- お役立ち記事
- 製油所での軽質油と重質油の違いとその精製技術
製油所での軽質油と重質油の違いとその精製技術

目次
はじめに
製油所は石油の原油から様々な石油製品を精製する重要な施設です。
石油やガスの需要が増加し続ける中、効率的かつ環境に配慮した製油技術はますます重要性を増しています。
本記事では、製油所での軽質油と重質油の違い、その精製技術について詳しく解説します。
軽質油と重質油の違い
軽質油と重質油の違いは、主に沸点・比重・分子量によって区分されます。軽質油(ガソリン・ナフサ・ケロシン等)は沸点30〜250°C、API比重31以上の低分子炭化水素で構成され、重質油(重油・アスファルト等)は沸点350°C以上、API比重22以下の高分子炭化水素が主成分です。この違いが精製プロセス・用途・価格を決定づけます。
軽質油と重質油の基本的な違い
軽質油とは
軽質油とは、ガソリン、ナフサ、ケロシンなど、比重が軽く、揮発性が高い石油製品のことを指します。
これらの製品は自動車用燃料や航空燃料、化学工業の原料など多様な用途があります。
軽質油は燃焼効率が高く、クリーンな燃焼が可能であるため、環境負荷が低い特徴があります。
重質油とは
重質油は、ディーゼル油、重油、アスファルトなど、比重が重く、揮発性が低い石油製品を指します。
これらの製品は主に産業用燃料や建設資材として使用されます。
燃焼時に排出される物質が比較的多いため、環境管理が重要です。
| 項目 | 軽質油 | 重質油 |
|---|---|---|
| 沸点範囲 | 30〜250°C | 350°C以上 |
| API比重 | 31〜70°(軽い) | 10〜22°(重い) |
| 動粘度(50°C) | 0.5〜4 mm²/s | 50〜500 mm²/s |
| 硫黄含有量 | 0.001〜0.5% | 1.0〜5.0% |
| 分子量(平均) | C5〜C12(72〜170) | C20〜C50+(280〜700+) |
| 主な用途 | 自動車燃料・航空燃料・化学原料 | 産業用燃料・船舶燃料・道路舗装 |
| 収率(原油あたり) | 約40〜50% | 約20〜30% |
原油から石油製品への変換プロセス
原油は多様な炭化水素化合物を含む混合物です。
そのため、製油所では化学処理と機械処理を通じて原油を分解し、さまざまな石油製品に変換します。
以下のセクションでは、原油の精製技術について詳しく説明します。
蒸留
蒸留は、原油を加熱してその成分を分離するプロセスです。
原油を高温に加熱すると、異なる成分が異なる温度で蒸発します。
これにより、原油から軽質油と重質油を分けることができます。
蒸留塔では、各々の成分が適切な温度で蒸発し、上部に集まり、冷却されて液体になります。
軽質油は蒸留塔の上部で、重質油は底部で採取されます。
常圧蒸留で得られる主な石油製品
| 製品名 | 沸点範囲 | 炭素数 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| LPG | 〜30°C | C3〜C4 | 家庭用ガス・化学原料 |
| ナフサ | 30〜180°C | C5〜C10 | 石油化学原料・ガソリン基材 |
| ガソリン | 30〜220°C | C5〜C12 | 自動車燃料 |
| ケロシン(灯油) | 170〜250°C | C10〜C16 | 航空燃料(JET A-1)・暖房 |
| 軽油(ディーゼル) | 250〜350°C | C14〜C20 | ディーゼルエンジン燃料 |
| 重油(A重油〜C重油) | 350〜550°C | C20〜C50 | 船舶燃料・発電・工業ボイラー |
| アスファルト | 550°C以上(残渣) | C50+ | 道路舗装・防水材 |
触媒クラッキング
触媒クラッキングは、重質油を軽質油に変換するプロセスです。
これは、触媒を用いて重質油の炭化水素分子を分解し、ガソリンや軽油などのより価値の高い製品に変換します。
触媒クラッキングは製油所において非常に重要な技術であり、効率よく資源を利用できます。
▶ 調達・購買の視点
FCC(流動接触分解)装置の触媒は主にゼオライト系で、2〜3年周期で交換が必要です。触媒1トンあたり30〜80万円と高額なため、複数サプライヤーからの見積比較と長期契約によるコスト最適化が調達部門の重要課題となります。また、水素化処理に使用するNi-Mo/Co-Mo触媒も同様に高コストであり、再生触媒の活用も検討すべきポイントです。
水素化処理
水素化処理は、石油製品中の不純物を除去するプロセスです。
水素を供給することで、硫黄や窒素などの不純物を除去し、クリーンな燃料を生成します。
特に重質油の処理において重要で、環境汚染を防ぐためにも必要な技術です。
▶ IMO 2020規制と重質油の脱硫
2020年に発効したIMO(国際海事機関)の硫黄規制により、船舶燃料の硫黄含有量は3.5%から0.5%へ大幅に引き下げられました。これにより重質油の水素化脱硫(HDS)処理需要が急増し、脱硫装置や水素製造設備への設備投資が世界的に加速しています。製油所の購買部門にとって、脱硫触媒や水素の安定調達は経営課題に直結します。
最新の製油技術
製油技術は進化を続けており、新しい技術の導入により、効率性や環境性能が向上しています。
以下は最新の製油技術について解説します。
水素製造技術
製油所では大量の水素が使用されます。
そのため、水素の効率的な製造技術が求められています。
水素製造の最新技術としては、天然ガスのリフォーミング、水の電解、バイオマスからの水素製造などがあります。
これにより、製油所の運営コストを削減し、環境負荷を低減することが可能です。
ガス化技術
ガス化技術は、固体および液体の原材料から合成ガスを生成するプロセスです。
この技術を用いることで、重質油や石炭などの原材料を効率的に利用できます。
ガス化されたガスは、さらに変換してクリーンな燃料や化学品に利用することが可能です。
バイオリファイナリー
バイオリファイナリーは、バイオマスを原材料として使用する製油所です。
この技術は、再生可能資源を利用し、持続可能なエネルギー供給を目指します。
例えば、廃食油や農業廃棄物からバイオディーゼルを製造する技術が開発されています。
環境対策と持続可能性
製油業界は環境への影響を最小限に抑えるため、多くの対策を講じています。
ここでは、代表的な環境対策とその重要性について説明します。
廃棄物の管理とリサイクル
製油所では多くの廃棄物が発生します。
これらの廃棄物を適切に管理し、リサイクルすることで、環境負荷を軽減できます。
例えば、使用済み触媒を再生成したり、廃油を再利用する技術が導入されています。
排出ガスの処理
排出ガスの処理は、製油所運営において重要な課題です。
硫黄酸化物や窒素酸化物、揮発性有機化合物(VOC)などの有害物質を除去するため、最新の排出ガス処理技術が使用されています。
これには、脱硫装置や触媒還元装置などがあります。
エネルギー効率の向上
製油所の運営において、エネルギー効率の向上は重要な課題です。
最新の技術を導入することで、エネルギー消費を削減し、運営コストを低減できます。
例えば、熱交換器の効率化や廃熱の再利用などがあります。
📋 製油所の主要精製プロセス一覧
- 常圧蒸留(CDU):原油を大気圧下で加熱し、沸点差で軽質油〜重質油に分離(処理温度350〜400°C)
- 減圧蒸留(VDU):常圧残渣油をさらに減圧下で蒸留し、潤滑油基油や減圧軽油を回収
- 流動接触分解(FCC):重質油をゼオライト触媒で分解し、ガソリン・LPGに転換(収率40〜50%)
- 水素化分解(HCR):高圧水素下で重質油を分解し、高品質軽油・ケロシンを製造(圧力100〜200気圧)
- 水素化脱硫(HDS):Co-Mo/Ni-Mo触媒で硫黄分を除去(軽油の硫黄規制値10ppm以下に対応)
- 接触改質(リフォーミング):ナフサのオクタン価を向上させ、高品質ガソリン基材を製造
- コーキング:最重質残渣をコークスと軽質留分に熱分解(ディレードコーカー方式が主流)
まとめ
製油所での軽質油と重質油の違い、それらの精製技術について解説しました。
軽質油は高価値の燃料として利用され、重質油は産業燃料や建設資材として重要です。
また、蒸留、触媒クラッキング、水素化処理などの精製技術が使用され、効率的に原油を石油製品に変換しています。
最新の製油技術の導入により、製油所の効率性と環境性能が向上しつつあります。
持続可能なエネルギー供給を目指し、今後も技術の進化が期待されます。
石油製品・化学原料の調達を最適化しませんか?
newjiでは、製油所向け触媒・化学薬品から石油製品まで、製造業の調達購買業務をAIとプロの知見でサポートしています。複数サプライヤーの比較見積、コスト分析、納期調整まで、購買プロセス全体の効率化を実現します。まずはお気軽にご相談ください。