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コーターマシンで使う防振部材の劣化と精度低下

目次
はじめに
コーターマシンは、様々なフィルムや紙などの基材にコーティング剤を均一に塗布するための装置です。
このプロセスは、精密な制御と安定した運転条件が求められるため、使用される各部品の性能が製品の品質に直結します。
とりわけ、防振部材は機械の安定性を保ち、振動による不具合や精度の低下を防ぐ重要な役割を担っています。
しかし、防振部材は長期間の稼働によって徐々に劣化し、最終的にはコーターマシン全体の精度低下を招くリスクがあります。
今回は、コーターマシンで使われる防振部材の劣化と精度低下の関係、そして現場目線でできる実践的な対策や、昨今のアナログ思考の根強い製造現場で消耗品管理をアップデートするヒントを詳しく解説します。
コーターマシンにおける防振部材の役割
防振部材がもたらす安定性
コーターマシンで最も重視されるのは「塗工の均一性」と「搬送精度」です。
わずかな振動でも塗布膜厚や位置ズレ、印刷・コーティング後の加工まで大きな影響を及ぼします。
このため、コーターマシンのフレームにはゴムやウレタン、各種複合素材を用いた防振部材が随所に取り付けられています。
これらは機械の振動エネルギーを吸収し、装置のフレームやローラー、駆動部から異常振動が伝わるのを防ぐ役割を果たします。
防振部材の種類と設置位置
主な防振部材には、制振ゴム、ウレタンマウント、防振パッド、ダンパー、スプリングマウントなどが使用されます。
設置個所は、フレームの脚周りや駆動部のモーター、ロールベアリング部、エンジンマウントなど多岐にわたります。
これらは常時荷重と周期的な回転力にさらされながら、防振・制振を実現しています。
防振部材の劣化メカニズム
経年劣化と稼働環境の影響
防振部材の多くは高分子材料や複合素材でできており、時間の経過や機械運転時の振動、熱、油、薬品成分などにより徐々に物性が低下します。
ゴムでは硬度上昇やひび割れ、ウレタンでも弾性低下や摩耗、樹脂でも表面疲労が顕著に現れます。
現場では「まだ見た目は大丈夫」「交換サインが分かりづらい」と軽視されがちですが、防振効果の減衰は目に見えない形でじわじわ進行します。
昭和型の感覚と現代的なメンテナンスのギャップ
古くからのものづくり現場では、五感や経験則に基づき「違和感が出たら交換」「作動音で判断する」など、曖昧な基準に頼ることもしばしばです。
しかし、近年ではTPM(Total Productive Maintenance)やIoT活用による状態監視、定量的な硬度測定など能動的な管理・予防保全が求められています。
防振部材も例外ではなく、「何年、何サイクルで交換」といったデータ主導への発想転換が、日本のアナログ現場にも徐々に浸透し始めています。
防振部材の劣化が精度に及ぼす影響とは
軸ズレ・微振動が引き起こす問題点
防振部材が劣化すると、装置のフレーム剛性や機械の据え付け精度が落ち「設計通りの静的バランス」が保てなくなります。
実際の現場では以下のような問題が発生しやすくなります。
– ロール間ギャップが変化し、塗布厚みやコーティング幅にムラが発生する
– 振動による軸ブレで微細なストリークやスジ異物が混入しやすくなる
– 精密な位置決めができず、フィルムの蛇行や紙の斜行が頻発する
– 装置摩耗が早まり、他部品への波及損傷が拡大する
特にミクロン単位、サブミクロンの厚み精度が要求される分野では、防振部材の劣化を見過ごすことは致命的な不良の温床となります。
「気づかれにくい不良」の怖さ
一番の問題は「徐々に不具合が進行する」ことです。
1日で見てもほとんど変化が分からず、月単位・年単位の変化を放置することで、ロット全体の品質低下やクレーム多発、歩留まり悪化が発生します。
正体不明の表面欠陥やスジ、周期的な模様ズレが起きて初めて、大本の原因が防振部材劣化だったと気づくのです。
メンテナンス現場での実践的なチェックポイント
1. 劣化サインの定量的評価
現場で防振部材の劣化を把握するために、次のようなチェック方法が推奨されます。
– ゴムやウレタン:硬度測定器(デュロメータ)による定点測定
– 見た目チェック:ひび・割れ・変色・変形(腰折れ)・ベタつき
– 防振マウントやスプリング部品:荷重測定による沈下量管理
– 定期的な交換周期の記録と、異音や振動値(加速度)モニタリング
これを”数値データ”で管理し、「見た目OKだから」「昔は3年もった」ではなく、計画的な部材交換へ移行していくことが重要です。
2. 装置稼働率・負荷条件ごとの交換基準
同じ防振部材でも、1日24時間、連続稼働と週2回の稼働では、経年変化に大きな差が出ます。
装置メーカーマニュアルやサプライヤーの推奨データをベースに「自社固有の運転条件」にアジャストした交換管理基準を策定しましょう。
IoTセンサーや稼働ログを活用し「時間×振動周波数」の掛け合わせで消耗度を推定する先進事例も増えています。
Procurement(調達購買)担当やバイヤー視点で考えるべきこと
1. コストとリスクのバランス
現場から「まだ使える」との声が多いため、防振部材の購買に消極的になりがちですが、ここでの節約は生産トラブル・品質低下といったより高額な損失の種となりかねません。
調達バイヤーは「真のベストコスト」と「予防保全の価値」を現場と共有し、長期的視野で部材調達・在庫管理方針を立ててください。
2. サプライヤーと連携した品質データの入手
意外に盲点となるのは「サプライヤーの技術情報不足」です。
現場や保全部門に「どのメーカーのどの品番が一番長持ちするか」「物性データの信頼度」に関する情報が行き届いていないケースも多いです。
バイヤーはサプライヤーから積極的にデータシートや使用実績、交換事例、推奨交換タイミングを取得し、標準化資料として現場へ展開する役割も担いましょう。
サプライヤー側が知っておくべき「バイヤーの期待」
– 防振部材の長期耐久性・保証体制・納入実績などエビデンスに基づく情報発信
– コストダウン提案だけでなく、「交換容易化(メンテナンス性)」や「現場作業性向上」など、現場力強化のソリューション提案
– 標準品・特注品のリードタイム明示とバックアップ体制(生産トラブル時の柔軟対応)
これらをきちんと押さえることで、「ただの消耗品調達」から「生産安定化を実現するパートナー」へとサプライヤーの価値が高まります。
昭和型アナログ現場をアップデートするために
IoTやデジタルツールの活用
昨今では、加速度センサーを装置に設置し、リアルタイムで振動値の変動を可視化したり、AIで異常判定する最新ソリューションも開発されています。
Excel管理から脱し、専用のメンテナンスアプリやパトロール支援ツールを現場導入することで、属人的な保全からデータドリブンな管理へ進化できます。
人材育成の視点
若手現場スタッフやバイヤー、サプライヤー担当者が「なぜ防振部材がこれほど大切なのか」を深く理解する教育も欠かせません。
実地研修やトラブル事例共有会、高品質現場見学会などを積極開催し、技術伝承と現場力アップを両立しましょう。
まとめ
コーターマシンで使われる防振部材は、目立たないながらも装置精度の根幹を支える存在です。
劣化を放置すれば、生産品質や操業安定率を大きく損なうリスクがあります。
アナログな感覚や経験値に頼る時代から、データに基づく定量管理・継続的な現場教育・サプライヤーとの連携体制へ発想を一歩進めてください。
調達購買、品質、メンテナンス、サプライヤー――誰もが「防振部材の本当の価値」に気付き、持続的な生産性向上を実現するための第一歩として、ぜひ本記事の知見を現場で活用していただければ幸いです。
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