投稿日:2025年6月18日

エンジン燃焼の基礎と排気ガスクリーン化への応用

エンジン燃焼の基礎を理解する

燃焼とは何か

エンジンの燃焼とは、燃料と空気が混ざり合い、高温で反応することでエネルギーを発生させる現象です。
このエネルギーが車や工場の動力源となり、現代社会を支えています。
燃焼プロセスを正しく理解することは、エンジン開発や運用、さらには環境対策を考える上で非常に重要です。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い

エンジンには主にガソリンエンジンとディーゼルエンジンの2種類があります。
ガソリンエンジンは点火プラグで混合気に火花を飛ばして燃焼させます。
一方、ディーゼルエンジンは圧縮熱だけで燃料に着火します。
この違いが、効率、出力特性、排気ガス成分に大きく影響します。

理想的な燃焼と理論空燃比

燃焼の理想形は、燃料と空気が完全に混ざり合い、理論空燃比(約14.7:1(空気:ガソリン))で燃焼することです。
しかし現実には、未燃焼炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)などの排出が避けられません。
現場では理論値と実測値のギャップをどう埋めるかが課題となります。

排気ガスとは何か、その問題点

排気ガスの成分

エンジンから排出される排気ガスには、二酸化炭素(CO₂)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、粒子状物質(PM)など多くの有害物質が含まれます。
これらは大気汚染や健康被害の原因となるため、社会的にも強く規制されています。

排気ガス規制の動向

日本や欧米を中心に排気ガス規制は年々厳しくなっています。
自動車業界では「ポスト新長期」や「Euro 6」など先進国での基準が導入されており、現場ではこれに適合したエンジン開発が急務となっています。
昭和の時代とは明らかに違う、環境重視の時代へとパラダイムが移行しつつあります。

工場現場で見た燃焼と排ガスクリーン化の工夫

燃焼効率改善の取り組み

昭和から続くアナログな現場では、「勘と経験」「試行錯誤」に頼る場面が未だに多く見られます。
しかし、AIやIoT、データ解析などデジタル技術の活用が進む令和の現場では、燃焼効率を数値で「見える化」し、細やかに制御する動きが強まっています。
具体的には燃料噴射量やタイミングの電子制御、空気供給量の最適化、冷却系の最適化などを自動化し、省エネと排気ガス浄化を両立させています。

アフタートリートメント技術の進化

排気ガスのクリーン化には、エンジン本体だけでなく「後処理技術」も欠かせません。
三元触媒によるNOx・CO・HCの浄化、ディーゼル用DPFによるPM捕集、尿素SCRによるNOx低減などが現場で日常的に使われています。
また、日本独特の厳しい町工場魂として、コストと品質のバランスを取りつつ、メンテナンスのしやすさも重要視されています。

現場に根付くアナログ文化とデジタル化

古き良き製造業現場は、紙と鉛筆、熟練工のカンに頼る部分がまだ多く残っています。
しかし、排気ガスクリーン化に欠かせない「品質の安定」と「工程の再現性」を高めるため、デジタル計測やオートメーションへの投資は避けて通れません。
チーム全体でQCサークルや小集団改善活動を活用し、知見を共有しながら地道に改善を繰り返していく文化も大切です。

バイヤー・サプライヤー視点で見る現場と技術革新

バイヤーがエンジン部品に求めるもの

バイヤーの観点から大事なのは、まず「信頼性」と「コストパフォーマンス」です。
排気ガス規制対応においては、サプライヤーの技術力と開発スピードも評価対象となります。
例えばあるエンジン部品メーカーは、排ガス規制の見通しを踏まえて独自の触媒材料を開発し、競争優位を確立した事例もあります。

サプライヤーが知っておきたいバイヤーの本音

部品単体の価格競争力だけではなく、「トータルでのコスト削減」「アフターメンテナンスの容易さ」「スピードと柔軟な納期対応」までバイヤーは見ています。
特に新興国工場向け製品では、現地のインフラや人材レベルを考慮した「過剰品質すぎない最適提案」が求められています。
調達・購買経験者としては、サプライヤーとの密なコミュニケーションや現場の生の声を拾った提案の重要性を何度も実感しています。

現場目線で考える今後の方向性

カーボンニュートラルに向けた挑戦

世界的にカーボンニュートラルが求められる中、単なる排気ガス規制対応だけでなく、燃料そのものの転換や、ハイブリッド・EVとの融合など取り組みの幅が広がっています。
内燃機関そのものも、合成燃料(e-fuel)や水素燃焼による次世代対応へと進化を始めています。

現場力とラテラルシンキングの必要性

これまでの常識や固定観念にとらわれず、現場発のアイデアや技術がこれからの製造業を支えます。
最前線の現場では、小さな「なぜ?」を積み重ねて「現状打破」のヒントとし、価値の再発見、新しい組み合わせによる差別化が重要です。
デジタル化はもちろんのこと、人間の知恵や創造性を最大限活かした改善活動が不可欠です。

まとめ:製造業におけるエンジン燃焼と排気ガス対策の真価

エンジン燃焼の基礎を深く理解し、時代ごとの技術や規制に適応しながら現場を進化させていく――。
この姿勢こそが製造業の現場にとって、絶えず求められるラーン&イノベーションの本質です。
バイヤー・サプライヤー双方の目線を持ち、共創型パートナーシップで新たな価値を生み出す。
昭和から令和へ、そして未来へと続くラテラルな進化を、現場から一歩ずつ実践していきましょう。

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