投稿日:2025年11月3日

製品検査で重要な“寸法検査”と許容公差の考え方

はじめに:製品検査の重要性と“寸法検査”の役割

製造業の現場において、製品の品質は企業の信頼に直結します。
その中心に位置するのが“製品検査”であり、中でも“寸法検査”は絶対に外せない工程です。
部品や製品が設計通りの寸法で作られているかどうか、そしてそのばらつきが設計値の範囲内に収まっているかを見極めることは、最終的なお客様の満足度と安全性に直結します。
今回は、寸法検査とその根幹となる「許容公差」について、現場経験20年以上の観点から、アナログな習慣が根強い製造業の今と未来も踏まえて詳しく解説していきます。

なぜ寸法検査が必要なのか?

設計図面の“数字”は、期待される品質の約束

製品づくりのスタートは設計図面から始まります。
設計者が考え抜いた機能や安全性のため、すべての部品には「この寸法であってほしい」という想い=設計寸法があります。
しかし、現実の加工では理想通りの大きさや形状を作るのは不可能です。
そのため許容範囲を設けるのが「公差」の考え方です。

製造現場は「まあこのくらい大丈夫だろう」で済まされることも未だにありますが、その積み重ねが突然の不具合として現れることも珍しくありません。
寸法検査は、日々の製品の信頼性を地道に築く、いわば品質保証の最後の砦です。

“許容公差”とは何か?

設備も人も決して“誤差ゼロ”にはできない

加工はいつも設計値通り、ピッタリと同じ寸法でできれば理想的ですが、実際には機械にも工具にも摩耗やズレ、人の手作業にも揺らぎが生じます。
これはいくら最先端の自動化ラインやIoT設備を導入しても完全に消せるものではありません。
そのため「この範囲まではOKですよ」という設計者と現場との約束、それが“許容公差”です。

公差設定は設計者のさじ加減ひとつですが、現場には極端な“絞りすぎ公差(厳しすぎる公差)”や、“緩すぎ公差”に悩まされている方も多いと思います。
厳しすぎれば加工コストがかさみ、不良扱いが増えて歩留まりが下がります。
反対に、公差を緩めすぎれば、製品寿命や安全性の低下といった問題が生まれます。

バイヤー・サプライヤー両方に必要な“公差感覚”

許容公差の考え方は、部品を調達するバイヤーも、自ら供給するサプライヤーも共通の教養です。
サプライヤーは「本当にそこまで厳密な寸法が必要なのか?」と現場から率直な疑問が湧くことも。
バイヤーが図面の意図を正しく理解し「どの部分は性能・安全上譲れない」「どの部分はコスト優先」と明瞭にサプライヤーに伝えることで、無駄な工数やコストが減り、双方にメリットとなります。

“寸法検査”の基本的な流れと手法

現場目線で押さえるべき検査ポイント

寸法検査は大きく分けて「受入検査」「工程内検査」「最終検査」の3段階に位置づけられます。

1.受入検査
外部から調達した部品が、注文書・設計図通りに作られているかのチェックです。
計測機器にはノギスやマイクロメータ、三次元測定機などがあります。

2.工程内検査
加工ラインの途中で、規格を外れている製品を早期発見して手直し・流出防止を図ります。
改善活動や不具合低減にもつなげます。

3.最終検査
完成した製品の寸法が、すべてのスペックを満たすか最終確認します。

現場では1点ずつ丁寧に検査する「全数検査」から、抜き取りで進める「抜取検査」まで運用形態がさまざまです。
どちらを選ぶかの判断基準には、製品の重要度・ロット数・不良発生率・人員コスト・納期等、多くの現実的観点が絡んできます。

“アナログ”から“デジタル化”…現場の今と進化

昭和の時代から、大量生産品は現場作業者による“目測”や経験則に依存するケースも多く見られました。
しかし昨今はIoTやAIを組み合わせた自動寸法測定機や画像処理システムが次々に現場へ導入されています。
これにより人によるバラツキや記録ミスが激減し、リアルタイムで異常検知・原因解析が可能になりつつあります。

一方、現場では「デジタル化は時短になるけれど柔軟な現状対応には人の勘がいまだに重要だ」という“昭和流アナログ”の価値観も根強く残っています。
デジタルとアナログの融合が今まさに求められる時代です。

製品検査でよく起きる“落とし穴”

見逃し・その場しのぎは後で大きなトラブルに

寸法検査の現場では「測り間違い」「測定器具の校正忘れ」「基準の勘違い」といったヒューマンエラーが常につきまといます。
「自分が測ったから大丈夫」「いつも問題なかったから今回も大丈夫だろう」と油断した瞬間、不良品流出につながる可能性はゼロではありません。

今なお、現場には「とりあえず流しておいて、不具合があればあとで手直しすればいい」というその場しのぎの文化が残ることも。
しかし、市場流出した不良品は、その何十倍ものコスト・信頼喪失をもたらします。
特にグローバル取引では、一度の“寸法不良”がサプライヤーとしての信頼を永遠に失うきっかけにもなりえます。

“現場と設計・調達が一体となる”ことの重要性

厳しい公差で現場が苦しむ、設計意図を現場が理解できていない、または現場の事情が設計・調達部門に伝わっていない…。
こうしたミスマッチはコスト・納期・品質、すべてに深刻な影響を与えます。
だからこそ、設計・生産・調達・検査・現場作業者が「なぜこの寸法と公差なのか?」を共通認識として持つことが求められます。

たとえば、現場主導のVE(バリューエンジニアリング)活動で「この穴径、公差を広げても機能問題ないですよ」と提案するなど、現場目線の小さな改善も積み重ねが重要です。
サプライヤー側からも「この公差だと加工単価が跳ね上がる」「納期が遅くなる」と現実感のあるフィードバックを積極的に発信しましょう。
こうした積み重ねがサプライチェーン全体の強化につながります。

新しい地平を切り開く“ラテラルシンキング”での寸法検査の進化

紙とペンからクラウド・AIへ

今、“寸法検査”の世界はラテラルシンキング、つまり既存の枠を越えて進化しつつあります。
従来「紙の検査表でマンパワー任せ」だった運用から、スマート端末・IoT計測器による自動データ取得へ。
検査結果は即座にクラウドで集約され、不良の予兆分析や傾向管理もAIが現場にフィードバックできる時代です。

公差から“機能保証”の時代に

また、「公差=絶対」だった時代から、「機能そのものを保証する=ファンクショナルゲージによる検査」へと考え方が進化しています。
単なる数字というより「この組み合わせで製品の機能・性能が発揮できるか?」を重視する考え方が、今まさに最先端のFA(ファクトリーオートメーション)企業には広まりつつあります。

まとめ:寸法検査・公差思考の本質と現場の新しい挑戦

製品検査における寸法検査と許容公差の考え方は、今も昔も製造業の根幹です。
「図面通りに作る」ことの大切さと、「現場の現実も織り込む」バランス。
それぞれが相手の目線で理解を深め、品質だけでなく、安全性・コスト・納期・ひいてはお客様の信頼につながります。

デジタル化が進んでも、最終的に“現場でどう使いこなすか”が大きな差となる時代です。
アナログな知恵もデジタルの力も最大限に生かし、「なぜこの寸法・公差なのか?」と問い続ける意識を、製造業に関わるすべての方々と共有していきたいと考えています。

製品検査や寸法公差に関する疑問・ご相談があれば、ぜひ現場経験者の立場からアドバイスさせていただきます。
あなたの製造現場がより強く、魅力的なものとなりますように。

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