投稿日:2025年11月28日

OEMトレーナーで売れる商品を生み出すためのデザインリサーチ手法

はじめに:OEMトレーナー開発の真髄を知る

OEM(Original Equipment Manufacturer)という言葉は、すでに多くの製造業従事者にとって親しみ深いものとなっています。
特に、衣料品業界ではOEMトレーナーの企画と開発が盛んです。
一方で、「売れる商品」を生み出す難しさは、日進月歩で進化するトレンドや顧客ニーズ、そして厳しい競争環境の中でますます高まっています。

本記事では、20年以上にわたる製造業での現場経験と管理職としての知見を活かし、OEMトレーナーでヒット商品を生み出すための実践的なデザインリサーチ手法を深掘りします。
昭和のアナログな風土とデジタルの最新事情、現場実感を交えてラテラルシンキング(水平思考)で考察を広げていきます。

OEMトレーナーの商品企画で直面する壁

トレンドのサイクルがとにかく早い

ファッション業界、とりわけOEMトレーナー分野ではトレンドの移り変わりが非常に速いです。
一世を風靡したデザインも、わずか数ヶ月で見向きもされなくなることがあります。
そのため、デザインリサーチの重要性は日増しに高まっているのです。

アナログな製造業現場の現実

一方で、製造業の多くはいまだに昭和型の「現場の勘と経験」に大きく依存しています。
データ活用やDXといったワードが唱えられていても、実際には紙の帳票やFAXでのコミュニケーションが根強く残っています。
この昭和気質はときに障壁となりますが、現場目線を失わないことで「売れる商品」を見抜く本質的な視点を養うことにも繋がります。

OEMトレーナー開発におけるデザインリサーチの極意

1. マーケットリサーチの深化

単なる競合商品のチェックや売上データ分析だけでは、流行の後追いに終わります。
現場のバイヤーやセールスと密に連携し、以下のような定性的な情報も拾い上げましょう。

・なぜその商品がヒットしたのか、現場スタッフや顧客の生の声を拾う
・売れる「サイズ」や「色」は、地域やターゲット層でどう違うかを調べる
・繁忙期・閑散期の売れ筋アイテムの違いを分析する

昭和から続く現場感覚にデータドリブンな発想をクロスさせることで、単なる数字の分析以上にリアルな購買動機が見えてきます。

2. 店頭観察と着用シーン分析

ネットデータだけでなく、実店舗に足を運び売り場を観察することも重要です。
どんな層がどのデザイン・カラーのトレーナーを手に取っているのか、立ち止まっているのか、試着しているのかを観察します。

さらに、一歩踏み込んで「いつ・どんな場面でトレーナーが使われるか」まで想像力を働かせてみてください。
部活帰りの学生、リモートワーク中の大人、家事の合間のお母さん……。
具体的なペルソナと着用シーンを設定し、全方位から分析することで、付加価値を持ったデザインが創出できます。

3. サプライヤー、バイヤー双方の“現場目線”を持つ

サプライヤーはつい「バイヤーの顔色」をうかがってしまいがちですが、バイヤー自身も現場苦労しています。
売り場で売れ残れば在庫リスク、販促計画の失敗など、多くのプレッシャーがあります。

実は、バイヤーは「売れ筋の根拠」「差別化ポイント」「リピートされる理由」を切実に求めているのです。
サプライヤーであるあなたが、こうしたバイヤー心理を深く理解し、根拠あるデザイン提案や現場からのフィードバックを反映できれば、強い信頼関係が構築され、継続取引も安定しやすくなります。

現場目線のデザインリサーチ手法3選

1. 「三現主義」で情報を拾う

製造業の現場で重要視される「三現主義」(現場・現物・現実)。
これをデザインリサーチにも応用します。
実際に店頭・工場・サンプル展示会に自分の足で赴き、現物を手に取り、現場スタッフにヒアリングを行います。
机上の空論では見えないリアルがそこにあります。

2. SNS・レビュー徹底分析

現代の消費者行動はSNSに大きく現れます。
InstagramやX(旧Twitter)で「#トレーナーコーデ」などのタグを定期的に追いましょう。
また、大手通販サイトのレビュー欄にはヒントが満載です。
「着心地が良い」「洗濯後の型くずれが…」といった声を定量化してみることで、新企画の材料となります。

3. 失敗事例の因数分解と成功要素の抽出

売れなかった経験や失敗デザインは、貴重な学びの宝庫です。
なぜ売れなかったのか、どの部分が顧客心理に刺さらなかったのか、色・素材・販促のどこに問題があったのか、現場を巻き込んで因数分解しましょう。
反対に、売れた商品の要素(例:トレンド色×ロゴ×肌触り)を抽出し、次の商品企画に横展開するのです。

アナログ業界でも使える“デジアナ”な発想法

デジタルツールの活用×現場感覚

昭和から続くアナログな習慣は、急にすべてを捨て去ることはできません。
例えば、手書きのメモや紙の帳票に「現場のヒント」が書かれていることも多々あります。
これらの情報を一度、デジタルツール(例:オンラインホワイトボードや表計算ソフト)に要素分解し、データベース化することで、分析や共有がぐっと手軽になります。

オフラインコミュニケーションを活かす

定期的に現場スタッフや営業、バイヤーと課題やアイデアを擦り合わせるオフラインのコミュニケーションを怠らないことも重要です。
現場のちょっとした雑談や職人からの一言が、実は売れるデザインの種になっていることが多くあります。

OEMトレーナーで売れる商品を生み出すためのチェックリスト

・マーケットトレンドを屋外・デジタル両面からリサーチしたか
・顧客の「着用シーン」「ニーズペイン」は想定できているか
・競合商品と比較した際の明確な差別化要素はあるか
・サプライヤー/バイヤー双方の立場で企画・提案できているか
・現場スタッフや営業からのフィードバックを商品に活かしているか
・デジタル/アナログの情報を有機的に組み合わせてアイデアを醸成しているか

まとめ:ラテラルシンキングが未来を切り拓く

OEMトレーナーで売れる商品を生み出すためには、ひとつの視点や手法に偏ることなく、現場目線・データ分析・定性的情報をラテラル(水平)に繋いでいく柔軟な発想力が不可欠です。

バイヤー、サプライヤー、現場スタッフ、それぞれの立場と課題を深く理解し、アナログな現場力とデジタル情報の融合で「ヒットの方程式」を編み出していきましょう。

現場を知るあなたこそが、次の時代のヒットメーカーになる可能性を秘めています。
この記事がOEMトレーナー開発の新たなヒントとなれば幸いです。

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