投稿日:2025年7月18日

犬用クーリングベストOEMが猛暑散歩を快適にするPCM冷却パック配置

犬用クーリングベストOEMが猛暑散歩を快適にするPCM冷却パック配置

はじめに ~製造業の現場目線で見る犬用クーリングベストOEM~

ここ数年、日本の猛暑は年々厳しさを増しています。
犬の熱中症リスクも高まり、愛犬家にとって「夏のお散歩」が切実な課題となっています。
その結果、犬用クーリングベストの需要が急増し、ペット用品業界でもOEM(受託製造)依頼が活発化しています。

私自身、20年以上製造業の現場で調達・生産・品質の最前線に立ってきた経験や、管理職として培った知見を元に、本記事では「犬用クーリングベストOEMが猛暑をどう快適にできるか」について、特に重要な“PCM冷却パック配置”の工夫にも焦点を当てて解説します。

OEM受託生産を検討中のメーカー担当者はもちろん、バイヤー志望者やサプライヤーの方にも役立つ、現場目線の実践的知見を共有します。

犬用クーリングベスト市場が拡大する3つの理由

まず、“なぜ今、犬用クーリングベストのOEM需要が急拡大しているのか”を整理します。
現場目線から見えてくる要因は主に3つです。

1つ目は、気候変動の影響による高温化。
日中の気温は35℃を超えることも当たり前となり、人間以上に暑さに弱い犬の健康リスクが増大しています。

2つ目は、ペットの「家族化」。
昔で言う“番犬”というポジションから、今は「大切な家族の一員」へと意識が変化。
健康や快適さへの投資が惜しまれなくなっています。

3つ目は、ペット用品分野における差別化の必要性。
類似商品が増えた今、“OEM導入で自社独自色を出したい”というバイヤー目線のニーズが高まっています。

PCM冷却パックとは何か?素材と冷却力のメカニズム

次に、現行市場で選ばれている「冷却方式」について触れます。
昔は吸水ポリマー型や保冷剤型が主流でしたが、今やキーテクノロジーはPCM(Phase Change Material/相変化材料)へと移行しています。

PCMは特定の温度で物質が「固体⇔液体」を繰り返す際に熱を奪う特性があり、“一定の温度で長く冷却力を維持できる”のが特徴です。
例えば、28℃のPCMパックは気温が32℃でも28℃前後をキープし、愛犬に“優しい冷たさ”をもたらします。

また、再凍結ではなく“適温で再利用できる”ものが多く、使い勝手も抜群です。

実践!猛暑散歩に耐えるPCM冷却パックの最適配置

OEMクーリングベストで最も他社と差別化できるのが、“PCMパックの配置設計”です。
ここに現場経験とラテラルシンキング(水平思考)が活きてきます。

“単に背中にパックを付けるだけ”では、効果は限定的です。
では、どのような配置がベストなのか?

ポイントは3つあります。

1.犬の血流と体温調節構造を理解する
 犬は“首筋・脇・胸”に大きな血管が集中し、ここを冷やすと全身への効率的な冷却が期待できます。
 ベストの首元から胸部、脇下にPCMパックをバランス良く配置する設計が重要です。

2.歩行時のフィット感・安全性
 冷却パックがベスト内で動いたり、体表から浮いては意味がありません。
 メッシュポケットなどで「密着度」を高め、大型犬・小型犬それぞれ体格別に調整可能な“サイズ展開”を実現すべきです。

3.ベスト全体で“熱ストレス対策”
 肩や背中は直射日光を浴びやすい。
 ここには「放熱性・遮熱性」の生地を用いて、PCM冷却パックの効果を最大化しましょう。
 また、ユーザーがパックを“自分で外せる/入れ替えやすい”構造も業界関係者には好評です。

OEM現場でよくあるトラブル・課題と、その克服事例

OEM現場では、理想と現実のギャップにも直面します。
ここでは私の経験から特に多い事例と、克服策をご紹介します。

まず多いのが「パックの液漏れ・破損」。
生地の強度や縫製の不備、また輸送時のパッケージ強度不足が原因になります。
対策として、
・PCMパックを二重構造にする
・パック挿入部に樹脂や耐突刺素材(TPUコーティング等)を使用
・出荷前に“耐圧テスト”をルーティン化
といった現場主導の工程管理が必須です。

もう一つの課題は「ベスト全体の重量バランス」。
特に超小型犬ではパックの重さが大きな負担になります。
ここは
・パック重量を体重別に細分化
・“分割パック式”で冷却強度をオーナーが選択できる仕組み
・逆に大型犬には十分な冷却エリアを持たせ、安全な装着構造でズレを最小限に
といった設計の工夫で解決可能です。

サプライヤー必見!バイヤーが欲しいOEM提案のポイント

OEMでの受注拡大には、下請け的な「作ります」だけではなく、市場ニーズや現場視点での付加価値提案が不可欠です。

バイヤーが実際に求めるのは
・季節や犬種によって異なる需要予測に対応できる「機動的な生産体制」
・独自パターン(例:和柄や機能付加)への柔軟な設計・型紙対応
・ロット数に応じた価格柔軟性と、B2C直販時の“ブランド価値の出し方”アドバイス
・国際認証(ISO/SGS等)取得の有無
・カスタマイズオプションの豊富さ
などです。

また、PCM素材メーカーとの連携により、
・より高性能な冷却素材“新材料”の提案
・リサイクル素材や環境配慮型・簡易廃棄設計の導入
も、今後のトレンドに欠かせません。

昭和から抜け出せないアナログ業界にもチャンスはある

日本の製造業には未だ根強い“昭和的工程管理”や“現場主義”が残っている分野も多いです。
しかし、犬用クーリングベストのような新規市場では、「PDCAを素早く回す習慣」や「設計変更への柔軟性」が、むしろ強みとして活きるケースも見られます。

実際、職人の手仕事や少量多品種生産のノウハウは、バイヤーの多様なカスタム要望に対する“きめ細かい対応力”となり、他社との差別化ポイントになりえます。
さらに、現場で培われた“事故防止対策”や“品質保証”の意識は、エンドユーザーの安全・安心にも直結します。

未来展望:DXとIoTでさらに進化する犬用クーリングベスト

今後の発展として、IT・IoT技術の融合も視野に入れましょう。
例えば
・犬の体表温度をBluetoothセンサーでリアルタイムモニタリング
・専用アプリを用いて“最適な冷却タイミング”や“パックの交換時期”を通知
・工場の生産管理システムにて、出荷品ごとの品質トレースやサプライチェーン全体の見える化
など、昭和的製造業が“DX(デジタルトランスフォーメーション)”で一歩先へ進むチャンスです。

まとめ:現場力と最新テクノロジーを“OEMの付加価値”へ

犬用クーリングベストOEMの市場は、まだまだ拡大の余地が広がっています。
鍵になるのは「PCM冷却パック配置」の設計力、現場での品質管理、そしてユーザー・バイヤーの立場に立った発想力です。

製造業の強みである“現場感覚”と、ラテラルシンキングでの新たな提案、さらにはIT活用を掛け合わせれば、小さなOEMサプライヤーでも大手ブランド顔負けの“付加価値”を生み出すことは十分可能です。

猛暑のお散歩を快適にし、ペットとオーナー双方の幸せを支えるこの市場。
ぜひ現場での知恵と創造力を、バイヤーやサプライヤー・これから製造業に携わる皆さまと一緒にアップデートしていきましょう。

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