投稿日:2025年10月17日

ボディクリームの固まりを防ぐ乳化温度と冷却速度の調整

はじめに

ボディクリームの製造現場では、乳化の安定性や製品の仕上がりが品質を大きく左右します。
その中でも、「固まり」「分離」といった現象は、クレームやロスへ直結しやすく、現場の担当者や品質管理、さらには調達購買担当にとっても頭の痛い課題です。
しかし、ここには“昭和から抜け出せない”アナログな製造現場ならではの難しさがあります。
この記事では、ボディクリームの乳化温度と冷却速度に着目し、固まりを防ぐための理論と現場で使える実践的な対処法、そしてサプライヤー・バイヤー間で共有すべき業界動向について詳しく解説します。

ボディクリームの固まりはなぜ起きる?

固まり発生のメカニズム

ボディクリームの「固まり」は、原料同士が均一に分散されず、ごくわずかな偏りや不均一な構造が時間の経過や温度変化によって顕在化した結果です。
主な要因は以下のようになります。

– 乳化不足による水相・油相の分離
– 冷却中の擬似結晶化や凝集現象
– 乳化剤の種類や量が適当でない
– 原料ロットや保管状況による品質ばらつき

これらの要因は、特にアナログ管理や経験則に頼る現場では見落とされがちです。
また、一度「この条件で大丈夫」と思い込んでしまうと継続的な改善が止まりやすいのも問題です。

顕在化するタイミングと現場の困難

例えば、冬場の低温時や夏の冷房直下の製品に限って固まりが出やすくなることは現場あるあるです。
同じ配合でも「なぜか今日は違う」「この原料に変えてから頻発している」など、日々の変動とマニュアルのギャップに振り回されている現場が多いのではないでしょうか。

乳化温度と冷却速度の重要性

乳化の基礎的知識

ボディクリームは「油」と「水」を均一に混ぜ合わせる“乳化”プロセスが中心です。
この乳化は、最適な温度域で行うことで、乳化剤の分子運動が活発になり、より細かな分散が実現します。

代表的なプロセスは以下のとおりです。

– 水相と油相をそれぞれ加熱
– 乳化剤を加えて攪拌し両者を合流
– 均一なエマルションを形成

この時、温度が低すぎると油脂が十分に溶解しませんし、高すぎると乳化剤や一部成分の分解リスクがあります。

最適な乳化温度とは

配合や乳化剤によって若干異なりますが、原則として「もっとも強力な乳化剤(通常は非イオン系界面活性剤)が最大の働きをする温度帯(およそ65~75℃)」が最重要ポイントです。
工場では「油相65℃、水相70℃で合流、攪拌速度を最大」といった手順がよく用いられます。

乳化温度が低下すると、油がダマ状に固まり乳化不良の原因となります。
また十分に加熱されていないことで、原料の分散が不完全となり、出荷後や保管中に「部分的な固まり」となって現れることが少なくありません。

冷却速度のさじ加減が分かれ道

クリームは、乳化後に「ゆっくり」「均一」に冷やすことで均質な粒子構造となり、なめらかで固まりの少ない仕上がりになります。
急激に冷却すると、油脂分が部分的に析出・結晶化しやすく、これがいわゆる「固まり」や「シャリ感」の原因です。

しかし、冷却スピードを過度に緩くすると製造タクトに影響を与えたり、逆に細菌増殖の温床となるリスクもあります。
現実的な落としどころを探るためには、以下のような工夫が現場実践では有効となります。

実践的なアプローチと改善策

製造現場における見える化と標準化

乳化および冷却工程で「目で見て、手で触れて」確認できる現場の強みを活かしましょう。
たとえば、

– 乳化完了後、クリーム状になるまでの攪拌時間を記録
– 段階的に温度測定し、生データの可視化
– 複数ラインやシフトごとに試験バッチを取り、固まり発生との相関を分析

こういった“見える化”が、属人的なノウハウから工場全体のナレッジへと進化する一歩になります。

昭和的アナログ管理とデジタル融合

昭和型現場では「ベテランの勘」「その日次第」のgood enough指向が根強く残っています。
ですが、実は現場ノウハウほど“データ化”することで多くの無駄やトラブルを減らせます。

たとえば、安価なIoT温度センサーによるバッチごとの温度・攪拌スピード管理や、工場日報と部材ロットとの突合分析など、“現場の勘とデジタル”を組み合わせていきましょう。

冷却工程の最適化例

ボディクリームの場合、以下のような冷却工程最適化の事例が有効です。

1. 乳化完了後、一旦60℃程度まで緩やかに自然冷却
2. その後、撹拌しながら冷却ジャケットや半密閉ファンなどで40~45℃まで段階冷却
3. 室温近くまで温度が下がってから充填へ
4. 冷却停止から充填までの時間を最小化

また、原料のメーカー違いやバッチごとでの挙動差も記録し、不具合データの蓄積によって再発防止に役立てるべきです。

品質管理との連携

乳化や冷却の工程では、製造部門と品質管理部門の密な連携が重要です。
とくに、“分離や固まりのクレーム発生時”には、ロット単位での工程検証やシンプルな試験方法(スプーンテストや冷蔵庫保存テスト)が効果的です。
品質管理側から製造部門へのフィードバックループを作り、「これこれの温度帯・冷却工程で不具合が減った」など、データドリブンでの工程改善を共通言語化しましょう。

バイヤー・サプライヤー観点での温度・冷却管理のポイント

サプライヤーに求めるべき品質安定化策

バイヤー目線で考えると、固まりや分離クレームの低減は、製品品質の要になります。
そのためには、「配合レシピ通り」の数字合わせだけでなく、実際の現場工程まで踏み込んだ仕様共有が効果的です。
たとえば、

– 乳化温度・冷却速度の標準プロセスを工程表で明示
– バッチごとの温度・混合条件・冷却曲線をトレーサビリティデータで保管
– 「こういう冷却スピードはNG」といったネガティブ工程の明確化

サプライヤーとしても、これらの“現場レベルまで見える”条件の合意が、不良発生時の原因究明や、再発防止といった取り組みへの近道になります。

トレンド:IT化・自動化の波

近年はIoT・自動化投資で、乳化・冷却プロセスがデジタル可視化されつつあります。
想像以上に“現場レベル”にセンサー設置やデータ管理が広まっているのが業界の実態です。
受託生産やOEM専業工場では、自社の省人化・品質安定のためにも、清掃・温度制御・生産履歴管理までを自動化する取り組みが増えています。

一方、古くからの町工場などでは「人の経験」と「デジタルの融合」が課題です。
下請け・協力工場とのパートナーシップ強化の際、バイヤー側が「自工程保証」「可視化データ」の重要性を語れると、より円滑な協業関係を築くことができます。

現場目線の細かい気配りが“固まりゼロ”への道

ボディクリーム製造の“固まり”防止は、単純な温度・速度の数字管理だけでは達成できません。
原料メーカーのロット間ばらつき、外気温・湿度、撹拌タンクの経年劣化など、アナログな“変動要因”とどれだけ向き合えるかが現場力の差となります。
昭和型現場の経験こそ活かしつつ、ナレッジの伝承、デジタル融合、現場・品質管理・バイヤーの垣根なき連携によって、“固まりゼロ”の高品質なボディクリーム量産は実現できるのです。

まとめ

ボディクリームの固まり対策として重要なのは、乳化温度と冷却速度の最適化です。
これらを単なる数値管理ではなく、「現場の肌感覚」と「IoTや品質管理データ」との融合で標準化し、再現性の高い生産を目指しましょう。
発注側・サプライヤー側とも現場レベルの知識共有を深めることで、製品品質の向上と工程無駄ゼロへ近づくことができます。

今後も製造業の現場から、実践的で進化し続けるノウハウを共有し、より強い産業界づくりを皆さんと目指していきましょう。

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