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投稿日:2026年2月17日

ISO 21789工作機械のエネルギー効率評価

ISO 21789とは何か ― 製造業現場から見た本質

ISO 21789は、工作機械のエネルギー効率評価に特化した国際規格です。
この規格は製造現場を知る者にとって、単なる机上の指標ではなく、エネルギーコストや生産性の向上を実現するための「現場改善の新しい判断基準」となります。
多くの国内工場では「エネルギー効率=節電」と短絡的に考えがちですが、ISO 21789の本質は“カタログ値では語れない、生産性維持と消費電力量の最適バランス”にあります。

昭和時代から続くアナログな生産現場では、未だに「機械は止めずに稼働させ続ける」「消費電力はコストとして処理」の意識が根強く残っています。
しかしグローバル市場、特に欧州や新興国を相手にする場合、エネルギー効率の可視化・数値化は避けて通れません。
“省エネ”が企業価値や調達判断に直結する時代を迎え、ISO 21789によるエネルギー効率評価がサプライヤー選定条件の一つとなっている事例も増えてきました。

工作機械のエネルギー効率 ― 何をどう測るべきか?

「最適化」がキーワード ― 稼働率だけでは語れない効率評価

従来、日本の工場では「エネルギー効率」を“機械の電源を入れてから稼働を止めるまでの間の電力量”として一括りに捉えがちです。
しかし実際の現場では生産品種の多様化により、機械のアイドリングや待機状態も長くなりました。
ISO 21789では、“加工(カッティング)ステージ”“非加工(待機・搬送)ステージ”ごとに消費エネルギーを細分化し、「実質的な効率向上ポイント」を抽出する考え方が求められています。

つまり、「設備のスイッチONからスイッチOFFまで」で平均値を出すのではなく、「どの工程が一番エネルギーを無駄遣いしているのか」を特定、そこを現場改善で狙い撃つのです。

仕掛かり工程・段取り作業への着目

ベテラン現場リーダーなら「工程間の手待ち」を問題にされた経験をお持ちでしょう。
実はこの「アイドルタイムこそがエネルギー効率低下の元」ともいえます。
ISO 21789では、待機状態(アイドリング)や、準備・搬送といった「加工作業と直接関係のない時間」のエネルギー消費も評価対象に含めています。
たとえば、CNC旋盤で一品ワークのクランプ交換が頻発するライン、または無人生産時間帯(深夜)で機械が“動いていないのに電源ON”のケースなど、現場の“ムダ”部分が浮き彫りになるのです。

製造業バイヤーや調達担当者がISO 21789を重視する理由

グリーン調達と企業評価の新基準

調達購買の現場において、「エネルギー効率」は価格や納期、品質と並ぶ重要な選定要素に変わっています。
特に自動車OEMやグローバル電機メーカーでは、サプライヤー選定会議の中で「ISO準拠・エネルギーデータの提示」がスタンダードになっています。
これは単なる“流行り”ではなく、カーボンニュートラル(CN)やESG経営への本気のコミットメントが求められていることの裏付けです。

また、ISO 21789評価済みの設備や生産プロセスを持つ企業は、「環境配慮企業」としてP/Lだけでは示せない競争優位性を手にします。
調達先のグリーン化を推進したいバイヤーにとって、ISO 21789の認証取得や効率数値の可視化は「相手企業の本気度」を判断する物差しと言えるでしょう。

国内調達とグローバル調達 ― 強まるギャップ

国内市場中心のBtoBサプライチェーンでは、いまだ「古い機械だが問題なく動く」「納期さえ間に合わせればOK」といった志向が根強く残っています。
しかしグローバル調達になれば、その考えは通用しません。
多国籍のバイヤーからは「エネルギー効率の数値的根拠を見せてください」ときわめて論理的な質問が突き付けられます。

現場視点で言えば、これは「海外メーカーに勝つための工場力=エビデンス力」になり得るのです。
つまりISO 21789に基づいたデータを持つことで、「国内外のバイヤーどちらにも選ばれる工場」への道が開けます。

サプライヤー(供給業者)の視点 ― バイヤーの着眼点はここだ

単なる省電力PRを超えた「実利」重視に変化

供給側企業がISO 21789に取り組む場合、単なる「省電力設備ありますよ」というアピールから、「どれだけお客様のCO2削減やコストダウンにコミットできるか」という実利提案へのシフトが不可欠です。
グリーンウォッシュ(見かけだけの環境配慮)ではグローバルバイヤーは動きません。

たとえば「当社のマシニングセンタは、ISO 21789評価段階で加工工程エネルギー効率を10%向上、1年あたりCO2排出を350t削減できます」といった、具体的な評価値と経済メリットを示す必要があります。

現場主導のエネルギー管理こそ、次の差別化

ISO 21789を運用する際、経営層のみならず現場が主体的に「どこで・どれだけエネルギー消費に無駄があるのか?」を意識し、改善活動(カイゼン)につなげることが大切です。
昭和型の「電気代は経理部門の問題、現場は生産を止めない」の発想から、「現場こそエネルギー効率・原単位コスト意識の最前線」に変える文化づくりが、最終的な全社競争力になります。

ISO 21789時代、ものづくり現場の新常識 ― アナログ工場でもできる改善策

簡単な見える化・データ取り組みの第一歩

「ウチは古い機械しかないし、ISO 21789なんて関係ない」と考えるのは早計です。
まずは“現場の各工程で、どのくらい電力消費しているのか”を手書きでも良いので見える化しましょう。

・各工作機械の稼働時間と消費電力(電力計の値)を日次・工程ごとに集計
・アイドルタイム(加工していないが電源ON)の合計時間を記録
・理由別に分類(例:段取り変え中、材料待ち、休憩など)

こうした地道な取り組みが、「現場発のエネルギー効率向上活動」の礎になります。
高価なIoT機器がなくても、カイゼンカルチャーが根付く現場であれば、すぐに実行可能です。

一番無駄の多い工程を“先攻撃”せよ

ISO 21789で重要視されるのは「全体平均」ではなく、「最も効率の悪いボトルネック工程」を改善することです。
もし、一台でも“新旧まざった古い加工機”がムダに電力を消費していれば、そこに的を絞って段階的に改善策を打ちましょう。
・待機中もモーターが動き続ける設備のON/OFF最適化
・段取り時間の短縮
・予知保全によるアイドルタイム・再起動の無駄取り

こういったピンポイント対策は、低コストかつ短期間で現場のエネルギー効率を押し上げてくれます。

ISO 21789の未来 ― ものづくりの新しい競争軸

ISO 21789は、「現場力」×「環境・エネルギー効率」の両輪により、次世代ものづくりの新基準になります。
昭和の延長にあるアナログ現場でも、現状のエネルギー消費を工程ごとに洗い出し、小さな改善を積み重ねることで、グローバル市場が求める「数字に裏付けされた省エネ・CN対応強力サプライヤー」への道を拓くことができます。

また、調達・購買担当やバイヤーを目指す方々にとっては、このISO 21789視点を持つことで単なる「値切り」や「コスト査定」以上に、サプライチェーン全体の付加価値向上に携わることができます。
エネルギー効率評価はSDGsやサステナビリティ経営とのリンクも強く、未来の製造業に必須の知的スキルセットです。

まとめ ― ISO 21789で“現場から始める”ものづくりの進化

ISO 21789は、「あたらしい国際規格だから」や「仕方なく対応するもの」という消極的姿勢では、大きな成果につながりません。
むしろ“現場から、自社の「もったいない」やエネルギーの使い方を見つめ直し、改善提案のきっかけを掴むツール”として活用すべきです。

バイヤーやサプライヤー、すべてのものづくり現場の皆さまがISO 21789を理解し、効率化・環境貢献の新たな柱として位置付けることで、日本の製造業全体の競争力は一段と高まります。
小さな現場カイゼンから、グローバル市場で選ばれる工場へ―。
ISO 21789をきっかけに、次世代ものづくりの新しいルールを“自分たちの手”で作り上げていきましょう。

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