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筐体DFMレビュー:金型割・抜き勾配・アンダーカットの判断基準

目次
はじめに:製造業の現場から考えるDFMレビューの重要性
製造業の現場では、「設計」と「生産」の意思疎通が製品の品質とコストを大きく左右します。
特に、筐体部品の設計は金型加工や成形のしやすさに直結しており、初期の段階でDFM(Design For Manufacturability:製造容易化設計)レビューが不可欠です。
昭和の時代から続く経験則も重要ですが、デジタル化やグローバル化が加速する現代では、アナログな現場知識と理論的なアプローチの両立が求められています。
本記事では、20年以上の現場経験と管理職の視点も交えて、金型割・抜き勾配・アンダーカットといった主要課題への判断基準と現代的アプローチを深堀りします。
DFMレビューとは何か?
DFMレビューの目的
DFMレビューは、設計段階で製造性やコスト、納期、品質を最適化するための工程です。
バイヤーやサプライヤー、設計者など多様な立場の人間が議論し、問題点の予防および改善案の抽出を行います。
設計が決定してからでは手戻りコストが膨大になるため、企画段階からタイムリーにレビューを行うことが成功の鍵です。
現場で発生しがちな課題
多くの場合、設計者と工場側で意図のすれ違いが起こります。
図面に落とされた設計が、実際の金型製作や成形で致命的な手戻り・トラブルにつながるパターンは今も多々見受けられます。
特に、昭和時代からのアナログ文化を引きずっている現場では、ベテラン技能者の「勘と経験」に頼った事後調整も多いのが実情です。
デジタル時代の現在、これを組織的な知識へ変換し、継承していくことも大きなテーマといえるでしょう。
金型割:設計変更の起点になる判断基準
金型割とは
金型割とは、量産製造で使用する金型の分割方法・分割ラインを決める作業です。
金型は複雑な形状を一体で抜くことが難しいため、どこで「割る」かが製品精度やコスト、工程数に影響します。
金型割の判断基準
– 成形時の引き抜き方向と形状から、最適な分割ラインを見極める
– 分割ラインが外見品位や機能部に影響しないかを確認する
– メンテナンス性やトラブル時の修理のしやすさを考慮する
– 金型や部品の寿命、ランニングコストへの影響を評価する
– 製品設計初期から金型メーカーも交えて意見を集約する
特に現場では、金型分割ラインの設定次第で「無駄なバリ」「部品干渉」「クリアランス不良」などの不具合を未然に防ぐことができます。
最初の段階でこうしたリスクを共有できるかが、実力のあるサプライヤーか否かの分水嶺とも言えるでしょう。
現場のアドバイス
現場ではしばしば「部品図に現れないノウハウ(成形方向・抜きピン位置)」などを技能者が口頭伝達してきます。
しかし属人的な伝承はミスや漏れの温床でもあるため、設計者と製造側が同席し、「3Dモデルを見ながら直接ディスカッション」する文化を組織的に推進しましょう。
抜き勾配の設定:量産コストにも直結する設計判断
抜き勾配とは
抜き勾配は、金型から製品をスムーズに取り出すために設ける、金型のテーパー角度のことです。
これは、射出成形・プレス加工など量産現場で重要な項目であり、勾配が不足していると型破損やバリ不具合、形状不良の原因となります。
判断基準:なぜ抜き勾配が重要か
– 樹脂や金属の材質ごとに必要角度が異なる(通常0.5~3度)
– 製品外観に影響を与えない配置や外観品の最低勾配値を守る
– 部品精度・クリアランス要求と抜き勾配バランスの最適化
– 後工程(塗装、メッキ)への影響も事前検討する
– 加工工程での金型摩耗や型離れトラブルの回避
DFMレビューで抜き勾配が不十分な設計を見逃すと、量産時に金型損傷や成形不良が多発します。
一見して図面では安全だと思える角度も、詳細に金型構造やパーティングラインと照らし合わせることが、現場目線では不可欠です。
現場のトラブル事例と対策
抜き勾配が不足しがちな典型例は、従来品や他社の図面を転用した場合です。
現場では、目視しづらい部位や複雑なリブ・ボス形状で抜き勾配が0になっていることも頻発します。
こうした部分こそ、DFMツール(3DCAD+CAE)や現物モデルを用いた「気づき」を促すレビュープロセスが重要です。
アンダーカット:コスト効率と製品機能の綱引き
アンダーカットとは
アンダーカットは、金型の開閉方向に対して垂直に凹凸や溝があり、そのままでは型から抜けない形状を指します。
用途によっては製品の機能や組立性・耐久性を飛躍的に高めるため、設計上ゼロにはできません。
一方でアンダーカットは、「横スライド・リフターなどの追加機構」による金型や工程コスト増の主原因にもなります。
アンダーカット設定の現場的判断基準
– 製品機能(バネ性、止め機構、防水/防塵等)とアンダーカット形状の本質的必要性
– アンダーカットを回避しても機能が成立するか(形状変更、組立工程の追加等)
– 金型の複雑化やスライド抜き機構コスト、メンテナンスリスクの評価
– 挟み込みや成形後切削可能な設計も併せて検討する
現場ではアンダーカット無しを原則とし、やむを得ぬ場合のみ「金型構造のシミュレーション」にて事前に課題洗い出しを行います。
また、サプライヤー側から「この形状ならこのコスト増加」「アンダーカット無しなら~円低減」と、具体的金額と納期インパクトを設計側に数値で提示できることは信頼を得る近道です。
アナログ現場の課題とデジタル化の可能性
昭和から続く習慣として、設計図面にアンダーカット部位が明示されない事例は多いものです。
最近はデジタル解析(CADの干渉チェッカーや金型可視化ツール)導入で、ボトルネックの早期発見が可能となってきました。
しかし現場の「気づき」や「設計意図への問いかけ」なしでは、結局やり直しや余剰コストが発生します。
アナログ的な現場対応力と、デジタルツール活用の両立がこれからのものづくりに不可欠です。
DFMレビュー成功のための組織的アプローチ
現場主導型のクロスファンクショナルチーム形成
DFMレビューが実効性を持つのは、「設計/製造/購買/品質/調達」など多部門が一同に会する時です。
“設計が説明し、金型担当が質す。購買がコスト試算し、品質がリスクを洗い出す。”それぞれの立場で忌憚のない意見を述べられる環境づくりが求められます。
昭和型のヒエラルキーや職位に忖度せず、「現場主導」の対話型ミーティングを実施してください。
ナレッジ蓄積と可視化のすすめ
トラブルや知見がベテラン技術者の頭の中だけにとどまるのは、後進育成・DX推進でも大きな足かせです。
組織内Wiki・FAQ・過去トラブル事例集など、誰でもアクセスできるナレッジベース構築が肝要です。
これにより、従来は場当たり的対応だった昭和的対応策から、組織的・戦略的対応へと昇華できるのです。
バイヤー・サプライヤー双方に求められる姿勢
バイヤー(購買)は「コスト最優先」だけでなく設計全体のバランスや現場課題にも精通し、変化への柔軟性を持ってDFMに臨むことが大切です。
サプライヤー側からは、単にNGや不安要素を提示するだけでなく「こうすればクリアできる」「この形状なら低価格化できる」といった解決策・代案まで示すことが信頼構築の第一歩となります。
お互いに“ものづくりパートナー”の意識を持って議論することで、より高付加価値な製品づくりが可能になります。
まとめ:ラテラルシンキングで次世代のDFMへ
金型割、抜き勾配、アンダーカット――。
これらは単に設計チェック項目ではなく、現場の知見や時代背景、組織風土と深く結びついた判断領域です。
DFMレビューの究極の目的は、「設計者―現場間の壁を越え、最短で最高の品質とコストパフォーマンスを両立すること」にあります。
昭和からのアナログ文化という資産に、デジタル時代のツールと俯瞰的なクロスファンクショナルイノベーションを掛け合わせましょう。
バイヤー・サプライヤーといった立場の枠を超え、現場に根差したラテラルシンキング(水平思考)で、新たな地平線を切り拓くDFMレビューを実践してください。
今こそ、現場の知恵で“ものづくり”の未来を変える時代です。
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