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レジリエンス分野で地域コミュニティに貢献する新ソリューション開発と事業連携戦略

目次
はじめに:レジリエンス分野の重要性と社会的な潮流
近年、想定外の災害やパンデミックが世界中で頻発し、製造業におけるレジリエンスの強化が急務となっています。
レジリエンスとは、危機的な状況においても自社・地域がうまく対応し、早期に回復できる力を指します。
日本では「平成」「令和」と時代が移り変わる中、依然として昭和的アナログ体質が根強い現場も多いのが実情です。
しかし、グローバル競争の激化や持続可能な経営が求められる今、製造業の現場でもレジリエンスを高めるための新たな価値創造が求められています。
この記事では、レジリエンス分野で地域コミュニティに貢献するソリューション開発および事業連携戦略について、現場目線かつ業界全体の動向を絡めて解説します。
レジリエンスと地域コミュニティ:今なぜ重要なのか
業界の現実と課題認識
多くの日本の製造業工場は、本社や大都市から離れた地方に立地していることが多いです。
これらの地域は、自然災害が発生した際には「社会インフラや物流網が断絶される」というリスクに常にさらされています。
工場の生産ラインが止まれば、取引先への納期遅延はもちろん、地域経済全体にも大きな影響が及びます。
業界としては、これまで「リスク分散型サプライチェーン」「多拠点・多ベンダー調達」など形式的な対応にとどまりがちでしたが、DX化の波に乗れず旧態依然としたアナログ運用が根強い現場も少なくありません。
またCSR(企業の社会的責任)の文脈でも、地域との協働の姿勢が強く意識され始めています。
レジリエンスと地域を結ぶキーワード
生産現場の復旧・継続にとどまらず、「平時からいかに地域の持続的発展に寄与するか」が今後の主要な評価軸となっています。
地域住民・自治体と相互サポートできる仕組みや、一歩先を行く産学官連携によるイノベーションこそ、これからの製造業に不可欠です。
新ソリューション開発の考え方:現場発想×ラテラルシンキング
現場視点で潜在的課題を洗い出す
現場に密着してきた立場だからこそ感じるのは、マニュアル化された危機対応だけでは十分に機能しないという現実です。
例えば、地震や水害による停電・断水といったインフラ障害。
受発注システムや在庫管理のクラウド化が進んでいても、「非常時に誰が何をどうやって判断し、どこまで自主的に動けるのか」が明文化されていないケースが非常に多いのです。
また、地域住民の生活インフラとも密接に関わるため、製造業単体での自助努力だけでは限界があります。
サプライヤー・バイヤー・自治体など幅広いプレーヤーの現場感覚に寄り添った新ソリューションが求められます。
ラテラルシンキングで発想の限界を超える
レジリエンス分野の新規ソリューション開発では、従前の「縦割り」発想をやめ、業種・業界の枠をまたいだラテラルシンキング(水平思考)が鍵となります。
例えば…。
- 工場の独自技術を活かした「地域用の簡易水浄化装置」の開発
- BCP(事業継続計画)の知見を活かし、自治体の防災訓練に企画協力
- サプライチェーン全体を対象にした「分散倉庫シェアリングモデル」
- 自社のAI自動化技術を公開し、地元中小企業と「共同生産ライン」の構築
こうしたアプローチによって、現場レベルから地域社会全体の底上げにつなげていくことが重要です。
実践事例:地域コミュニティとつながる製造業レジリエンス
ケース1:地域防災ネットワークの中核としての役割
例えば、大手部品メーカーA社では、近隣自治体・消防・医療機関と協力し、工場施設を非常時避難所として活用する協定を締結しています。
平時から防災訓練を合同で行うことで、有事の際の意思疎通や役割分担が円滑になり、結果として自社だけでなく地域全体の復旧スピード向上が実現しています。
ケース2:共助型サプライチェーン・プラットフォームの構築
また、電子部品メーカーB社は、地元中小の協力企業を巻き込んだオンライン調達支援システムを開発。
「どこかの工場が被災しても、在庫情報や生産能力を迅速に可視化」できるプラットフォームにより、地域内の事業者同士で臨機応変な生産リソースの調整が可能になりました。
その結果、非常時の損失低減のみならず、平時でも地元企業の競争力強化につながっています。
事業連携戦略の新潮流:これまでと何が違うのか
「自助」から「共助」「公助」へのシフト
従来までの災害対策やレジリエンスは、自社の「自助努力」に重点が置かれてきました。
しかし近年は、複数のプレーヤーが相互連携してリスクヘッジする「共助」、さらには自治体・官公庁と協働する「公助」が求められています。
企業単独ではなく、異業種や競合他社、サプライヤー、バイヤーも巻き込んだ共創型ネットワークの構築が必要です。
「境界線を越えた安心・安全の仕組みづくり」を意識しましょう。
デジタル化×地域ネットワーク強化
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、単なるシステム導入に留まらず「地域コミュニティのデジタル連携基盤」として活用する視点が重要です。
サプライヤー、バイヤー、地元行政など、関係者全体で情報共有や進捗管理ができる「デジタルプラットフォーム」の整備が今後のカギを握ります。
クラウド型の安否確認・連絡ツールや、AIによるリスク予兆シミュレーションなど、新しいテクノロジーと地域社会のリアルなネットワークの融合が期待されています。
管理職・バイヤーとして考えてほしいこと
現場の小さな課題こそがイノベーションの種
昭和の製造業文化では「カイゼン」が重視されてきましたが、今後は「社会課題の発見と解決」の視座が不可欠です。
例えば自社の設備点検データと地域インフラの老朽化情報を連動させるなど、現場と地域社会の垣根を越えた課題共有からイノベーションが生まれます。
バイヤー・サプライヤー双方の視点で共創する
新しいレジリエンスソリューションは、バイヤー主導でも、サプライヤー単独でも、片手落ちになりがちです。
共助・共創を前提に、オープンイノベーション戦略としてパートナーシップを推進しましょう。
- ソリューションの共同企画・共同開発
- 現場での実証実験・データ収集
- 社内外の人材交流、スキルシェア
バイヤーを志す方は、コストや品質だけでなく「企業の社会的レジリエンス」も選定基準に含めてみてください。
まとめ:レジリエンスを起点に描く「製造業の新しい未来」
レジリエンス分野で地域コミュニティと連携することは、単なる危機管理やCSRへの対応にとどまりません。
本当の意味での「地域基盤型ものづくり」こそが、今後の日本の製造業を世界で勝ち抜かせる強さとなるでしょう。
昭和の現場力×令和のイノベーション。
ベテラン職人も、若手管理職も、バイヤーもサプライヤーも。
一人ひとりが「自分が地域とどう関わっていくか」を考え、実践することが大切です。
これからも現場目線で、新しいチャレンジを共に切り拓きましょう。
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