. サプライヤーリスク評価・多重化戦略
地政学や環境リスクに備え、単一サプライヤー依存を避け、複数調達ルートや緊急時の代替供給策を用意しておくことが基本です。
また、主要サプライヤーのリスク評価(財務力・キャパ・納期履歴など)や定期的な監査・現場視察も効果的です。
5. アナログ文化を活かした“人の力”と、デジタルの融合
アナログな現場の経験やネットワークは今も大きな強みですが、“個人技”に依存しすぎず、その知見やノウハウをデジタルツールやマニュアル、仕組みに落とし込むことで再現性あるプロセスへと昇華していきましょう。
バイヤー・サプライヤー・工場の三位一体で未来を切り拓く
部品調達の遅れは誰か個人や一部門だけの責任ではありません。
バイヤーだけでなく設計、現場、そしてサプライヤーが一体となって情報を共有し、「どうすれば最前線で起きている変化を早くキャッチアップできるか」を常に追求することが大切です。
昭和のやり方に縛られすぎず、失われた30年から脱却するためには、現場起点のラテラルシンキング、横断型の業務改革がカギとなります。
まとめ:今こそ“現場叡智”を磨き直すとき
製造業は激動の時代を迎えています。
部品調達の遅れ=会社の命運を左右する問題として、企業全体で取り組むべき課題です。
日本のものづくり現場が持つ知恵と工夫、そして最新のテクノロジーを融合しながら、現場の発想力とスピード感で新たな地平線を開拓していきましょう。
現場にいる皆さん、一歩先を見据えた調達体制を、今こそ一緒に作っていきませんか。
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