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基板固定部材の歪みが接触不良を起こす理由

目次
はじめに~基板固定部材と接触不良の密接な関係
製造業において電子基板(プリント基板)は、まさに製品の「心臓部」ともいえる存在です。
この基板を安全かつ安定して機器内部に保持するためには、「基板固定部材」が欠かせません。
一見、脇役のように思われがちなパーツですが、実は基板固定部材が不適切だったり、歪みが生じたりすると、電子基板の「接触不良」という大きなトラブルにつながることがあります。
今回は、なぜ基板固定部材の歪みが接触不良を引き起こすのか、長年の製造現場経験をもとに、実践的な視点から解説します。
バイヤーを目指す方やサプライヤー目線の方にも役立つ、現場で本当に求められる知識や、昭和から続くアナログな現場でも課題となる根強い業界事情についても掘り下げます。
基板固定部材とは?
基板固定部材の種類と役割
基板固定部材は、主にプリント基板を機器の筐体やフレームに固定するための部品です。
代表的なものには
– スペーサー(樹脂製・金属製など)
– スタッド
– ねじ、ワッシャー
– ロックピン
– クッションラバー
などがあります。
これらの部材は、基板のガタつきや振動・衝撃・熱膨張による変形を防ぎ、強度や絶縁性、安全性を高める重要な役割を担っています。
昭和から続く基板固定の「あるある」
旧来の製造現場では「基板はねじ止めしておけば安心」という発想が根強く、部材選定や組付手順に改善の余地が残るケースが少なくありません。
特に中小企業や下請け工場などでは、図面に「ねじ止め」としか書かれておらず、場当たり的・経験則に頼った作業が今もなお多く見られます。
しかしIoT化・高密度実装・高周波化が進む現代では、「ちょっとの歪み」が致命傷となるリスクも増えています。
基板固定部材の歪みが引き起こす「接触不良」のメカニズム
接触不良とは?なぜ起こる?
電子部品や基板は、それぞれ特定の端子・パターンを通じて電気的につながっています。
この「つなぎ目」の部分で物理的なズレ、ゆるみ、浮き上がり、ぴったり密着しないといった現象が生じると、電気が正しく流れなくなる。
これが「接触不良」です。
基板とコネクタ、基板とケース、表面実装部品(SMD)とパターン、両面実装におけるスルーホールなど、接触不良のリスクポイントは無数にありますが、その「きっかけ」となるのがしばしば基板固定部材の歪みによる基板のねじれや反りです。
基板固定部材の「歪み」が与える悪影響
1. 基板自体の反り・たわみを誘発
手締め・工具過多によるねじの締め過ぎや、樹脂スペーサーへの荷重集中などによって、基板自体が不均等に力を受け、反りやたわみが生じやすくなります。
2. 半田接合部へのストレス増加
基板が反ることで、部品リードやランド部分に微小な力が常時加わる状態が発生し、半田クラックや剥離、さらにはスルーホールの断線リスクを高めます。
3. コネクタ・端子台部分の浮き上がり
基板が歪むと、ケースとコネクタ端部が密着せず、接触抵抗が増加。
最悪の場合、一部ピンの導通不良も発生します。
4. 振動での共振リスク増大
歪みを持った基板は特定の周波数で共振しやすく、ピエゾ的な“マイクロクラック”が発生しやすくなります。
5. 長期間での信頼性低下
目に見えない微小な歪みでも、経年による熱サイクルや外部応力の繰り返しで徐々に接触不良に発展する危険性があります。
現場でありがちな「見逃し」と「慣れ」
実際の現場では「組立時のとりあえずの仮固定」「作業者ごとに異なる締め加減」「設計図面の曖昧さ」など、歪みを誘発しやすい工程ミス・認識違いが頻発します。
特に新入社員や外国人技能実習生など、経験の浅い作業者が手順を「なんとなく」で行うと致命的な事故につながりかねません。
なぜ“昭和流”のアナログ固定手法がリスクを高めるのか?
リファレンス不足のまま「感覚任せ」が続く現代工場
「ねじはとにかく最後まで回しておけばいい」「バリが残っていても多少は問題なし」といった昭和時代の作業文化は、現代電子機器の微細加工・高密度化においては大きなリスクです。
IoT機器、AI搭載製品、自動車の電装系など、1mA以下の漏電や1μmのズレが不具合を招く今日では「感覚」に依存した固定では限界があります。
アナログ固定の5つの落とし穴
1. トルク管理の軽視
適切なトルクレンチを使わず、電動工具や手締めで不均一な力が加わる。
2. 樹脂部材の経年劣化を失念
紫外線・熱・荷重で変形しやすい樹脂スペーサーを使い続けてしまう。
3. 図面への指示不備
「ここにスペーサー」とだけ指示し、具体的部品型番や締付規格の明記が無い。
4. 工程内検査のルール徹底不足
仮止め・仮組みのまま次工程に流れてしまう。
5. 製品ライフサイクル延長への対応遅れ
20年以上使い続ける医療・産業機器で、小さな歪みが故障の“時限爆弾”になる。
接触不良を防ぐための「本物の対策」とは?
最新業界動向と「現場がすぐできる」対策
電子基板の接触不良を防ぐには、単なる「注意喚起」や「作業標準の厳格化」だけでは不十分です。
調達・設計・工程管理、それぞれの“境界”で起こるミスが本質的な原因です。
以下のアプローチが有効です。
1. 固定部材の選定見直し
部材メーカー提供の寸法公差や耐熱・耐摩耗データ、規格品のトラブル事例レビューを活用しましょう。
安価な“汎用品の使い回し”に頼らず、実装密度や用途ごとに部材選定をしていくことが重要です。
2. トルク管理の徹底
作業ごとの最適締付トルクを明確化し、自動トルクレンチや締付監視システムの導入を推進します。
また再現性のある記録体制を整えましょう。
3. 組付手順の標準化
「締付順序」「荷重分布」を明記しないと、偏締め・斜め固定になりやすいです。
無意識のうちに起こる“いつものクセ”を排除する仕組みを作りましょう。
4. 現場検査のIoT化
基板の反り・たわみを高精度測定できる画像解析、非接触センサー、AI判定などの新ツールを活用します。
5. 定期点検・予防保全の推進
樹脂部材の経年変形や金属のサビ・摩耗など、「使いっぱなし」にせずサイクル管理と予備在庫を徹底します。
「見えない将来トラブル」まで目を向ける、製造業の新たな視点
基板固定部材の歪みによる接触不良は、単なる品質問題ではありません。
出荷後数年たってから顕在化する“隠れトラブル”の温床になるため、製品ブランドの信頼、アフターサービスコスト、生産ライン全体の効率性にも直結します。
また調達バイヤー目線からは、「たかがスペーサー、たかがねじ」とコスト削減だけを追求すると、現場からの不良流出や顧客クレームの急増を引き起こし、最終的には自社のサプライヤー評価低下や値引き圧力に悩まされる結果にもなります。
サプライヤーの立場であれば「どの固定部材が、どんな現場使われ方をするか」まで想像する知識が、長い目で見た信頼獲得と差別化への第一歩です。
まとめ~“基板固定部材の歪み”は全社的な価値向上のカギ
基板固定部材は、電子機器の安全・安定を根底から支える縁の下の力持ちです。
「歪み」を軽視せず、トルク管理・部材選定・標準化・IoTを駆使した現場管理・定期点検まで、多面的に取り組むことで、接触不良リスクは大幅に低減できます。
また、調達・開発・現場・サプライヤー、それぞれが従来の「アナログ」の枠を超え、情報を持ち寄り、ラテラルに問題を解決する姿勢が必要です。
製造技術の進化には終わりがありません。
小さな部材の選定・固定方法ひとつが、大きな企業価値や産業発展に直結すると信じ、ぜひ現場から意識改革を始めてください。
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