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投稿日:2026年1月16日

曲げ加工機で使う部材トラブルが評価に反映されない従業員の本音

はじめに:製造業の現場で「見えない価値」が埋もれる理由

製造業、とりわけ板金や金属加工を行う工場の現場では、日々さまざまな部材トラブルが発生します。

その中で、曲げ加工機に使用する部材に関するトラブル対応は、現場従業員にとって「評価されにくい仕事」の代表格といえるでしょう。

部材の入荷不良、精度不良、素材自体のロット違いなど、こうした問題は現場を停滞させ、最悪の場合は納期遅延や品質事故に直結します。

にもかかわらず、問題を最前線で発見・対応・リカバリーする従業員の貢献が、人事評価や表彰、声掛けといった「見える報酬」に反映されにくい現状があります。

本記事では、20年超の現場経験をもとに、なぜ「トラブルの火消し」という現場力が評価されにくいのか、現場の生の声や、製造業の業界事情も絡めて深掘りします。

また、バイヤー志望者やサプライヤー担当者にとっても役立つ、現場視点からの提言をラテラルシンキングを用いて提案します。

曲げ加工機の部材トラブル:何が起きているのか

頻発する部材関連トラブルの実態

曲げ加工機をはじめとする板金加工現場では、以下のような部材トラブルが頻繁に発生します。

– 材料ロット違いによる機械設定エラー
– 材料表面の傷や打痕による再加工指示
– 板厚のばらつきで寸法不良が多発
– 誤入荷や納期遅延

こうした事象は、現場従業員の熟練ノウハウ、即応力、判断力によって、その都度リカバリーされています。

しかし、現場で起きた「問題を未然に防いだ」「大きな損失を避けた」という実績は、担当者本人しか把握しておらず、上司や経営層の評価軸に乗ることは極めてまれです。

部材トラブルの火消しが評価されにくい構造的背景

なぜ、こういったトラブル対応は評価されにくいのでしょうか。

その背景には、製造業に根強い「昭和的成功体験」と「見えにくい仕事の軽視」が混在しています。

– 成功の前提には「トラブルが起きない=優秀」の価値観が根付いている
– 不具合ゼロの状態が当然視され、現場の隠れた努力や工夫は可視化されない
– 問題解決プロセスの定量化・定性化を意図的に行わない(現場まかせ)

特に多品種少量生産を特徴とする業界では、一つひとつの問題をいちいち「見える化」することが煩雑で、つい後回しになりがちです。

従業員の本音:なぜ「やりがい搾取」になってしまうのか

現場の声:「なぜ頑張っても評価されないのか?」

筆者が現場管理職として部下の面談を重ねてきた中でよく聞く声に、こうしたものがあります。

– 「不具合を起こさないように細かく気を遣っても、何も声をかけられない」
– 「一度失敗すると大きく叱責されるのに、トラブルを防いでもプラスポイントはゼロ」
– 「モノづくりが好きだから働いているが、マンネリ化や徒労感が強い」

これはいわゆる「やりがい搾取」とも呼ばれるものです。

つまり、現場で問題発生を未然に防ぐ“目立たない努力”や“その場の判断力”が“会社の当たり前”になり、その価値が見逃されています。

制度の歪み:KPIや評価制度の限界

多くの製造現場では、評価指標(KPI)として“生産数”や“不良率”“納期遵守率”といった、定量的で比較しやすい数字が重視されています。

そのため、トラブル未然防止や、突発的な部材トラブルをリカバリーした対応力は、定量評価に反映しにくいのが現実です。

特に「トラブルゼロ」を求める圧力が高い現場では、「トラブルがなかったこと」そのものが担当者の努力であるにも関わらず、それが認識されません。

業界動向:製造業に根付くアナログ的価値観の壁

なぜ「火消し力=価値」とならないのか?

製造業、とりわけ素材や部材の管理は、いまだに「現場力」「人間力」という言葉で語られがちです。

– 現場に強いベテラン社員の「経験則」に依存
– 問題や工夫は“現場のもの”として経営課題になりにくい
– 労務管理、カイゼン活動が数字(効率・利益)に直結しにくい

例えばデジタル化・自動化が進まない理由の一つにも、現場リーダーや管理職が「自分の見えない努力」「目に見えない価値」をうまく伝えきれないという事情が潜んでいます。

現場で毎日発生する“細かな火消し”が当たり前になってしまい、会社として「あるべき姿」「変わる必要性」を自覚しにくくなっているのです。

バイヤー・調達担当者が知っておくべき「現場の現実」

本当の競争力は現場の「火消し」から生まれる

調達やバイヤーを目指す方に知っていてほしいのは、現場で発生する突発トラブルの対応力こそが、自社・サプライヤー双方の真の競争力であるという点です。

例えば、

– 納期ギリギリでの材料ロス発見に気付ける「目利き」
– 設備ダウン時にも柔軟に代替生産手段を講じられる「連携力」
– 誤納品時でもサプライヤーと迅速に合意形成できる「関係構築」

こうした力を持つ現場がある企業は、最終的な納期安定や品質レベルで商談時に大きな信頼を得やすいです。

バイヤーとして表面的な「単価」「数字」のみではなく、「現場の火消し力という目に見えない価値」に着目することは、他社との差別化につながります。

サプライヤーの方へ:バイヤー視点の「現場評価」のヒント

サプライヤーが自社現場の価値向上のためにできることとして、下記のような取り組みが有効です。

– トラブル発生・火消しの記録を「見える化」し、商談時に共有(QCストーリーや再発防止報告など)
– 材料の安定調達やトラブル対応について、「担当者の顔が見える」コミュニケーションを重視
– 「トラブルゼロ」だけでなく、「トラブル時の即応対応力」にも焦点を当てた付加価値提案

これにより、バイヤーは「この会社は現場の工程安定化にどれだけ本気か」を肌で感じ取ります。

トラブル対応力を評価に反映させるために:現場・管理職・バイヤーの新しい連携

ラテラルシンキング(水平思考)で変革を起こす

従来の評価軸から一歩進め、「隠れた現場力」を見える形で組織力へ昇華させることが競争力につながります。

– 部材トラブル対応の「サマリー報告化」(週次・月次などの現場発表会)
– 火消しエピソードの共有とナレッジ化(社内SNSやメルマガ)
– 年次評価時に「トラブル対応でどれだけコストを未然に防いだか」を定量化して加点

DX(デジタルトランスフォーメーション)ツールや、紙帳票からデータ化への転換も、こういった活動の一部です。

また、業務プロセスとして「現場の火消し力」自体を新しい付加価値として顧客・サプライヤーにも提案する視点が重要です。

まとめ:現場の「火消し力」が競争力の源泉

曲げ加工機をはじめとした製造現場の部材トラブル対応は、現場従業員の知恵や工夫が詰まっています。

今後の製造業の発展には、こうした「目に見えにくい貢献」を組織ぐるみで認知し、評価に反映していく新しいマネジメントが不可欠です。

バイヤーやサプライヤーの方も、「数字」だけにこだわらず、現場の暗黙知や火消し力こそが、強いモノづくり企業の土台であると再認識してみてください。

見えない価値を“見せる”こと。

これこそが、アナログから変革していく製造業に求められる新たな地平だといえるでしょう。

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