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部門間データサイロを解消するREST API連携で受注から仕入れまでを一気通貫

目次
はじめに:製造業の「分断」と「つなぐ」価値
製造業の現場では、長らく各部門が独自のシステムや帳票を用いて業務を進めるのが当たり前でした。
営業、生産管理、購買、品質管理、物流――。
それぞれの部門は自分たちの最適を追求しますが、部門間の情報共有やデータ連携は後回しになりがちです。
この状況は「データサイロ」と呼ばれ、昭和から続く日本のものづくりでは特に根強い課題です。
帳票を手作業で転記し、Excelファイルをメールに添付し、電話やFAXで確認を督促する光景。
業務の停滞だけでなく、ヒューマンエラーや現場負担を生み、結果として顧客満足や利益率にも影響します。
ものづくりの現場で20年以上の経験を持つ立場から、データサイロ問題を「つなぐ」技術――REST APIによるシステム連携という観点で、実践的に解説します。
なぜ今REST APIなのか?――データ連携の現実と将来性
なぜ「実践的な解決策」が求められるのか
多くの工場や調達部門が導入している生産管理システム(ERP)、販売管理システム、購買システム、そして品質管理のシステム、それぞれのベンダーや導入の歴史が異なり、統合が難しい現実があります。
2020年代以降、クラウドサービスやIoT機器の普及が進み、データの活用が企業力を左右する時代になりました。
しかし、基幹システムの刷新には莫大なコストとリスクが伴い、老舗メーカーほど現実的な解決策が見つからないのが実情です。
そんな中、注目されるのが「REST API」という技術です。
API(Application Programming Interface)は簡単に言えば、異なるシステム同士をデータで自動的につなぐ“窓口”です。
REST(Representational State Transfer)は、近年広く使われているAPI設計の形式で、異業種との連携やクラウド間連携も得意としています。
REST APIの強み――「全とっかえ」ではなく「つなぐ」
REST API連携の最大の強みは、既存システムをゼロから作り直すことなく、「必要な箇所」を「合理的に」つなげられる点です。
たとえば、次のような事例が挙げられます。
・営業管理システムで受注確定したデータを、自動的に生産管理・購買システムへ即座に伝達
・部品納期や在庫更新情報を自動で購買担当へ通知、現場作業を効率化
・品質管理データを製造実績や仕入れ履歴と瞬時に紐付け、トレーサビリティを強化
つまり、多種多様なシステム間で発生しがちな「情報の分断」「手作業のリスク」「進捗見える化の遅れ」を抜本的に解消できます。
現場課題の最前線――「受注から仕入れ」一気通貫の壁
なぜ「分断」するのか――日本企業特有の背景
特に昭和の時代から続くアナログ色の強い現場では、次のような課題があります。
・業務ノウハウが個人や部署内に閉じている
・システムが各部門単位で増殖し、全体最適とはなりにくい
・紙やFAX文化が根強く、データ活用が進みにくい
・手作業による転記やチェックが標準フロー化している
これにより、どうしても「受注情報→生産→調達・購買→仕入れ・入庫」の流れが分断されがちです。
結果、「同じ情報を何度も入力」「工程間の引継ぎ待ち」「伝達漏れの二重発注や納期遅延」などが日常的に発生します。
工場長/現場担当の声――生々しい実態
現場でよく聞かれるのが次のような声です。
・営業から受注伝票が来るタイミングが遅く、生産計画が立てづらい
・発注手配に必要な情報がシステムごとバラバラでミスが増える
・仕入れ品受入時、現物と帳票データ・システムの突き合わせに時間がかかる
・購買側は納期管理、現場側は工数管理、品質管理側は不具合対応と、それぞれ“自分視点”で最適化
誰もが真面目に取り組んでいるのに、全体としてムダやミスが生じる。
ここを根本から解決する一手が、REST APIによる「受注から仕入れ」一気通貫システムなのです。
REST API連携で構築する「一気通貫」業務プロセス
具体的な仕組みイメージ
実際にREST APIを活用して部門間をつなぐシナリオは、例えば以下のようになります。
1.<受注データの自動連携>
営業部門が販売管理システムに受注登録をすると、その情報がREST API経由で生産管理/購買システムへ瞬時に共有。
関係者がリアルタイムで同じ情報を閲覧・利用でき、手作業や二重入力が不要です。
2.<生産計画・調達指示の自動化>
生産管理システムが受注内容を確認し、生産スケジュールを自動作成。
必要部品の発注も購買システムとAPI連携することで、情報の反映や督促がシームレスに実行されます。
3.<入庫・仕入れの即時反映>
調達した部品が納品された際、入庫システムが仕入データ・品質データをAPI経由で全関係部門へ自動送信。
購買、品質、生産、営業それぞれが「最新」かつ「正」の情報をリアルタイムで把握できます。
4.<トレーサビリティ・可視化の強化>
各工程のデータが一気通貫で記録・共有されるため、製品や部品単位でのトレーサビリティが格段に向上。
不具合発生時の原因追及や、顧客からの問合せ対応も迅速・的確になります。
現場実装のポイント・注意点
導入プロジェクトを成功させるためには、技術面だけでなく「現場目線」「業務に根付く慣習」を十分に理解し、変化に対応する組織づくりが欠かせません。
・API対象範囲の絞り込み(全部署ではなく、ボトルネック部門から段階的)
・現場担当者への業務ヒアリング・巻き込み
・既存システムベンダーとの連携調整
・現場業務の「なぜそうなっているのか」を見極め、業務フローとIT施策を合わせる
ある大手部品メーカー事例では、「受注案件ごとの進捗遅延・変更履歴を自動記録→現場担当と営業窓口がSlackやTeamsにタイムリー通知」といったAPI活用も注目されています。
サプライヤー・バイヤー視点で考える新しい役割
バイヤーを目指すあなたへ――データ起点で付加価値を創る
従来の調達業務は「価格交渉・納期交渉・品質確認」が主役でした。
しかし、API連携で「見える化」された最新情報や実績データを自在に活用することで、以下のような価値を生み出せます。
・確実な予実管理と“先読み”による納期リスクの低減
・調達先の切替や複数サプライヤー調整をデータに基づき合理的に判断
・RP(Robotic Process Automation)などの自動化とも組み合わせ、生産性向上
・サプライヤーとの関係強化(情報の透明性向上・データ共有による信頼構築)
バイヤーの価値は「カン」や「経験」だけでなく、「データに基づく説明力」「社内外に働きかける調整力」へと進化しています。
APIはその“武器”となるのです。
サプライヤー側から見た「バイヤーの新しい考え方」
ものづくり現場のデータサイロ解消は、サプライヤーにとって大きなチャンスです。
従来、下請けとして“言われた通り”納入するだけだった立場から、APIなどを活用して「一緒に業務最適化に取組むパートナー」へと進化する余地があります。
・部品トレーサビリティや納期遅延要因のリアルタイム説明
・大量発注や分納など、個別ニーズへの柔軟な対応力
・バイヤー企業の生産・調達データを安全に活用し、在庫適正化や納期遵守など独自の提案力
これからは、単なる「部品・材料の供給者」ではなく「製造プロセス最適化の共創者」としてのスタンスが重視されます。
まとめ:REST APIで開く「新しいものづくり」の地平線
製造業の根強い課題、「部門間データサイロ」はなかなか一朝一夕で解消できません。
しかし、REST APIをうまく利活用すれば、
・古いシステムを捨てずに、スモールスタートで連携を始めることができる
・受注から仕入れまでの「一気通貫フロー」で、現場のムダ・ミス・停滞を劇的に減らせる
・データ起点でバイヤーの付加価値や、サプライヤーの共創姿勢を磨ける
ようになります。
ものづくり現場で汗を流してきた方こそ、現場の困りごと・薄氷の感覚や、変化への不安も痛いほど分かるはずです。
いまだからこそ、技術と現場知見の「ラテラルシンキング」で、未来の地平線を切り拓きましょう。
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その一歩を、ぜひ今日から始めてみてください。
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