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効率的なソフトウェアの検証技術と品質確保のノウハウ

目次
はじめに:製造業におけるソフトウェア品質確保の重要性
近年、製造業の現場におけるデジタル化、自動化の波はとどまるところを知りません。
この流れの中心に位置するのが、各種制御装置や品質管理システムなどに搭載されている「ソフトウェア」です。
かつての昭和型の“モノづくり”では、図面や準拠規格が品質のすべてでした。
しかし、現代では製品や設備の要となるのはソフトウェア。
その出来が、製品価値や納期、ひいては企業ブランドまでも左右しています。
とはいえ、現場に根付いたアナログ志向、物理的な管理手法も依然として強く残っており、「ソフトはよくわからない」「検証は大変そうだ」という壁が存在します。
本記事では、20年以上の現場経験を持つ筆者が、昭和気質を受け継ぎながらも、ソフトウェア検証の極意と最新動向、そしてバイヤー・サプライヤー両者が身につけておきたい実践ノウハウを徹底解説します。
なぜソフトウェア検証が重視されるのか
製造業の製品価値=ハード+ソフト
かつて、機械的な製品は金属部品の精度や強度で品質が決りました。
しかし、現代の産業用機器、計測装置、工作機械、家電、さらには自動車部品まで、製品の性能や差別化の多くがソフトウェアによって実装されるようになりました。
ソフトウェアの一部が誤動作しただけで、安全性、操作性、製品寿命、トレーサビリティが損なわれます。
それゆえ、ソフトの品質確保は物理的な検査や寸法チェックに並ぶ“命綱”となっているのです。
バイヤー視点:納入品事故リスクとコスト増加の防止
ソフトウェア不良による顧客先でのトラブルやリコールは、金銭だけでなく、サプライチェーン全体の信頼失墜に直結します。
検証段階でのミスが、納入後の多額のクレーム、手戻り工数、最悪の場合は企業間トラブルへと発展しかねません。
バイヤーの立場では「早めの不良摘出」が最重要課題。
ここに“検証技術”と“標準化された品質保証ノウハウ”が欠かせません。
現場目線で整理する「ソフトウェア検証」の基本フロー
ソフトウェア検証と聞くと、目に見えない・手で触れないという特性から構えてしまう方が多いものです。
しかし、よく考えればハードの検査工程と共通点も多々あります。
ここでは、現場で使えるソフトウェア検証の王道プロセスをお伝えします。
1. 要件定義段階での品質基準の明確化
– ソフトウェアで担う“何を実現すべきか”を仕様書・要求事項で明文化します。
– 現場でのヒヤリ・ハットや設備トラブル(昭和的に言えば“昔あった問題の再発防止”)も必ずフィードバック。
– バイヤーは質問・ディスカッションで不明点やグレーゾーンを洗い出すのがポイントです。
2. 設計レビューの定期実施とトレーサビリティ
– “レビュー”という言葉が昭和的現場では軽視されがちですが、チェックリストを用いた第三者レビューは有効です。
– 仕様との突合、「この設計で作れない・動かないことは?」という観点を意識します。
3. 各段階での検証テスト(単体・結合・総合)
– テストケースとは“ありきたりの動作確認”だけでなく、「不正な入力」「異常条件」「仕様外」まで洗い出すことが肝です。
– 過去の現場トラブルや、よくある設計ミスパターンは積極的にテスト項目に落とし込みます。
4. テスト自動化(Automated Testing)の導入効果
– 生産ラインで自動検査装置を使い省力化を進めるのと同様、ソフト分野でもテスト自動化による効率化が進んでいます。
– 定型テストは繰り返し自動実行し、人は“イレギュラー”や“設計意図の逸脱”に集中するスタイルが理想です。
5. 品質検証の記録と不具合解析
– ロギングやスクリーンショット、自動レポート生成ツールを有効活用し、工程不良も遡れる仕組みを設けましょう。
– 不良発生時には「なぜ発生したか」「設計・実装・レビュー・テストどこで漏れたか」を分析します。
ソフトウェア検証を阻害する“昭和アナログ体質”
多くの現場では、ソフト検証の重要性は認識されつつも、いまだ昭和のオフライン発想や“属人的なやり方”が色濃く残っています。
本項では、その実態と対策を俯瞰します。
1. 「紙伝票」「Excel管理」から抜け出せない現場
– ソフト検証計画や結果報告が紙・Excelでバラバラに管理されており、属人的な運用、転記によるミスが多発しています。
– 煩雑な現場ではレビューファイルの所在さえすぐに分かりません。
2. 「設計は設計、検証は検証」という縦割り組織
– 設計者が検証フローを理解せず、検証担当は現場意見を反映できず、“部門エゴ”が障害となるケースが散見されます。
3. 「不具合の隠蔽・スルー」のリスク
– “一つでも不具合が出たら怒られる”“納期優先でバグは後回し”という体質が抜けません。
– この結果、納品後のクレーム・手戻りが慢性化し、現場の士気も低下します。
打破のポイント:情報共有・仕組み化の推進
– ドキュメントやレビュー記録のクラウド化、設計⇔検証の壁を超えたチーム連携など、組織的な改革が必要です。
– 属人的ではなく、「仕組みで守る」「誰が見ても辿れる」体制が、今後ますます求められます。
検証の質を高める、現場発の工夫とノウハウ
ソフトウェア検証は単なる“作業”ではなく、創意工夫と経験則がものを言う領域でもあります。
熟練した現場バイヤーや品質保証担当者から学んだ“使えるノウハウ”をいくつかご紹介します。
1. “過去の失敗”から学ぶ仕組み
失敗事例の蓄積と活用が不可欠です。
例えば、
– 自動機トラブルのログから“見逃しやすいエラー条件”を発掘し、テストケースに組込み
– 過去の不具合情報をデータベース化し、設計段階から「再発防止案」を評価
など、失敗を宝に変える仕組み作りが重要です。
2. “現物主義”の活用とシミュレータの併用
– 仮想環境(シミュレータ)での検証に加え、実機・現場での“本物テスト”は不可欠です。
– 現場のオペレーターや設備担当による“非定型作業”を洗い出し、試験パターンとして追加するのも有効です。
3. “第三者視点”の投下によるバイアス排除
– 設計→検証→設計…の繰り返しだと“自社ルールしか見えない”ことも多々あります。
– 客先や社外パートナー(バイヤー、外部監査員)など、外部の新鮮な視点でテスト工程・品質基準を俯瞰することが大事です。
4. “見える化”による経営層・現場作業員の巻き込み
– 「どれだけの機能がテストされ、不良件数はどこで増減したか」をグラフなどで見える化。
– 現場から上層部まで、品質に対する共通言語を持つことで、検証活動が全体最適化します。
ソフトウェア検証のトレンド:自動化とAI活用の現状
2020年代に入り、デジタルエンジニアリングの加速は製造業にも大きな影響を与えつつあります。
テスト自動化やAI活用は、その最たるものです。
1. テスト自動化ツールの導入拡大
– JenkinsやSelenium、JUnitなど、多彩なテスト自動化ツールが普及し、毎回の回帰テストや出荷検証が“ワンクリック”で実行可能に。
– 生産ラインの自動検査と同じで、“人為ミス”や“検証抜け”の低減に繋がっています。
2. AI/機械学習による不具合パターンの発掘
– 膨大な検証データやバグ情報をAIで解析し、“隠れた不良パターン”や“異常検知”を自動化する事例も登場。
– 解析結果を設計改善・予兆保全に還元する企業も増えています。
3. レガシー対応:昭和型設備+新ソフトの難しさと工夫
– 数十年前の機器や仕様書に対応したソフトウェアの検証は、マニュアル化が困難でノウハウ勝負になります。
– 現場エンジニアの知見や“暗黙知”を、デジタルツールで見える化する習慣が肝となります。
バイヤー・サプライヤー双方が知るべき“攻めの検証姿勢”
今、製造業のサプライチェーンは「最終製品品質」だけでなく「サプライヤー・バイヤー間でどれだけ再発防止できるか?」が重要指標となりつつあります。
1. バイヤー視点:「要求仕様+現場実装」で評価を
単なる書類審査・納期遵守だけでなく、サプライヤー現場を巻き込んで
– 「実装パターン」
– 「標準チェックリスト」
– 「過去の品質レベル」
まで掘り下げたレビューや監査を行うのが主流です。
2. サプライヤー視点:「品質証跡」の重視と予防保全活動
– 品質を“証跡”で示せる体制整備
– バイヤーへの“納得性の高い説明力”
– クレームゼロへ向けた教育・改善活動
が求められます。
双方が「攻め」の姿勢で、リアルな検証活動による現場力を高めましょう。
まとめ:昭和の知恵と令和のデジタル力で、現場に強い品質保証を
効率的なソフトウェア検証技術と品質確保のノウハウは、昭和型現場の知恵とAIなどの先進技術を融合させることで最大化されます。
どんなに自動化が進んでも、「人の目」「現場の声」「失敗から学ぶ姿勢」は変わらず大切です。
バイヤー、サプライヤー双方が“現場目線”を忘れずに、仕組みとチームワークで攻めの品質保証を追求しましょう。
「品質」は“売り手と買い手をつなぐ信頼の懸け橋”――この言葉を胸に、これからも共に製造業の新たな時代を切り拓いていきましょう。
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