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地方中小企業が全国レベルの営業資料を作成するためのデザイン戦略

目次
はじめに:地方中小企業が抱える「営業資料」の課題とは
日本の製造業、とりわけ地方に拠点を置く中小企業は、高い技術力や独自のノウハウを持ちながらも、営業活動に必要な「営業資料」の改善には遅れがちです。
昭和時代から続く紙ベースのカタログやWord資料、代々受け継がれてきたアナログなプレゼン手法がまだ根強く残っています。
しかし、昨今は大企業に限らず、地方の中小企業もグローバルサプライチェーンへの参入や都市部の大手メーカーとの取引獲得、DX化を迫られる時代です。
そうした転換点で、製品・サービスを的確に伝え、信頼を得るための「全国レベルの営業資料」を持つことは競争力強化に直結します。
では、どうやって全国大手並みの営業資料を短期間・低コストで準備できるのか。
現場経験を踏まえ、アナログ業界に最適化した「デザイン戦略」の具体策を提案します。
業界動向に見る営業資料の変化と“本当の質”とは
デザイン刷新だけでは営業力は上がらない
「営業資料=とりあえず見栄えよく」という認識は危険です。
PowerPointで派手に飾った資料が必ずしも成果に直結するとは限りません。
大切なのは、お客様(バイヤーや発注側)が“意思決定したくなるか”という視点です。
これには、下記2つのポイントが必要です。
1. サプライヤー目線から「バイヤーの判断基準」を逆算する
業界経験の浅いデザイナーやコンサルが陥りがちなのは、「見せ方」先行です。
実際のバイヤーは、企業規模よりも「実績は?」「納期対応は?」「トラブル時の体制は?」というリスク管理に重きを置いています。
営業資料は、こうした購買側心理を裏打ちするための“信頼の根拠”を中心に構成しなければなりません。
2. アナログ業界では「過去の作品・写真・現場証拠」が最強の証明
最先端データも重要ですが、地方・中小の成長企業では、過去の施工写真や作業現場、実物製品のアップ写真、職人や作業者が実作業する様子こそ根強い説得力があります。
地方のお客様や昭和世代の購買部長は、抽象的な数値グラフよりも、温かみや人間の“気迫”を読み取ります。
写真や現場図面、実績リストのクオリティを磨くほうが、見せかけのスタイリッシュな資料より強力な武器になります。
デザイン戦略1:誰でも使える「営業資料テンプレート」はこう作る
最初の正解は「徹底シンプル+カスタマイズ性」
中小企業、とくに地方の現場では、最新アプリや専門デザインソフトの操作に苦手意識を持つ方がほとんどです。
そこで大切なのは、PowerPointやGoogleスライド、Wordなど習熟度が高いツールを前提に、「誰でも使えるシンプル設計のテンプレート」を用意することです。
テンプレートは必要最小限の構成で、社員が写真・実績・特色を書き込むだけカスタマイズできるよう工夫します。
おすすめの基本レイアウト例
1. 会社・事業所概要(代表挨拶、沿革、所在地、規模、主要設備写真)
2. 主力製品・技術(写真・図面つきで工程や特徴を具体的に)
3. 過去の納入実績・採用事例(納入先リスト、現場写真、取付事例、経過年数等を記載)
4. 受注から納品までの流れ、保証体制、緊急対応等
5. ISO取得、特許、品質確認体制など第三者証明
この基本構造を押さえたうえで、見るバイヤーのタイプ別に訴求ポイントを太字や枠囲みで目立たせましょう。
デザイン戦略2:写真・図面・“匂い”のする現場資料を強化せよ
現場写真1枚が百文に勝る:スマホ撮影で十分な説得力
高価なカメラは必要ありません。
最新のスマホで見やすい画角(横長推奨)、明るい現場、工程ごとの被写体を押さえましょう。
作業している職人の手元や、加工品の細部、納入現場の設置状態など「現場の空気」が伝われば五感を刺激する魅力的な資料になります。
匂いや温度感まで伝わる現場画像のコツ
– 加工機や治具の使い方は「動作の直前・直後」をアップで収める
– 完成品は部材の質感(光沢、小傷、打痕等)も見せて品質アピール
– 社員紹介は“働く背中・手元”など真摯な雰囲気を伝え信頼につなげる
紙資料・データ共有どちらにも適したサイズ(A4横長、データ2MB程度)にリサイズしておけば営業現場でも即活用可能です。
デザイン戦略3:DX時代の“更新しやすい”営業資料が最強
現場の変化を即時に反映できる「アップデート体制」を作る
顧客の信頼を得るには「常に最新」という安心感が重要です。
製造業では、工程や設備が日々進化しており、営業資料も年1回の作り替えでは時代遅れとなります。
顧客へのアプローチごとに実績や担当者の声、品質改善報告などを随時追加・更新できる「運用しやすい仕組み」を取り入れましょう。
GoogleドライブやBoxなどのクラウド共有型データをベースにするのも一手です。
営業資料は「社内の現場知恵」を集めることで深まる
– 製造現場から現場写真や改善事例を“LINEグループ”などでその都度アップ
– 社員全員が営業資料の「事例欄・改善履歴欄」に加筆できる体制を整備
– 事務スタッフがPDF化や簡単なレイアウト修正を定期的に行う
このように、現場と営業の知見を融合した「生きた営業資料」が地域でも頭一つ抜きん出る武器となります。
デザイン戦略4:昭和から抜け出す「情報の届け方」もデザイン対象
デジタル&アナログ両面アプローチ
DX化の流れのなかで、都市部のお客様には「オンライン商談・PDF共有」が当たり前となっています。
一方で、地方や年配層のバイヤーには「紙印刷」を重視するケースも少なくありません。
営業資料は最初から“デジタル原稿→高解像度PDF→プリント”と一気通貫運用できるフォーマットで作るのが理想となります。
QRコードを活用してウェブ事例や動画リンクへ誘導するだけでも、顧客体験が一気に近代化します。
受注につながる“差別化”デザイン:手紙型&現場直送の情報演出
大手と変化をつけるアイデアとして、営業担当直筆の一言メッセージや、現場の工具や資材サンプルを同封するなど、ひと手間かけた資料は地方でも都市圏でも「この会社は本気だ」と強く印象に残ります。
地元の特産品パッケージを資料封筒に生かす等、地場産業の強みもアピール材料となります。
まとめ:地方企業でも“全国標準”は作れる、その第一歩を踏み出そう
営業資料の質が、受注機会を大きく左右する時代です。
IT化が進む一方、現場のリアルな温度や人間味を伝える資料こそ、地方中小企業が全国区の信用を得るための必須戦略と言えます。
– デザインは「お客様が安心する根拠」の整理
– 地場色・現場感・更新性を重視した実践型テンプレ
– 写真・現場資料の積極活用
– 知恵の全社共有体制
これら戦略を自社なりに工夫・継続することが、本当の意味で「全国レベルの営業資料」への最短ルートです。
派手な表紙や難解なデジタル化ではなく、“お客様の心に響く体温ある資料づくり”を大切に、今すぐ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
現場の知恵と工夫が宿る営業資料こそ、これからの地方中小企業の武器となります。
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