投稿日:2024年9月19日

切削加工と研削加工の違い

はじめに

製造業における加工技術は多種多様であり、それぞれの技術が持つ特性を理解することが製品の品質向上や効率的な生産管理にとって重要です。
その中でも「切削加工」と「研削加工」は、金属部品の仕上げや形状加工において非常に重要な位置を占めています。
本記事では、これら二つの加工方法の違いについて詳細に解説します。

切削加工とは

切削加工の基本

切削加工は、工具によって材料を切り取ることで形状を整える加工方法です。
旋盤やフライス盤などの機械を用いて行われ、精度の高い加工が可能です。
切削加工は主に金属素材に対して用いられますが、プラスチックや木材にも適用されることがあります。

切削加工の原理

切削加工では、主軸に取り付けた回転工具が素材に対して相対的に移動することで、余分な部分を削り取ります。
この動作は、素材を固定し、加工工具が特定の軌跡に沿って動くことで実現されます。
所望の形状や寸法が得られるよう、工具の選定や加工条件の設定が重要となります。

切削加工のメリット

切削加工の最大のメリットは、その高精度です。
また、さまざまな形状の加工が可能であることや、柔軟に素材や工具を変更できることも挙げられます。
さらに、量産品だけでなく単品部品の製作にも適しており、試作段階や少量生産にも対応可能です。

切削加工のデメリット

一方で、切削加工には欠点もあります。
まず、加工時間が長くなることが多く、高コストになることがあります。
また、削り取る量が多い場合、材料の無駄が出やすく、効率面での課題もあります。
さらに、大型部品や非常に硬い素材の加工には不向きな場合もあります。

研削加工とは

研削加工の基本

研削加工は、回転する砥石を用いて素材の表面を削り取る加工方法です。
この方法は非常に微細な加工が可能で、極めて高い精度と良好な表面仕上げが得られます。
主に金属部品の仕上げ加工に用いられ、高硬度の材料にも対応できます。

研削加工の原理

研削加工では、高速回転する砥石の微細な砥粒が素材の表面を削り取ります。
研削砥石の選定や加工条件の設定が重要で、これにより研削速度や表面仕上げが大きく影響されます。
局所的な熱の発生を抑えるため、冷却液を使用することが一般的です。

研削加工のメリット

研削加工の最大のメリットは、高い表面仕上げと公差精度です。
これにより、切削加工では仕上げきれない微細な部品加工や、高精度な寸法制御が可能です。
また、非常に硬い材料の加工も得意であり、ダイヤモンドやセラミックなどの高硬度素材にも効果的に対応できます。

研削加工のデメリット

一方で、研削加工には高い技術力が求められます。
加工条件の設定が難しく、そのために専門知識が必要です。
また、加工速度が比較的遅いため、量産向けの加工には不向きな場合があります。
さらに、砥石の寿命が短いことがあり、加工コストが高くなることもあります。

切削加工と研削加工の違い

加工方法の違い

切削加工と研削加工の最も大きな違いは、使用する工具と原理です。
切削加工では切削工具が素材を削り取りますが、研削加工では砥石が回転しながら微細な粒子で素材表面を削り取ります。
この違いにより、加工の精度や対応できる材質が異なります。

適用範囲の違い

切削加工は比較的大きな材料の切断や形状加工に適しており、柔軟性が高い点が特徴です。
これに対し、研削加工は高精度な表面仕上げや微細な寸法制御、硬度の高い材料の加工に優れています。
具体的には、航空宇宙産業や医療機器の部品加工などに研削加工が多く用いられます。

コストと時間の違い

一般的に、切削加工は大量生産向けであり、比較的低コストで加工が可能です。
しかし、材料の無駄が多い場合があるため、一定の制約があります。
一方、研削加工は高精度な加工が必要となる場合に適しており、そのためのコストが高くなります。
また、切削加工よりも時間がかかることが多いです。

表面仕上げの違い

切削加工では、工具の摩耗や熱の影響を受けるため、仕上げの品質には限界があります。
それに対して、研削加工は表面の微細な凹凸を均一に整えられるため、非常に高い仕上げ品質が得られます。
特に、最終仕上げや表面精度が要求される部品には研削加工が選ばれます。

最新技術動向

切削加工の技術革新

近年、切削加工においてもCNC(コンピュータ数値制御)技術の進化により、自動化と高精度化が進んでいます。
多軸制御の旋盤やフライス盤が普及し、複雑な形状の部品でも短時間で加工が可能です。
さらに、AI技術を取り入れた加工条件の最適化や、リアルタイムの品質監視が行われるようになっています。

研削加工の新技術

研削加工においても、最新の技術動向によりさらなる高精度化が実現されています。
特に「超高精度研削盤」や「超硬度研削砥石」の導入により、ナノレベルの寸法制御が可能となっています。
これにより、半導体製造や光学部品など、極めて厳しい公差が要求される分野での応用が広がっています。

ハイブリッド加工技術

切削加工と研削加工を組み合わせた「ハイブリッド加工技術」も注目を集めています。
これにより、切削による粗加工と研削による仕上げを一体化した高効率な加工が可能です。
特に、自動車部品や航空機部品など、大量生産かつ高精度が要求される分野での応用が期待されています。

まとめ

切削加工と研削加工は、それぞれ異なる特性とメリットがあります。
どちらの加工方法を選ぶかは、加工する素材の種類や求められる精度、コストなど複数の要因に依存します。
最新技術の導入により、双方の加工方法がさらに進化しており、選択肢も広がっています。
そのため、適切な加工方法を選定することで、製品の品質向上と生産効率の最適化が可能になります。

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