- お役立ち記事
- 紙袋の底が抜けない二重貼合と折り目プレス工程
紙袋の底が抜けない二重貼合と折り目プレス工程

目次
紙袋の底が抜けない二重貼合と折り目プレス工程とは
紙袋は日常生活や物流の現場で欠かせない包装資材です。
しかし、その品質や強度についてまで意識することは少ないかもしれません。
実は、紙袋の強度を決める大きな要素が「二重貼合」と「折り目プレス工程」です。
この記事では、現場視点で製造ノウハウや背景、最新技術動向も織り交ぜて解説します。
購買担当者、サプライヤー、現場スタッフなど様々な立場の方に役立てていただける内容です。
紙袋の“底抜け”がもたらすリスク
紙袋が破れる、特に底が抜けるというトラブルは、製品や商品、場合によっては作業員の安全まで脅かす深刻な問題です。
食品や工業部品、医薬品といった“守るべきもの”が破損・流出すれば経済損失、信頼失墜にも直結します。
購買・調達部門のプロにとっては、「コスト削減」と同時に「品質リスクの回避」が大命題です。
そのためには、単なるスペック表記だけでなく、各工程のノウハウを裏付けに製造現場と対話できることが重要です。
二重貼合とは何か?
1枚では不十分な強度
紙袋の底部分は、荷重が集中するため最も弱くなりやすいポイントです。
特に、昭和の高度経済成長期~平成初期までのアナログな袋製造業界では、コストダウンを最優先し“1枚貼合”が主流でした。
しかし、時代が流れ「底抜け事故」が多発し、大手メーカーや流通業から「二重貼合の採用」が強く求められるようになった歴史があります。
二重貼合のメカニズム
文字通り、底の部分に2枚のクラフト紙や特殊紙を重ねて貼り合せます。
単なる重ね貼りではなく、材料と糊の種類、重ねる方向や寸法精度まで細かいノウハウがあります。
これにより、点荷重に対して繊維層が分散して補強され、2倍以上の耐荷重を実現できます。
しかも、紙だけの「リサイクル性」も維持される点が高く評価されています。
コストとリスクのバランス感覚
二重貼合は部材コストも作業工数も増えるため、上層部からコストダウン圧力がかかりやすいのも事実です。
しかし、失敗事例として「1回の底抜け事故で数千万円の損害訴訟」「納品先からの取引停止」など“安物買いのリスク”も業界では語り継がれています。
優秀なバイヤーは、単価だけでなく総コスト(TCO)とリスクヘッジを見極めて調達判断をしています。
折り目プレス工程の存在意義
底部の“折り目”が作り出す補強効果
袋の底を形成する箇所には「折り目線(スコア)」がつきます。
この折り目はただの折り線ではなく、紙の繊維方向や圧縮プロセスによって強度や形状安定性を大きく高める役割を持っています。
現場職人の経験と自動化のせめぎあい
折り目プレス工程は、元来熟練職人が力加減・湿度・用紙の伸縮性まで見極めて対応していました。
アナログ時代は感覚頼みの工程でしたが、近年は自動化されており、圧力設定や機械動作サイクルの均質化によって人的ミスや個体差を削減しています。
近年主流の“連続自動成形機”導入によって「折り目プレスの再現性」が格段に向上しており、AIで最適条件を自動サジェストする工場も登場しています。
折りと貼りの総合設計力が事故を防ぐ
折り目が浅すぎても深すぎても「糊漏れ」「変形」「クラック」など新たな問題を呼び込んでしまいます。
二重貼合と折り目プレスを一体化して最適設計する「総合設計力」が、近年の紙袋生産工場には必須です。
最新動向:サステナビリティ×高機能化
リサイクル性と耐久性の両立
SDGsやサステナビリティの流れもあり、近年では「古紙原料×二重貼合」の高機能紙袋が注目されています。
従来の強化素材に加え、バイオマス糊や水性接着技術の開発も進んでいます。
また、底抜け防止バーコード付き袋のように、“現場トラッキング”と連携したIoT活用例も出始めています。
アナログ業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)
「紙袋製造は古い業界」そう思われがちですが、実は現場のデータ収集や歩留まり診断、AI活用による“貼合不良の早期検知”も進展しています。
特に、大手メーカーではIoTセンサーで全ての貼合圧着とプレス圧を記録。
NG解析、材料ロット追跡までできる環境が整っています。
アナログ指向の強い中小工場も、協業によるデータ分析・品質保証の場面では自動化の波に取り組まざるをえなくなっています。
ここに昭和時代とは決定的に異なる「競争力の源泉」が宿っていると言えるでしょう。
バイヤー・サプライヤーが知っておくべき現場目線ポイント
調達交渉では「見えないリスク」を質問せよ
単なる単価やスペックではなく、現場の“二重貼合・折り目プレス”にどんなノウハウ・管理ポイントがあるかをメーカー担当者に具体的に質問しましょう。
現場改革やリアルな改善ストーリーが聞ければ、そのサプライヤーは信頼に値します。
工場見学は“底部分”の工程観察が必須
紙袋工場を見学する機会があれば、貼合やプレス工程の標準作業書、現場のムダや異常品への対応フローまで必ずチェックしてください。
不具合発生時のトレーサビリティがどう担保されているかは、流通・製造業バイヤーにとって商談力を大きく上げる要素です。
ISOや社内認証だけに頼らない現場主義を
形式的なISOや環境認証だけでなく、現場の日々の“改善活動”や“隠れた不良削減”のノウハウこそ、紙袋製造にとって最重要です。
アナログな技術と最新IT、現場の勘とデータ分析、この両輪がしっかり回っているかを見極めましょう。
まとめ:紙袋の底は現場力で守られる
紙袋の底が抜けないためには、「二重貼合」と「折り目プレス」という地味だけど奥深い現場工程が支えています。
技術革新と現場職人の知恵、そしてサステナビリティやデジタル改革が交錯する今、バイヤー・サプライヤーこそ基礎工程への理解を深め、対話の質を高める時代です。
現場で得た知識と経験を生かして、紙袋の小さな底から、日本の製造業全体の品質・安全・競争力を広げていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)