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金属加工業が“売る力”を磨くためのECマーケティングとSEO設計の基本

目次
はじめに:金属加工業に今こそ必要な“売る力”
日本の金属加工業界は、長きにわたり高品質なモノづくりと顧客密着型の営業で発展してきました。
しかし、昭和的な“待ち受け型”の取引や、伝票・電話・FAX重視のアナログ商習慣から抜け出せず、販路開拓や新規顧客獲得に苦戦する中小加工業者が多いのが実情です。
また、コロナ禍を契機に、調達購買担当者側の情報収集・商談手法も急速にデジタルシフトしています。
この流れの中で、単純な仕事待ちのスタンスや既存顧客依存から脱却し、「自社から情報発信して買い手を獲得していく“売る力”」がますます重要となっています。
本記事では、金属加工業がこれから市場を広げ事業を持続させていくために欠かせない、ECマーケティングおよびSEO設計の基本を、現場目線でわかりやすく解説していきます。
金属加工業の“売る力”とは何か
従来型営業スタイルの限界
これまでの金属加工業が得意としていた営業は、既存の取引先への定期訪問・口伝えの紹介・展示会での名刺交換といった、いわゆる人脈型、信用重視型です。
確かに、日本の製造業界では人のつながりが何よりの信頼となり、受注に繋がってきました。
ところが、業界全体の競争が激しくなった今、そしてDX推進や購買担当者の世代交代が進む今、このスタイルだけでは新しい仕事を安定して獲得することが難しくなっています。
自ら情報発信し“指名で選ばれる”存在へ
売る力とは、「自社が強みを持つ加工技術や、提供できる価値を明確に発信し、顧客に直接アプローチして、納得して選んでもらう力」です。
たとえば、
– 特殊な材質の溶接ができる
– 少量試作/多品種対応の柔軟な生産体制がある
– 短納期・高品質の両立が得意
など、他社との差別化ポイントを、顧客に響く言葉で表現し、インターネット上でしっかりPRしていく姿勢が不可欠です。
“ECマーケティング”と“SEO設計”の基礎知識
ECマーケティングとは何か
ECマーケティングとは、インターネットを活用した電子商取引(EC:Electronic Commerce)を通じて、見込み顧客の集客~問い合わせ~受注獲得までの一連プロセスを設計・運営する手法です。
BtoC(消費者向け)をイメージしがちですが、現在はBtoB(企業同士)でもECプラットフォームや自社サイト経由で部品や試作加工の受発注が急増しています。
SEO設計の役割と重要性
SEO(Search Engine Optimization)は検索エンジン最適化のことです。
購買担当者やエンジニアが“ネットで部品加工先を探す”時代、SEOで上位表示を勝ち取ることは、新規案件獲得の生命線です。
「●●部品 加工」「ステンレス 精密溶接 外注」など、仕事を探している人が検索するキーワードで、検索結果の目立つ位置に自社情報を表示する。
これにより“黙っていても見つけてもらえる・選ばれる”仕組みを作ることが、現代の売る力の第一歩です。
金属加工業が実践すべきECマーケティングのポイント
情報発信の土台=自社サイト・ECサイトの構築
昭和的な企業案内サイト(会社概要・設備一覧のみ/問い合わせフォームなし)では全く戦えません。
まずは、以下の機能を持つサイトを“自分たちで”作り込むことが肝要です。
– どんな加工技術・設備があり、どういった部品・製品の依頼が得意か
– 小ロット・試作・短納期など、柔軟性がどこまであるか
– 過去の加工実績(写真やスペック)、加工可能範囲(材料・形状・サイズ等)
– 問い合わせフォームや見積もり依頼フォーム(24時間365日受付)
サイトは自社開発でも良いですし、汎用のECサイト構築サービス(BASE、Shopify等)や、BtoB部品ECプラットフォームの利用も有効です。
見込み客の流入導線を作る(集客力の強化)
ウェブサイトを作っても、ただ待っていてはアクセスはほとんど増えません。
製造業向け専門のWeb広告(Googleリスティング、業界誌Web等)や、YouTubeの加工事例動画発信、SNSでの技術紹介を地道に行い、サイトへの流入を増やす工夫を継続します。
また、既存の商談シートや営業パンフレットも“デジタル化”し、「ネットでダウンロード可能」「Webから直接問い合わせ可能」にしておくことで、購買担当者の“探しやすさ”に応えましょう。
問い合わせ対応の迅速化と“情報アップデート”の徹底
せっかくサイト経由で問い合わせがあっても、返事が遅ければ成約まで至りません。
メール・フォームで頂いた内容は即座に確認・返信できる体制を整え、「今月の生産キャパ・設備稼働状況」など最新情報も常にウェブ上に反映するよう習慣付けましょう。
また、「新素材対応開始」「新規設備導入」「取引実績のアップデート」など、現場で起こる全ての“変化”をタイムリーに情報発信することが信用と受注拡大の鍵となります。
金属加工業の営業現場目線で考えるSEO設計の基本
工場現場の“強み”をキーワード化する
SEO対策で最も大切なのは、自社が「どんなニーズ・仕事に応えられる存在か」を、ターゲット顧客の検索行動ベースで言葉に落とし込むことです。
例)
– 「厚板 ステンレス 曲げ加工 〇〇町」
– 「自動機 部品 小ロット 機械加工」
– 「短納期 試作 板金 溶接」
こういった具体キーワードを自社の設備・対応事例に基づき10~100単位で洗い出し、その語句ごとに個別ページ(コンテンツ)を作ることが重要です。
加工事例+スペック+“現場の声”記事が最強
SEO的に高評価を得るには、単なる“設備スペックの羅列”や“工場自慢話”では足りません。
「なぜその加工に強いのか、どんな技術的創意工夫を重ねているか、どんな苦労を乗り越えてお客様に貢献したか」といった“現場のストーリー”を盛り込むことで、他社サイトとの差別化が図れます。
記事例)
– 設計現場から「この穴位置だと工具が入らない・でもユーザー仕様を満たしたい…」と相談され、どうやって難題を解決したか
– 工場で“不良率ゼロ”を目指した実際の工夫・改善事例を写真付きで解説
– サプライヤーとして“次工程(お客様の工程)を楽にするため”にこだわっている部分
こうしたリアルな情報は購買担当者の信頼や安心感に直結し、SEO的にも上位表示されやすくなります。
アクセス解析でPDCAを回す
SEOやサイト運用は“やりっぱなし”では成果が出ません。
Google Analyticsなどの無料アクセス解析ツールで
– どんな検索語句からの流入が多いか
– どのページで長く読まれているか、逆に直帰(すぐ離脱)しているか
– 問い合わせにつながりやすいコンテンツはどれか
を必ず毎月チェックし、見込み客のニーズや課題に合わせてホームページや記事をリニューアルしていきましょう。
業界のアナログ文化とデジタルマーケティングの“融合”
昭和流×令和流のハイブリッドがカギ
金属加工業の現場では今もなお、
– 電話やFAXでの問い合わせ
– 店主や工場長同士の“顔パス受注”
– 近隣町工場ネットワークによる横の連携
といった、極めてアナログな文化が色濃く残っています。
しかし、その“人と人との信頼”や“目利きの力”を大事にしつつも、情報発信や案件流入の部分だけはデジタル化していく。
そこに「昭和の現場流×令和のデジタル営業」という新しい営業ハイブリッドスタイルの可能性があると私は考えています。
バイヤー・サプライヤー双方にとってのメリット
ECマーケティングやSEOを強化することで、
– バイヤー(調達担当)はネットで条件に合うサプライヤーを即座に見つけられる。比較もしやすく発注効率が向上する。
– サプライヤー(加工業者)は、今まで出会えなかった新たな業界・エリアからの問い合わせを獲得できる。自社の得意を前面に出して“選ばれる理由”を作ることができる。
という双方の業務効率化&売上アップが期待できます。
まとめ:今こそ“売る力”で未来を切り拓く
金属加工業がこれからも生き残り・成長していくためには、ただ“良いものをつくる”だけでなく、“良いものをしっかり売り切る”体制づくりが不可欠です。
そのためには、自社の得意・技術力を正しくキーワード化して広く発信する。
サイトやECプラットフォームを最大限活用し、古き良き昭和の信頼文化と、令和的なデジタル営業の両軸で新規顧客・案件を着実に獲得していく。
こうした“攻めの営業への転換”こそ、今後の製造業者、バイヤー、サプライヤー全ての発展につながることでしょう。
現場目線で泥臭く、かつ賢く新しいやり方も吸収しながら、一緒に業界の未来を切り拓いていきましょう。
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